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行動のベースは「誇り」

JEモーターワークスはコヴェントリーのはずれにあり、ランドローバー・チューニングにおいては老舗。有名になったのは、特別なランドローバーを取り扱っているからだ。

創立は1975年。前の経営者だったジョン・イールスが、ちっぽけなガレージから始めた。

かつてはリビルド作業、ローバー製V8(レンジローバーだけでなくモーガンやTVRなどにも搭載されている)のチューニングをおこなっていた。

「JEチューンのエンジンはいつだって最高です。メーカーが真似するくらいに」とJEモーターワークスの現取締役兼チーフ・エンジニアのジョナサン・ダグラスは誇らしげに語る。

「1980年代にはダカール・ラリーに出場するための4.2ℓエンジンを100基ほど作った経験もありますよ。さらに近年ではP38Aと呼ばれる4.7ℓスーパーチャージド・エンジンのプロジェクトに携わりました。恐らくそれはレンジローバー・スポーツの心臓に化けましたね」と冗談とも本音とも言えない声。

おもしろいインタビューになりそうだ。

もともとはただの愛好家?

ダグラスはJEモーターワークスがどのような変遷を辿って、SUVチューニング、モディファイの世界で名を馳せてきたのかを教えてくれた。

そして彼は最近の熱狂的なディフェンダーのブームについても触れた。

そもそもダグラスは先代のジョンの才能に惚れたうちのひとり。そして熱狂的なクルマ愛好家のひとりでもある。彼のエンジニア人生のなかで最初に仕事は、ジャガーとモーガン向けのレーシング・エンジンの製作。

これが現在でも根幹をなすこととなる。そして彼は1987年にJEモーターワークスの姉妹会社であるITGを経たのち、1990年代初頭にはJEモーターワークスの指揮を執るようになった。

「90年代後半、前代表が退職するにあたり、わたしが後任となりました。つねづね面白いことをやりたかったので、ただのエンジニアという立場より楽しいことができる、そう思いました」とダグラス。

2000年代半ば、ディスカバリーへのECUチューンが好評となっていたため、JEモーターワークスの仕事のほとんどが、ディフェンダー中心のものとなった。

「弊社にも多く入庫するL322型のディフェンダーはレンジローバーとしては出来がよく、ただ、チューニングを施すにはむずかしい車両でもあります」

「TD5のECUチューンも多かったです。しかし最近ではもっと大がかりなサスペンション、ブレーキのアップグレードから、ギアボックスの換装などの依頼も増えてきました。彼らの多くが、2,000万円オーバーの、475psを発生する4.7ℓV8を搭載した弊社のディフェンダーを参考にしてご依頼を頂いております。

ディフェンダー高くなりすぎた? 市場への考察

「近年のディフェンダー市場は意外なものでした。生産中止が決定となり、この商売もすぐに平穏を取り戻すかのように思えていましたが、実際のところディフェンダーのオーナーたちは熱狂的で、いまだに爆発的な需要が存在します」

「われわれが長年携わってきたことで見えてきたのは、オーナーには3種類の考え方があるということです」

「あるひとはオフロードなどの過酷な道においても負けないようなタフさを求め、またあるひとはそんな過酷な道は走らないが快適さを求め、そうでない人はコレクターとして完璧な1台を作ろうとする」

そんな熱狂的なオーナーたちがプライスを跳ねあげたわけだが、この高値安定傾向は今後も続くのだろうかと問いかけてみると、彼は「そんなことはない」と断じる。これは以外だった。

「現状が高すぎるくらいであり、英国では、200万ほど用意すればいい車両を見つけることもできるようになっています。速さを求めるならばモダンなモデルのほうをオススメしますね」

「現在弊社でやっているのは8速ギアボックスへの換装、それからV8のリビルトといったところでしょうか。月5台はリビルトして、世界中に届けていますよ」

「また、今年は5台のスペシャル・チューンド・マシンを製作予定で、大忙しですが、仕事の精度が落ちることはありませんのでチューニングをお願いしたいという方もご安心を。20に満たないエンジニアたちで構成されている弊社ですが、どのクルマもショールームから飛び出してきたような仕上がりを目指しています」と締めくくった。

なお、JEモーターワークスのディフェンダーがどんなクルマか知りたい向きは、コチラから試乗記をご覧いただける。