撮影:稲澤朝博

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『映画ビリギャル』『ライチ☆光クラブ』『ちはやふる上の句・下の句』『ミユージアム』などの話題作に次々に出演し、硬軟の変幻自在の芝居で注目を集めている若手の実力派俳優・野村周平。

【写真25枚】『サクラダリセット』主演、野村周平の魅力を写真でじっくり見る

そんな彼の最新主演映画は、ライトノベル界屈指の壮大な青春ミステリーを前後篇の2部作で完全実写映画化した『サクラダリセット』。

本作では驚異的な「記憶保持」能力を持つ主人公の高校生・浅井ケイに扮しているが、初めて台本を読んだときは謎と仕掛け、幾つものルールが散りばめられたそのパズルのような内容に理解するのが難しかったという。

果たして、何がほかの映画と違ったのか?

野村にそのいつもとは違った撮影の苦労を振り返ってもらいつつ、本作の特殊な設定にちなんだ自身の本音も激白してもらった。

いつもと違った撮影での苦労話

『サクラダリセット』は「いなくなれ、群青」で第8回大学読書人大賞を受賞した新鋭・河野裕が09年に発表し、カルト的な人気を誇っている青春ミステリー・シリーズ。

特殊な能力を持つ者たちが暮らす街“咲良田(サクラダ)”を舞台に、驚異的な「記憶保持」能力を持つ高校生、浅井ケイが、世界を最大3日分巻き戻す(過去をやり直す)ことができる「リセット」の能力を持つ春埼美空(黒崎結菜)とともに、2年前に死んでしまった同級生・相麻菫(平祐奈)を蘇らせるため、仲間たちのさまざまな能力を組み合わせた作戦に挑む姿を描き出していく。

だが、過去と現在を何度も往来し、様々な能力が入り乱れ、それによって物語の展開が大きく変わる本作の展開は一筋縄ではいかない。

頭をフル回転させて観なければ、何が起きているのか? どうしてそうなるのか?

謎もトリックも理解不能になり、映画が描く真実には到底辿りつくことができない。そのことは、観客以上に、それを体現し、伝えなければいけない野村周平ら演者にとって最もリスキーな挑戦だった。

「最初に台本を読んだときは、全然頭に入ってこなかったですね(笑)。でも、深川栄洋監督がその都度説明してくれると言ってくださったので、監督に身を任せてやろうという感じで撮影に臨みました」

とは言え、本作には「記憶保持」能力を持つ浅井ケイ、世界を最大3日分巻き戻す=「リセット」の能力を持ち、ケイと行動を共にしている春埼美空のほかにも、「声を届ける」ケイの親友の中野智樹(健太郎)、「モノを消す」村瀬陽香(玉城ティナ)、「記憶を操作する」岡絵里(恒松祐里)、「物体を変化させる」宇川紗々音(岡本玲)、「能力をコピーする」坂上央介(岩井拳士朗)が次々に登場。

ケイはその時々で彼らの能力の組み合わせを変えて、亡くなった相麻の再生に挑み、街に蠢く大きな陰謀を阻止しようとするのだ。

「今回は本当に説明ゼリフだらけでした。

それぞれの能力を説明しないと観ている人に分からないから、それは仕方がないことだけど、説明ゼリフはもう一生言いたくない!

撮影中も、自分の能力については自分で言ってくれ!って何度も思いましたね(笑)」

しかも、ケイだけは「リセット」後も記憶を失わないため、「リセット」前と「リセット」後での感情の変化も表現しないといけない。

加えて、同じ日に前篇のあるシーンと後篇のあるシーンを交互に撮影する日もあった。

「ケイは能力的に感情が変わらないといけない。

だから、シーンによって『リセット』後は悲しんでいたり、喜んでいたり、いろいろだったけど、前篇と後篇の撮影がざっくり20日間ぐらいのボリュームですから、普通だったら、頭の中が混乱しますよ。僕もついていくのが結構大変でした。」

そんな野村が今回いちばん大変だったシーンは、“咲良田”の未来に対して大きな野望を抱いている管理局対策室室長・浦地正宗(及川光博)に向かって、とうとうと自らの想いを話し続けるシーンだったという。

「あの長ゼリフがいちばんしんどかったですね。

ひとつのシーンのセリフが5ページ、8ページってだんだん増えていって、あそこは10ページぐらいあったから、大変でしたね。」

苦労した後、映画を観た感想は?

それでは、完成した映画を前後篇ともに観た感想は?

