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中村史郎の引退劇をまずはおさらい

GT-R、デュアリス、350Z、ジューク、リーフ、そしてキューブのデザインを手がけた、日産のチーフ・デザイナー、中村史郎は、17年間務めた日産自動車をこの3月に退任した。

中村史郎が退任し、あらたなデザイン・トップとして、インフィニティのチーフ・デザイナーを務めたアルフォンソ・アルベイザが就任。アルベイザの後任には、BMWの元デザイン責任者であるカリム・ハビブが就任する。

中村史郎(66歳)は、カルロス・ゴーン日産自動車社長(当時)からデザイン部に引き抜かれ、同社のリバイバル・プランの中心的人物となった。その後、日産自動車は、破綻の危機から奇跡的な回復をみせた。

その原動力は、クロスオーバー・ブームの火付け役となったデュアリスを含む同社ラインアップの販売台数の急回復であった。最近では、廉価モデルを展開するダットサン・ブランドから高級車ブランドのインフィニティまで、幅広いプロジェクトを監修していた。

われわれはジュネーブ・モーターショーで中村史郎とインタビューの場を持った。彼はこの場で後任者へ引き継ぎをおこなった、進行中の多くのプロジェクトの内容を明かしてくれた。

まずはデュアリスやジュークについて 内装を中心に

AUTOCAR:あなたは、2世代目デュアリスのフェイスリフトを完成させましたが、この車種の次期型の開発にも関わっていたのですか?

中村:次期モデルはとてもチャレンジングになると思います。進化をさせながらデュアリスの雰囲気を継承させなければならないからです。われわれが獲得した強みをただ守るのではなく、更に突き進めなければならないのです。ほとんどの作業は完了しています。2〜3年後の発表となるでしょう。

AUTOCAR:次期デュアリスのインテリアを改善する必要があると思いますか?

中村:次期モデルのインテリアは現行モデルのそれとはかなり異なります。(いろいろなところが)異なり、例えばスクリーンの大きさなどですね。次期モデルの革命的なところは、インテリアであり、エクステリアではないのです。エクステリアにおける技術的革新はヘッドライトとテールライトにて起こっているので、このエリアで目新しいことは特にありません。いっぽう、インテリアの構成要素には、技術的革新を利用した見せどころが沢山あります。

AUTOCAR:インテリアが複雑になり過ぎないよう、どう心掛けていますか?

中村:インテリアは以前よりも重要になりました。プロ・パイロット(日産自動車の自動運転技術)は、レベル1と呼ばれ、次期デュアリスのそれがレベル2となります。HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)は、自動運転のインテリアに習ってデザインされています。スクリーンはより大きく、より多くの情報を提供します。逆にスイッチの数は減りますが、それらの機能は多様化します。インテリアの機能は、以前よりも進歩したものになります。

AUTOCAR:デュアリスの刷新をおこなうよりも、ジュークのそれをおこなう方がむずかしいですか?

中村:ジュークは、その個性とファンキーな雰囲気を維持しなければなりません。早急に取り掛かるべきですが、デザイン上の大きな飛躍を実現し、いっぽうで、一目でジュークとわからなければなりません。顔やプロポーションといった固有の要素も維持されなければなりません。小さなクルマは比較的容易です。なぜならデザイン上とてもアグレッシブにすることができるからです。

GT-R、Z、NISMOやリーフについても思い切って聞いてみよう

AUTOCAR:GT-Rの後継車は企画されていますか?

中村:GT-Rはポルシェ911のようなもので、進化がキモです。モデル・チェンジのためだけにおこなう変更は意味を成しません。新型は先代から進化していなければなりません。毎年、それを実現していますが、今年のモデル・イヤーではそれが全面に渡っておこなわれました。われわれは今後もあらゆる要素を改良していきます。そして、やり尽くした時、その時が別れを言う時でしょう。全てのモデルの売れ行きは順調で、バック・オーダーも抱えています。陳腐化しているとは思いません。

AUTOCAR:3人乗りのブレードグライダー・コンセプトは日の目を見ることがあるのでしょうか?

中村:ブレードグライダーは実験的な試みであり、生産化の予定はありません。適量を適切な価格で販売することができるとしても、十分大きいマーケットが存在するとは思えないからです。興味深いクルマではありますけれど。

AUTOCAR:次期Zはどのようなものになりますか?

中村:Zはこの会社のもうひとつの財産です、強力な。同時に、適切なコンセプトをみつけることが容易くありません。ポルシェでもなければ、2シーターの市場はとてもチャレンジングで、しかも、大きくもありません。もしZを刷新するのであれば、何かあたらしい試みをするでしょう。もちろん、いつも研究はしていましたね。Zの研究は楽しいことですから。

AUTOCAR:NISMOバージョンは今後も増えますか?

中村:ニスモとの協力で、フル・ラインナップを構成する大きなチャンスがあると思います。デュアリスNISMOはそのひとつでしょう。しかし、それを実現するためには、本気度の高いパフォーマンスのアップグレードを施す必要があるでしょう。外観だけでなく、サスペンションやエンジンのチューニングです。ニスモの派生車種が増える可能性はあります。

AUTOCAR:日産は再びコンパクトカーを造りますか?

中村:コンパクトカーはむずかしいです。もし日本の軽自動車を持ちこめるのであれば、それは素晴らしいのですが、不可能です! 軽自動車は素晴らしいコンパクトカーです。将来のコンパクトカーは、小型のEVになるでしょうね。

AUTOCAR:リーフ以外に、EVの追加車種はありますか?

中村:将来的に、数種類のEVが発売されるでしょう。リーフは車種であり、ブランドではありません。ほかのEVが加わるとしたら、セダン、SUVでしょうか。スポーツカーはむずかしいです。EVは日産に限定されるのではなく、インフィニティでも展開されます。ほかのボディ・タイプの導入につづき、あたらしいリーフが登場します。