集団脱北した北朝鮮レストランの女性従業員ら

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中国・浙江省にある北朝鮮レストランから、男性支配人と女性従業員12人ら計13人が集団脱北し韓国入りしてから、7日で1年となった。

北朝鮮レストランの「美人ウェイトレス」はもともと韓国で関心が高かったこともあり、事件は大きなニュースとなった。

(参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発

その後、女性従業員らの一部(全員との説もある)は特例で大学に入学するなど、韓国での新たな生活になじみつつあるとの報道がある。しかしその一方、「彼女たちは本当に自分の意思で韓国へきたのか」との疑問を提起、朴槿恵前政権が世論操作のため「企画脱北」させたとし、韓国当局を猛烈に非難する人々もいる。

韓国の市民団体「民主社会のための弁護士の会」などは6日、ソウルで記者会見を開き、次のように主張した。 「前代未聞の集団脱北事件が国家情報院により作られたものであるとの疑惑が根強く提起されているが、真相はいまだに藪の中だ」 「政府は女性従業員の生死を含む身辺情報を即時公開し、1日も早く家族の元へ帰すべきだ」

驚くべき主張であると言わざるを得ない。そもそも、「身辺情報を公開せよ」との主張は、集団脱北が起きた当初から、親北朝鮮メディアが主張してきたことだ。

筆者は、集団脱北の裏で韓国当局の意思が作用した可能性を、まったく否定するものではない。

脱北して韓国入りするには通常、たいへんな困難がともなう。それなのに13人もの人数が速やかに韓国入りできたのは、少なくとも、脱北者側のリーダー格の人物と韓国当局が、事前に「打ち合わせ」をしていたからだろう。そこに、女性従業員らが自らの意思で加わったのか、あるいは巻き込まれる形になったのかは、本人たちの口から真相を聞かないことにはわからないからだ。

なので韓国当局には、彼女たちの手記を公開するなり何なりして、社会に理解を求める説明責任がある。この点では、市民団体側の疑念は当然のものだろう。

だが、「1日も早く北へ帰せ」との主張は、常軌を逸したものだと言わざるを得ない。すでに国際的な注目を浴びており、また北朝鮮当局が「拉致された」と主張している彼女らは、仮に故郷に帰ったとしても、政治犯収容所に送られるなどの極端な虐待を受けることはないかもしれない。しかし、「裏切者」のレッテルは一生ついて回り、厳しい監視の中で、一般の北朝鮮国民が胸の内で守っているささやかな自由すら奪われてしまう可能性がある。

さらに彼らは、「時期政府は朴槿恵政権下で強行された反人権的事件の真相を徹底して明かし、責任者を厳重に処罰せねばならない。とくに国情院を即刻、解体すべきだ」などとも主張している。

朴槿恵前政権に対する憎悪のあまり、北朝鮮について完全に見誤っていると言わざるを得ない。これは、韓国の左翼によく見受けられる大きな弱点である。まさか次期政権が、こうした主張をすべて受け入れるとは思えないが、いずれにせよ、脱北した女性従業員らが、韓国社会で翻弄されることのないよう祈りたい。