日本の漫画やアニメがきっかけで日本を好きになる中国人は多いが、山東政法学院の劉安さんは子どもの頃、日本人が描いたとは知らずに夢中になっていたそうだ。自身と日本の漫画、将来の目標について、作文につづっている。写真は聖闘士星矢のフィギュア。

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日本の漫画やアニメがきっかけで日本を好きになる中国人は多いが、山東政法学院の劉安さんは子どもの頃、日本人が描いたとは知らずに日本の漫画に夢中になっていたそうだ。自身と日本の漫画、そして将来の目標について、作文に次のようにつづっている。

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「ペガサス流星拳!」と叫びながら敵をすべて倒す――。僕の一番好きな漫画のシーンだ。小学校4年生のあの頃はいつも仲間たちと一緒に漫画の主人公を演じて模擬対戦をやっていた。僕はいつも主人公「星矢」の役で、女の子を守って必殺技で敵を倒す。その瞬間がとても楽しかった。

しかし、ある日、同級生に「お前のヒーローは日本人が作ったものだよ」と言われた。祖父には「戦争で日本人は俺たちの同胞を殺し、物を奪った最低の連中だ」と言われ続けて育てられた。正義の味方であるはずの僕の憧れは、「悪」そのものだったのだ。僕の世界は一瞬で、崩れてしまった。信じていた人に裏切られたような気持ちになり、その漫画をすべて箱に封印した。

それから3カ月が経ったある日、僕らの学校にひとりの転校生がやってきた。華奢な体に、漆黒のロングヘア。僕が読み続けた漫画の主人公が、生命を懸けて守ってきた女の子のようだった。日本の漫画は封印したはずなのに、僕は罪悪感を感じながらも、その漫画のことを考えずにはいられなかった。

担任の先生はこの転校生を「父親が中国人で母親が日本人だ」と僕らに紹介した。小さな体の中に二種類の血が流れている。この奇妙な存在をどう扱えばいいのか全くわからなくて僕は困っていたが、彼女はもうすっかりクラスの中心になっていた。

彼女は僕にも優しい声で挨拶した。中国語で挨拶されたのに、僕は緊張しすぎて思わず、日本語で「こんにちは」と返した。テレビドラマに出てきた日本兵から覚えた日本語だった。その日本語のお陰で、彼女と友達になった。僕の中の日本に対する矛盾の渦は消えたわけではないが、転校生と親しくなるにつれ、日本嫌いの心は薄れていった。(続く)(編集/北田)

※本文は、第十二回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「訪日中国人『爆買い』以外にできること」(段躍中編、日本僑報社、2016年)より、劉安さん(山東政法学院)の作品「『日本大嫌い君』と日本人転校生」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。