トップの位置ではなく、あえてチャンスメーカー役に回った大久保。チームを「頑張る、一生懸命に走るだけじゃ勝てない」とバッサリと切り捨てた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ6節]札幌 2-1 FC東京/4月8日(土)/札幌ド  ゴール裏に陣取ったサポーターから、容赦ないブーイングが選手たちに降り注いだ。フラストレーションを溜めるのは無理もない。誤解を恐れずに言えば、見どころは開始8分でゴールを奪ったシーンのみ。  札幌にシュート数で12本(FC東京は8本、札幌は20本)、決定機の数では7つ(FC東京はゴールシーンのひとつ、札幌は7つ)もの差をつけられて逆転負けを喫したのだ。  試合後、記者に囲まれた大久保嘉人は意外にも冷静だった。激高しているわけでも、まくし立てるわけでもない。一定のリズムで言葉を刻む。ただ、十分な鋭さは内包されている。むしろ、淡々としているからこその一種の怖さがあった。 「今日の試合では、俺がわざわざ下がってチャンスメーカー役をやった。前に残っていたら、それこそ何も起こらなかったと思うよ。『これをやれば』ということを、誰もしない。  止まっちゃってるんだよ。動いてないから、得点を奪うためのパスが単なるボール回しになってしまっている。ひとりがDFを引き付けたのに、そのスペースに走り込まない。  このチームは何か予想と違うことが起きたら、全員が止まってしまう。俺がミドルシュートを打った。GKが弾いた。でも、誰も反応していない。プレーが単発で終わっちゃている」  バッサリと「サッカー観が違う」と切って捨てるのは、川崎でボールも人も動くサッカーを体現できていたからか。幾度も「もったいない」が口をつく。 「走るのは、誰でも走れるよ。100パーセントの力でやる。激しくいく。そりゃあいけるよ。でも、頭を動かしてないから、反応が1歩2歩遅れる。それは今日だけじゃない」  できないことを要求しているのではない。タイトルを獲れると信じている。鹿島にも浦和にも川崎にも個々の能力で劣っていないと信じている。だからこそ、伝えるのだ。 「これだけ素晴らしい選手が揃っていて、見せ場を作れない。このメンツで今までと同じことをしていたら意味がないんじゃないの? 毎年、こんなことの繰り返しなんじゃないの? 何かを変えないと……。  頑張る、一生懸命に走る。それだけじゃサッカーでは勝てないよ。頭を動かさないで戦うんであれば、ずっと走る練習だけをしていればいい。先のことを考えてプレーするのがサッカーでしょ」  頭の中に汗をかけ――。あえての苦言は、チームに良い変化をもたらすか。欲しいものをその手に掴むための分水嶺に、FC東京は立っているのかもしれない。 

取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

 

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