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既報のとおり、本日4月7日からMicrosoft Translatorなどが利用可能になったが、少々分かりにくいので最初に説明しておこう。まず、「Microsoft Translator Speech API」はアプリケーションに視覚や音声など知能を組み込む「Microsoft Cognitive Services」が備えるAPIの1つだが、これまで英語やフランス語など9カ国語によるリアルタイム音声翻訳を実現していたところに、本日から日本語が加わった。

次にTranslator Speech APIを利用するアプリケーション「Microsoft Translator」は、Windows 8.1およびWindows 10版、iOSおよびAndroid版で音声翻訳精度の向上を図り、リアルタイム音声翻訳を行う「Microsoft Translatorライブ」機能を実装した。デスクトップアプリ版、Windows 10のUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーション版、Web版の「Skype翻訳」によいて、音声通話も翻訳可能となる。また、PowerPointプレゼンテーションのリアルタイム字幕翻訳を行う「PowerPointアドオン」(プレビュー版)も公開した。

興味深いのは、Skype for Windows 10プレビュー版を使えば、固定電話や携帯電話へ通話する際も音声翻訳が使える点。日本マイクロソフトは「海外のレストランに電話して、直接予約できるかも」(日本マイクロソフト Officeマーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャー 鈴木哉氏)と、音声翻訳の可能性をアピールした。

技術的な背景は既報をご覧いただきたいが、Microsoft Translator Speech APIは深層学習を用いた翻訳エンジンを用意し、1度入力した音声をテキスト化と同時に英語に翻訳してから、他言語に翻訳する仕組みを用いている。その理由として日本マイクロソフトは、「対訳データは英語の方が集めやすい。他言語間もデータが集まれば対応させる」(日本マイクロソフト 業務執行役員 技術統括室 ディレクター 田丸健三郎氏)とした。

今回のSkype翻訳による音声翻訳機能はPC版が中心となり、スマートフォン向けアプリケーションは用意していない。Windows 10 MobileのSkypeも未対応だ。この点については、「音声に雑音が混じると誤認識してしまうため、展開は先の話になる」(鈴木氏)と説明。企業向けSkypeである「Skype for Business」も本APIを用いた音声翻訳のサポートは予定にないという。

もっとも、Microsoft Translatorアプリは、UWPアプリケーション版、iOS版、Android(Kindle含む)版も用意しているため、ビジネス戦略的な相違があるのだろう。Microsoft Translatorアプリを使えば、手もとのスマートフォンで対面会話のリアルタイム翻訳も可能だ。

Skype翻訳は無償利用できるため、例えば親族が国際結婚した際のコミュニケーション、海外旅行、留学・海外赴任前の事前準備として語学を学ぶなど、さまざまな活用シナリオが思い浮かぶ。日本マイクロソフトも、下記のようなプロモーションビデオを公開している。

主人公の少年ケンジは野球少年。素振りの練習中、ケンジ宅にステイしているマイケルが英語でアドバイスするが、言葉が壁となり理解し合えない。離日したマイケルは、友人のアレックスとともに、Skype翻訳(英語-日本語の音声翻訳)で具体的なアドバイスをケンジに伝え、互いの気持ちが寄り添い合うというものだ。

Skype翻訳は今のところ、「空間と言語の壁を越えるのが魅力だが、翻訳家の代わりになるものでもなければ、ビジネスで利活用するのも難しい。現実の言語学習も重要」(鈴木氏)。しかし、始まったばかりの音声翻訳エンジンは、使用回数と機械学習の練度が比例するため、使えば使うほど翻訳精度が高まっていく。先のプロモーションビデオで、ケンジとマイケルの交流にIT技術が役立ったようなシーンが、個人個人の生活でも増えていくことだろう。

阿久津良和(Cactus)

(阿久津良和)