by Kristina C

愛犬を亡くして悲しんでいる人の姿は、犬を飼ったことがない人から、「ただの犬なのに、大げさでは?」と思われがちです。しかし、愛犬は「ただの犬」ではなく、失うことの悲しみは決して大げさではないとアメリカ・ノックス大学の心理学教授であるFrank T. McAndrew氏は語っています。それでも、「自分の悲しみはおおげさなのでは?」と考えてしまう人もいるはず。ということで、実際に愛犬の死を経験したMcAndrew氏が、人々に羞恥心や後ろめたさを無くしてもらうために、 人と飼い犬の間にどれほど強い絆が生まれているのかを科学研究を元にして説明しています。

Why losing a dog can be harder than losing a relative or friend

https://theconversation.com/why-losing-a-dog-can-be-harder-than-losing-a-relative-or-friend-68207

犬が誕生した起源には諸説ありますが、多くの説で、家畜や農耕の歴史よりも長い1万年以上前から犬は人間と一緒に暮らしていると言われています。人類学者のBrian Hare氏も、もともとオオカミだった生き物が長い年月の中で、人間と社会的関係を築けるような「犬」に変化していったのだという「家畜仮説」を提唱しているとのこと。なお、犬の起源については、以下の記事を読むとよくわかります。

犬はどこでオオカミから家畜化されたのか? - GIGAZINE



McAndrew氏によると、犬と人間との間にある絆が人間同士の絆よりも強くなるのは、犬が無条件・無批判でポジティブなフィードバックを返してくるからとのこと。犬の持つこの性質は偶然の産物ではなく、長年にわたって意図的に品種改良をされてきたため。MRIで犬の脳をスキャンした研究では、飼い主に褒められた犬の脳は、食事を与えられた時と同程度、あるいはそれ以上に強い反応を示すことがわかっています。また、犬は人間を認識し顔の表情だけで感情を読み取ることが可能です。そのため、犬は人の意図を解し、飼い主を助けようとしたり、飼い主に対して危害を与える人から飼い主を離そうとしたりします。

このような犬の性質に対して、人間もまたポジティブな反応を返そうとします。犬を見るだけで人は笑顔になるとも言われており、犬を飼っている人は猫を飼っている人よりも幸福度が高いという研究結果が発表されているほど。

また、2016年10月に発表された研究で、犬を飼っている家族は、たびたび家族の名前と犬の名前を呼び間違うことが判明。この傾向は、猫を飼っている家族にはほとんど見られず、犬が家族の一員として認識されることを示す研究結果だとされています。つまり、犬を失うことは家族を失うことに近いというわけです。



by Andrew Branch

心理学者のJulie Axelrod氏は、愛犬を失う悲しみは「ペットを失う悲しみ」に留まらず、絶対的な愛を示してくれる相手、安心と慰めを与えてくれる仲間、そして時には自分の秘蔵っ子を失う悲しみであるという見解を示しています。

愛犬を失った人は友人を失った時よりもストレスを感じることもあり、2016年11月に発表された研究では、犬が動いている気がしたり、息づかいが聞こえたりなどの見間違いや聞き間違いを経験する傾向があることも判明しています。この現象は愛犬が亡くなった直後に、絆が強ければ強いほど生じます。そして、上記のとおり愛犬を失うという経験はあまりにもつらいため、新しい犬を飼う人も多くなるわけです。