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アリエル・ノマドってどんな会社

アリエル社はレアな会社だ。

今は亡きオートバイのメーカーとして100年ほど前に存在した会社が17年前にサイモン・ソーンダースによって復活。エキサイティングなクルマを作り上げる会社として名を馳せ、自動車史に名を刻んだ。

ただ、たんにその珍しさが会社の存続を手助けしたわけではない。存続し、かつ繁栄しているという点では、速くて楽しいクルマ作りが大いに影響している。

誰もが欲しいと思うようなものを作ったとき、顧客のなかで金額はさほど大きな問題ではなくなる。そして同時にそれが自社の利益にも直結する。

クオリティや信頼性にもストイックになることも大切だ。さらにアリエルの場合は、常に需要が供給を上回っているということも会社の繁栄に大きく寄与している。

「われわれの作り上げたクルマを買っていただいて、弊社で整備する。そして弊社に売却していただきます」

これはノマドの実に60%にあたるオーダーを担当しているサイモンの息子、シルバート・ソーンダースが誇りにしていること。

ちなみに今は中古のストックもあるとのこと。価格を知りたいならばぐずぐずしている暇はない。

小さなメーカー、存続の秘訣は? 工場はどうなっている?

同業他社がなくなっていくさなか、アリエルがここまでやってこられた秘訣はなんだろうかと問いかけてみた。

「そんなもの、ありませんよ。シンプルに考え、細部までこだわるだけです」とシルバート。

サマセットにある工場を訪れると、巨大な生産ラインもたくさんのクルマも存在せず、こぢんまりとした部屋があって、アトムやエース・モーターサイクルが場所を占有しているだけだ。

「何人かが同時にクルマを組み立てるには、適したスペースとは言えませんね。毎日クオリティと作業スピードとの格闘なので、あなたがここで働くとしたらそれに苦しめられるかもしれませんね」と制作担当は笑う。

工場には6人の作り手がいて、それぞれがニーズに対応した作業にプライドを持ちながら仕事をしている。

しかし新車開発というのはクオリティや信頼性を発売前に証明する必要が出てくる。

「どのクルマを作るにも、まずは2年デザインに費やし、さらに2年開発につぎ込みます。そして部品供給をどう選択するかが鍵となります」とシルバートは語る。

「もちろん車両開発には弊社だけではなく、様々な部品メーカーも関係していて、その数は80〜100ほどあります。大きな会社でいうと、ホンダですね。2.4ℓエンジンを供給してもらっています」

完成しただけでは走れません

そうして完成したクルマは、登録のためにIVA(individual vehicle approval)と呼ばれる機関に持ち込まれ、検査がなされる。もし検査に落ちたならばサービスエリアにてすべてのボルト&ナットから検査され、また組み直さなければならない。

無事にクリアしたら約70kmほどの走行テストが待っている。この作業を経たのち、オーナーのもとへと届けられるのだ。

作業スピードは、恐らく誰も目にしたことが無いほど速い。材料は一気にかき集められ、工場内では作業スピードのレコードを競う作り手たちがいそいそと仕事をしている。

これがアリエルの強みでもあり、1台を作るにあたって必要な時間はおおよそ120時間。複雑なオプションなどの装備が重なると、それは400時間までに膨れ上がる。家庭的なコンパクトカーと比べてもはるかに時間がかかる作業だ。

さて、新しい自動車メーカー設立へのビジョンは描けただろうか?

あなたが必要とすべきは、ほかとは違うクルマで、なおかつ多くのひとが金額に糸目をつけずに「欲しい!」と思わせるような計画性である。

そしてデザイン、開発、これをうまくこなしてくれるような人材を探す必要もある。

簡単か? と聞かれれば答えは「NO」。可能か? という問いには「もちろん可能」と言える。むずかしいが、アリエルが実証しているではないか。