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●共同商品で攻めるミスド
ダスキンが運営するミスタードーナツ。売上は長年低迷しているが、新商品開発、店舗戦略を進めており、今年のミスドは大きく変わりそうだ。

○注目商品のコンセプト

ダスキンは6日、2017年度の注目の新商品を披露した。コンセプトは「misdo meets」。これは他社と共同開発をして、新たな商品を生み出そうという試みのことだ。

その第一弾が「misdo meets 祇園辻利」である。宇治抹茶専門店の祇園辻利の抹茶を使用したドーナツ6種とドリンク2種を4月7日から5月中旬までの期間限定で販売する。抹茶の褪色を防ぐためにビタミンが利用されることが多いというが、本物の抹茶の味を味わってもらうためにそれらは利用していない。ミスド、祇園辻利が工夫を重ねて作り上げた商品だ。

試食する機会を得たが、口にした瞬間はドーナツの甘みを感じるものの、最後の最後で「祇園辻利です」と存在を主張してくる。口中に甘みを残さずに、抹茶の苦味が最後に引き締めてくれる不思議な味わいだった。

このほか、試食はできなかったが、女性に人気のラーメン店「ソラノイロ」と共同開発したベジ涼風麺2種を4月26日から期間限定で発売、さらに6月下旬からはハウス食品との共同開発商品「世界のカレードーナツ(仮称)」を販売する予定だ。パートナー企業はまだ明かせないとしつつも、今回の3社にとどまらずに「misdo meets」は続いていく。

●復活に向けた本気度
○ミスドの本気度

これまで商品の監修はあったものの、共同開発はミスド初との取り組みとのことで、何かを変えたいという気持ちが強くあるようだ。それは新商品発表会の冒頭で、宮島賢一専務が語った言葉からも伺える。

同氏は、かつて使われていたブランドスローガン「いいことあるぞ ミスタードーナツ」を持ち出し、今年はミスドを大きく変えていくと宣言。共同開発商品は、何度もリピートしてもらえるように、新しい価値を提供しようと考えた結果だと話す。

宮島専務の言葉に「歯ざわりのいい言葉が並ぶなあ」というのが最初の印象だった。そもそも、新しい価値のために、共同開発をしなくとも、自社開発という道もあったはずだ。それに、コラボ商品は世の中に数多くあり、何もミスドばかりが特別なことをしているわけではない。

しかし、掘り下げて宮島専務に話を聞くと、印象は大きく変わる。低迷の原因に関して、多方面から分析、その最適解として今の取り組みがあり、本気で「大きく変わるぞ Mister Donut」になろうとしていることがわかるからだ。

○自社開発ではない理由

なぜ、共同開発に出たのか。その答えとして宮島専務は、日本で一人世帯が増え、ファミリー層が減っているなかで、ドーナツに求められる商品の幅が求めらているからと話す。多様な商品求められつつも、スイーツの流行は非常に短く、話題性、高品質をセットで商品に詰め込むには、コラボレーションが一番最適という結果に至ったようだ。

しかしである。ドーナツを巡る競争は激しい。近年ではコンビニ各社がドーナツを販売。ミスドの業績低迷は、コンビニドーナツが大きく影響しているというのが、一般的な見方だ。今回のような共同開発をした新商品を出しても、ミスドは大きく変化できるのか、という疑問が出てきてしまう。

これに対して宮島専務はコンビニドーナツの影響はそれほどないと主張する。「コンビニのスイーツはついで買いの商品。ミスタードーナツのお客さんはドーナツを買いに来られるので、買い方がまったく違う」と話す。これはコンビニに対する配慮なのか、と思える発言だが、実は昨年の発表会でもほぼ同一のことを話しており、どうやら本音のようだ。 となると、浮かんでくるのが新たな疑問。それは、ミスドが低迷した真の理由だ。

●ミスド復活に向けて
○ミスド低迷、新の理由は?

低迷する根本的な原因について宮島専務は次のように話す。「同じタイプの店舗を大量に作っていた時代があった。どこもキッチンがあり、大量生産でコストを下げてやってきた。けれど、これだけ少子化が進み、ファミリー層が減ってくると、大量の商品を作って、テイクアウト式の商売を続けていくのは限界に来ている。それが10年間の数値として現れていると思う」。

新商品開発のところでも、日本人の家族構成に変化が生じ、商品のあり方が変わったと述べたが、それは売り方も同じということだ。にもかかわらず、ミスドは何年も前の売り方を踏襲してきた。だから、低迷してしまったというわけだ。

「ドーナツが嫌いな人はほとんどいない。でも、ミスタードーナツになんで行かないの? となると、お客さんの行くきっかけ、要望に応えられていないというのが事実だと思う。10年、20年と店舗を出してからほとんど改装をせずに来ている。以前はファミリー層が多かった街が今やシニアの街に変わっていることもある。3年かけて小ロット生産、店舗の改装、これらを利用目的に合わせて動いている。改装、出店、クローズの繰り返しをやらないとドーナツの隆盛はない」(宮島専務)。

○一気に進める改革

言葉通り、ミスドは今、変わろうとしている。店舗改装を進めるのと同時に、テイクアウト専門店「Mister Donut to go(ミスタードーナツ トゥゴー)」を昨年11月から展開を開始。消費者とのタッチポイントを増やすために、駅ナカなど人通りの多い場所に200店舗をメドに出店する計画だ。そして、新しい価値を提供する新商品を! ということで、今回の共同開発商品の発表というわけである。

お客さんがドーナツに求めるのは何か。見たことのない新しいドーナツだ、カフェスタイルの落ち着く店舗だ、手軽に買える場所だ――。低迷の理由の分析し、それを一気に変えようとしているのがミスドである。

このうちのひとつだけが成功しても、おそらく短期的な効果でしかないだろう。複数の取り組みが成功して初めて「なんだか変わったね、最近のミスド」と感じる人が増え、ミスドが大きく変わっていくのではないだろうか。「大きく変わるぞ ミスタードーナツ」。ミスドの取り組みとメッセージは、果たして消費者に響くだろうか。

(大澤昌弘)