水本(左)らの身体を張った守備が効いていた。 写真:川本 学

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[J1リーグ第6節]G大阪0-1広島/4月7日/吹田S
 
 開幕6試合目にして、広島がようやく今季初勝利を手にした。
 
 前節の柏戦で森保体制初の4連敗を喫し、さらにキャプテンの青山敏弘が左膝の負傷で離脱。チームからいつしか笑顔が消え、かつてないほど重苦しいムードが漂っていた。
 
 では、なぜ今季ここまで無敗だったG大阪を撃破できたのか。
 
 まずは、ファーストチャンスで確実に得点を奪ったこと。これまでの試合でも決定機を作れていないわけではなかったが、仕留め切れない場面が多く、前節には代名詞であるビルドアップさえも機能不全に陥った。
 
 しかし、G大阪戦ではボランチの柴粼晃誠、シャドーのフェリペ・シウバとアンデルソン・ロペス、CFの工藤壮人が絡み、今季初めて流れの中からゴールをゲット。コンビネーションにこだわり気味だったフェリペのミドルシュート(バー直撃)で突破口を開き、工藤に開幕戦以来のゴールが生まれた意味は大きい。
 
 工藤がゴールを決め、ゴール裏のスタンドに駆け寄った瞬間、サポーターと選手のボルテージが一気に上がり、スタジアムの雰囲気はガラリと変わった。2015年は佐藤寿人とドウグラス、2016年はピーター・ウタカがそうだったように、やはりエースが仕事をすれば、チームは勢いに乗るのだ。
 
 そしてもうひとつは、「全員でタフに、粘り強く、走って戦い抜く」(森保監督)姿勢を徹底できたことだ。
 
 ブロックを作り、粘り強い守備で失点を抑えるのが広島本来のコンセプト。開幕5試合はチャンスを逃しているうち堪え切れずゴールを割られていたが、この日は水本裕貴がアデミウソンのカウンターを身体を張って止め、千葉和彦や塩谷司が球際で戦い、GKの林卓人が好セーブを連発した。そのハードワークぶりは、対峙したG大阪の選手に「広島みたいに全員で奪いに行ったりできなかった」(倉田秋)と言わしめるほどだった。
 
 今季リーグ戦初のクリーンシートを達成し、報道陣に「良い守備ができた要因は?」と問われた塩谷は、理由を次のように説明する。
 
「最後まで諦めないこと。走って、戦って、身体を張って守る、それに尽きると思う。工藤をはじめ前の選手が相当な運動量をもってプレスをかけてくれて、シュートを打たれてもみんなが身体を張って、(シュートが)抜けても卓人さんが止めてくれた。本当にチーム全員で守れた結果です」
 もっとも、キャプテンマークを巻いた水本裕貴が「まだ1勝しただけ」と話すように、G大阪戦だけを見て本来の姿を取り戻したと判断するのは早計だ。「今日の勝利が、次の勝利を保証してくれるわけではない」(森保監督)わけで、G大阪戦のハードワークと守備をひとつの基準に、どこまで攻守のクオリティを高めていけるかが巻き返しの鍵になる。(事実、先制した後は追加点を奪えず、パスミスから何度かピンチを迎えている)
 
「守備はこれが最低限やれなきゃいけないレベル。今シーズン負けなしだったガンバに勝てたのは自信になるし、この試合がきっかけになるかなと」(塩谷)
 
「技術・戦術の前に、まずはハードワークするのが我々の原点。今日はいつも以上に、『結束力』『決断力』『絆』あった。ただ、厳しい立場が変わったわけではないので、この戦いを忘れず、良い守備から良い攻撃につなげていきたい」(森保監督)
 
 2015年のリーグ王者がついに目を覚ますか、次節・横浜戦の出来がひとつの指標になりそうだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)