動物や植物は自分の身を守るために、毒を持っていることがあります。よく知られたところではマムシやフグ、キノコなどがあげられます。実は私たちが普段食する身近な野菜にも、天然毒素が含まれているものがあります。過剰に恐れることはありませんが、毒を含む部分を取り除いたり、摂取量に気をつける必要があります。

中毒症状をおこしやすい天然毒素

天然毒素とは動物や野菜がもつ自然の毒のことです。他の生物に害を与えることを目的とし、毒を保有する動物や植物自身には毒の影響がないのが特徴です。毒と言っても全てが猛毒なわけではありません。死に至るほどの強い毒ではないけれど、私たちが普段利用する野菜にも毒素が含まれていることがあります。例えばジャガイモの芽は取り除いた方が良いと言うのは、芽に天然毒素が含まれているからです。天然毒素を摂ると吐き気や頭痛などの中毒症状が起こる場合があるので、注意が必要です。

ジャガイモの天然毒素について

ジャガイモが含む天然毒素はソラニンやチャコニンであり、おもに芽と緑色に変色した部分に多く含まれています。通常ジャガイモには100gあたり約7,5mgのソラニンやチャコニンが含まれており、皮の周辺に集中しています。ジャガイモが緑色に変わるのは、光に当たることでクロロフィルが作られるからですが、この緑色の部分には100gあたり100mg以上ものソラニンやチャコニンが含まれているそうです。

ジャガイモの天然毒素が中毒を引き起こすことはよくあります。実際に、小学校の調理実習でジャガイモの芽などの処理をしなかったために、食中毒が起こる例が毎年のようにあるそうです。食中毒を防ぐために、ジャガイモは光に当てないようにして保存しましょう。調理するときは必ず皮をむくようにして、芽と緑色に変色した部分は、深くえぐるようにして除去しましょう。

身近な野菜に含まれる天然毒素

天然毒素を含む野菜をいくつかご紹介しましょう。

●ギンナン

一度に摂りすぎると呼吸困難やけいれんを起こす恐れがあります。

●白インゲン

生のまま食べると吐き気や下痢などの中毒が起こりやすいです。しっかり加熱しましょう。

●モロヘイヤ

天然毒素を持つ部分はモロヘイヤの種子であり、昔アフリカでは毒矢の成分として利用されていたそうです。市販のモロヘイヤは種子が取り除いてあるので、安心していただけます。

●アジサイの葉

アジサイの葉を食べることはあまりありませんが、料理の飾りとして使い、食べてしまう例があるそうです。食べると嘔吐などの症状が起こる恐れがあります。

●青梅

熟していない果実や種の中心部分に天然毒素を含んでいます。梅干しや梅酒作りに利用する場合は問題ありませんが、そのまま生で食べないようにしましょう。


writer:Akina