連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第1週「お父ちゃんが帰ってくる!」第5回 4月7日(金)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:黒崎博  視聴率:19.4%(ビデオリサーチ社調べ 関東地区)前日比↓


5話はこんな話


実お父さん(沢村一樹)が帰ってきた晩、みね子(有村架純)が、大人として祖父(古谷一行)、父、母(木村佳乃)の輪に入れてもらい、胸を熱くする。

いつかみんなで行けたらいいな


全国的に雨もよう、シリアに米が巡航ミサイルで攻撃というニュースも不穏な2017年4月7日金曜日だったが、1964年が舞台の『ひよっこ』では、お父さんがもらってきたすずふり亭のポークカツサンドが美味そうで朝からテンションあがる。
カツサンドってジューシーで柔らかいお肉とフルーティなソースがギュッとコンパクトにまとまっていて、すごく機能的なお料理だ。映画やドラマの現場で出される軽食の定番のひとつにまい泉のカツサンドがありまして、サイズがちょうど食べやすくて片手間にささっと食べられてでもそれなりに満足感があって嬉しい。

美味しいおみやげを真ん中に、美代子お母さんの手料理も食卓にたくさん並んで、楽しい晩餐。
みね子が靴を直そうとして壊した話、きれいなマッチを宝物という実、それを仏壇に備える美代子、いつかみんなで(東京に)行けたらいいなという実、お祖父ちゃんの行ったことがある銀座は“奥茨城銀座”ではないかという話・・・家族全員、驚くほど、清くて善人で、こんな人たちいるのか! 1960年代の地方都市はこんなだったのか! と驚いてしまうが、こんな世界があってもいいなあ、あったらいいなあという気もする。

お母さんがお気に入りのブラウスを着ていたことを指摘していたみね子。彼女もまた制服からきれいなブラウスに着替えていた。たぶん、彼女もお気に入りのものなんだろうなあ、と思うけれど、本人のモノローグも、増田明美のナレーションもない。言うときは言うけれど、なんでもかんでも言い過ぎない謙虚な感じが『ひよっこ』の良さのように感じる。言葉の表現が過剰になるのはもっと後の時代なのだ。

このご恩どうやって返したらいいんだか


子供たちが寝静まった夜、みね子は、お祖父ちゃん、お父さん、お母さんが、難しい話をしているところを目撃してしまう。それに気づいた親たちは、大人だからと「金の話」に参加させ、家の事情をみね子に語る。谷田部家は、5年前の不作のときの借金を返すため、お祖父ちゃんもお母さんも働いていて、お父さんが出稼ぎに行ってやっとギリギリ。
みね子は、高校までいかせてもらって感謝していると言い、自分が働いたほうがいいのではないかと提案する。
「わたしはこの夜のことを忘れません(中略)からだが熱くなるくらい照れくさくてうれしくて誇らしいというかそういう気持ちで」
大人がお酒とつまみで難しい話をしている中に入れてもらい、つまみの味も知り、自分も家のために頑張ろうと思うみね子。なんて純朴なんだ、と感動してしまいますが、家計が苦しいから家族みんなで頑張らないといけないというのは、決して他人事ではなく、現代も同じだ。
(木俣冬)