「すごく良かったです。字面では理解するのが難しかったので、映像になってもお客さんがみんな置いていかれるんじゃないかなって心配していたんです。

でも、微妙な難しさというか、ちゃんと考えなきゃ解けないテイストを保ちつつ、ストーリーがしっかり分かるものになっていたので、ホッとしました」

本作は特殊な能力を持った者たちが次々に登場し、時制が錯綜する特殊な設定ではあるが、そこで描かれているのは友情や青春、恋愛といった思春期ならではの瑞々しい感情。

そこに自身の想いを重ねて観たり、鑑賞後にそのことについて友だちや恋人と話してみると映画の面白さがより増幅するので、ここから先は、野村にもこの映画に込められたキーワードごとに自身の考えを語ってもらった。

女性を好きになるとき、最初に心が動くのは…

1.特殊能力とまでは言わないまでも、自分が他人より優れていると思う能力は?

「おじさんに好かれる!(笑) 飲み屋で出会ったおじさんや、友だちの先輩などに『オマエ、いいな〜』って可愛がられることが多いんですよね」

2.実現可能なもので欲しい能力は?

「実現可能? 何だろうな〜?…逆に若者に好かれる能力ですかね(笑)。」

3.本作で黒島結菜さんが演じた春埼美空は、自分は「リセット」という特殊能力を持っているから、浅井ケイに好かれているんだと思っています。

野村さんは女性を好きになるとき、最初にまずどこで心が動くことが多いですか?

「やっぱり顔でしょ!(きっぱり)だって、いちばん最初に見えるのは顔じゃないですか。例えば3日間一緒にいて『この子の性格が好きだから付き合ったんです』って言うのは嘘だと思うんですよ。

3日間で性格なんて分かるはずがない。だから、いちばん最初で言うなら顔。もしくはプロポーション。

で、1ヶ月ぐらい遊んだときにその子の性格や、自分が本当にその子のことが好きなのか、どうなのか、見えてくるものがあるじゃないですか。そうやって分かっていくものだと思いますね」

4.本作では友情も描かれていますが、野村さんが思う親友とか本当の友だちというのはどういう人ですか?

「何でも言える人かな。絶対に言えないことも言える人が親友だと思いますね。僕にもひとりいます。友だちはいっぱいいますけど、親友と呼べるのは彼だけ。

プライベートで付き合っているこの業界とは関係のない人ですけど、20代になってからずっと一緒に遊んでいるから、分かり合えるというか。

だから、彼がピンチのときは助けに行きますよ。『パチンコで負けたから、金を貸してくれ!』って言われても貸さないけど(笑)。基本、助けに行きます」

5.『サクラダリセット』には“過去”を変えることで“未来”を変える壮大なテーマが秘められていますが、野村さん自身の“未来”のビジョンは?

「特にないですね。いまのこの状況が続いていってくれればいい。だから、いまはどんな仕事でもやっています。

個人的には趣味のバイクやモトクロスの技術を活かした仕事もやりたいという気持ちがあるし、プロフィールの趣味の欄にもそう書いているので今後ぜひやりたいです!」

6.それでは、野村さんが『リセット』でいま(取材時)からリアルに3日前に戻れるとしたら、何をどう変えたいですか?

「3日前って月曜日か…。俺、何してたかな? たぶん暇してたな。その日に戻ったら、夜、雨が降るからバイクに乗らない方がいいよって言いたいですね。

確か月曜日の夜、雨でしたよね。でも、バイクに乗っていたんですよ。友だちとテンションが上がって、川崎の方に向かったんですけど、川崎の方だけなぜか雨だった(笑)。

小雨が降ってきた時点で引き返せばよかったのに、強行した結果、雨がザーザー降ってきて、びしょ濡れになりました。

周りの人からも“なんでこの人たち濡れてるんだろう?”という目で見られたから、あれはやり直したいですね」

「過去」と「未来」という意味では、一昨年撮影した『ちはやふる』の続編の撮影も間もなく始まる。

「そうなんです。カルタの練習がまた始まるんです…。でも、みんなに会えるのは楽しみです。

撮影から2年ぐらい経つから、特に真剣がどんな大人なっているのか気になりますね。真剣佑は空気を読まないところがいいんですよ。

なかなかいないんです、そういう人は(笑)。『野村先輩、何してるんですか〜?』つていきなり言ってきて、俺がそれに『仕事してるわ!』って返す。そんなやりとりがいいんです(笑)。」

インタビューの最後にいつものヤンチャな一面を見せながら周りを大笑いさせてくれた野村周平だが、映画『サクラダリセット』ではその要素は一切封印。

知略を巡らす頭脳明晰でクールな浅井ケイを説得力を持たせて演じているので、そこもまた大きな見どころに。彼の新たな一面に魅了されることになる。

『サクラダリセット』前篇:公開中、後篇:5月13日(土)公開