駐車場などでの踏み間違い事故減少には効果がある

駐車場などで起きるペダルの踏み間違い事故について、「MT(マニュアルトランスミッション)であれば起き得ない」という声がある。ただし、ペダルの踏み間違いなどに起因する『意図しない加速』について駐車場などで起きる事故の被害が目立っているだけで、調査すると道路上の走行中にも起きているという。ブレーキペダルを踏もうとしてアクセルペダルを踏んでしまうというヒューマンエラーは、それなりの確率で起きているのだ。

停車状態からの発進であればMTはクラッチ操作が必要なので踏み間違えたとしても、即座にリカバーできる可能性が高いかもしれないが、シフトチェンジが不要な速度で走行中に起きる踏み間違いについてはMTであっても発生している。MTにすれば「すべての踏み間違い事故が防げる」とはいかないようだ。

もっとも、駐車場などで起きる踏み間違いに起因する事故はMT車であれば防げる可能性が上がるだろう。しかし、交通事故というのは駐車場だけで起きるものではない。むしろ、それ以外の道路上で起きているほうが多い。たとえば速度超過や脇見といった原因によって起きる事故についてはトランスミッション形式との関係性はあるのだろうか。

すなわち、ATが主流になるなかで交通事故は増えてきたのかという疑問が浮かぶ。「クルマ離れ」などと言われているが、日本国内の保有台数自体は増加傾向にある。つまり、もしも台数に対して一定の割合で交通事故が起きているとすれば事故件数は右肩上がりになるはずだ。

MT主流時代に比べて保有台数が増加しても事故は減少している

しかし、警察庁の資料によると日本国内での交通事故発生件数のピークは2004年の95万2709件で、2016年の発生件数は49万9201件と大幅に減っている。ちなみに、MTが主流だった昭和40年代で事故が最多だった1969年の発生件数は72万880件。

信号などの整備状況やドライバーへの啓蒙活動など条件が異なるので横並びで比較できないが、トランスミッション形式と事故発生率に相関関係があるとは言えなさそうだ。なお、事故件数には二輪も含まれている。

ちなみに、ピックアップした年における乗用車の国内保有台数は以下の通り。

1969年:551万4190台

2004年:5528万8124台

2016年:6083万1892台

※一般財団法人 自動車検査登録情報協会調べ

それぞれの個体において運用されている時間や距離は一定ではないので、保有台数をそのまま母数とするのはフェアではないが、クルマの数が10倍以上になって交通事故件数が減っているわけだから「ATが主流になったことで事故が増えた」とは言えなさそうだ。