by Lee Key

「手紙を出すこともできるし、実際に街を訪れたり、『マーレイに住んでいる』と人に話すこともできる。でも、本当は存在しない」という街が、アメリカ・イリノイ州の「マーレイ」です。

Living in Marley, the Town That Doesn't Exist | Atlas Obscura

http://www.atlasobscura.com/articles/marley-illinois

マーレイという街が生まれたのは1881年、ジョージ・ハーレイという農家が持つ畑のそばにある丘を崩し、シカゴからイリノイ州ジョリエットを結ぶ鉄道が敷かれた時に由来します。もともとその土地は何もない、信じがたいほどの田舎だったのですが、鉄道が敷かれたことで駅ができ、農家たちがシカゴまで穀物や牛乳を輸送できるようになったことで、地元が一気に活気づいたとのこと。住人であるジュリー・クリーブランドさんによると、19世紀後半から20世紀初頭には、マーレイは活気のある街になり、7月4日のアメリカ独立記念日には街を人々が練り歩くパレードが行われるほどだったそうです。

クリーブランドさんは1962年にマーレイに越してきた女性。街のはずれには農家であったハーレイファミリーとマーシャルファミリーだけが住んでいたのですが、このマーシャルファミリーの一員として迎えられました。実は、この両家が街の存在に大きく関わっており、1879年に街に作られた郵便局が「マーシャル」と「ハーレイ」という2つの名前をくっつけて「マーレイ」と名付けられたことから、「マーレイ」という街の名前が生まれたとのことです。2017年時点、両家の子孫の多くはマーレイで暮らしています。



しかし、活気のあった街で1932年に事故が発生します。列車が脱線し、駅を破壊したのです。その際に壊れた駅は再建されず、街のビジネスは徐々に衰退しだします。そして、最終的に、学校・老人ホーム・キャンドルショップ・教会だけが残されました。

1954年に雑貨店が閉店したことを機に、マーレイから雑貨店の存在は消え、2017年時点のマーレイは、かつてあったという活気の面影がない、住宅などが点在するだけの小さな街と化しています。マーレイは行政的にはニュー・レノックスの一区画とされることもあるのですが、クリーブランドさんは「私たちは自分をモケナやニュー・レノックスといった街の住人とは考えていません」と語っており、マーレイは正式な街ではないものの、独自のコミュニティを作り出しているのが伺えます。

そして、このコミュニティ精神を示すものの1つとして存在するのが「マーレイ・キャンドル」です。マーレイ・キャンドルは60年代から作られており、お店の裏にはマーレイやマーレイ・キャンドルの歴史を描く「祭壇」も作られているとのこと。

Marley Candles| Mokena, Illinois

http://www.marleycandles.com/



Googleマップで確認したところ、キャンドルショップは以下のような感じ。看板に「Marley Candles」と書かれているのがわかります。

キャンドルは今も創業者が行っていたのと同じ方法で作り続けられており、キャンドルショップのアーリーン・ネルソンさんは、「教会とキャンドルショップがマーレイのコミュニティを形作ってきた」と誇りを持っています。



しかし、正式な街ではないマーレイは、「近隣のコミュニティと統合するように」と圧力を受けることもあるとのこと。マーレイは郵便番号を持たず、手紙の宛先に「イリノイ州・マーレイ」とだけ書かれることも多かったため、過去には郵便局長に「正しい住所を書かないと郵便物を届けない」と脅されることもあったそうです。しかし独自のコミュニティを持つ住民たちは自分たちが「マーレイ」に住んでいることに誇りを持っており、意見は衝突したようです。

ただし、かつて廃止された駅が、再び使用されるようになるきざしがあり、今後マーレイが活気を取り返す可能性もゼロではないとのことです。