松山英樹(25歳)、6度目のマスターズ挑戦。その初日は、7番ホールでダブルボギーを喫するなどして、前半「39」、後半「37」、トータル「76」の4オーバーと崩れた。


マスターズ初日、4オーバーと出遅れた松山英樹「納得できない。(風は)昨年も吹いていた。それは仕方がないこと。その中でうまくプレーできなかった」とラウンド後、松山は憮然とした表情で語った。いや、自分自身に憤懣(まん)やるかたないといった感じだった。

 誰にこの気持ちをぶつければいいのか。いや、自分の中でしかこの気持ちは処理できない、ということは承知していた。

 松山は今や、地元の新聞でも、全米のテレビやその他のメディアでも、「すでにグリーンジャケットをオーダーメイドできる選手」と、優勝候補の中に選ばれている立場なのである。だから、余計にイライラが募る。

 こんなはずがない。どこで歯車が狂ってしまったのだろう。すべての準備を整えてやってきた。調子はベストではないけれど、決して悪くない――そうした気持ちが、松山の脳裏を横切っていたのだろう。

 春の嵐だった。長い間マスターズの取材をしてきて、これほどの寒さと強風はあまり記憶にない。おそらく、これまでの中でも屈指の悪いコンディションだったと思う。

 キャディーや選手たちがかぶっている帽子も、少し油断して浅くかぶると、あっという間に風で吹き飛ばされる。真っ白くて細かいバンカーの砂も、まるで砂嵐のように舞い上がっていた。

 半袖でスタートした池田勇太(31歳)も、「『気合いを入れて』という気持ちで、半袖でプレーしたけど、気合いだけでは我慢できないほど寒くて、途中で分厚いセーターを着込みました」というほどである。

 ジョーダン・スピース(23歳/アメリカ)は、パー5の15番ホールで2打目を刻んで、池の手前に落として3打目勝負に出た。ところが、その3打目がなんと池に落ちた。

 どの選手も、ショートゲームの縦の距離が計算できず、極端にオーバーしたり、ショートしたりするシーンが何度となく見られた。風の影響が強すぎて、まったく距離感が読めないのだ。

 松山は、1番ホールからずっとそんな状況でもなんとか我慢してパープレーを続けていた。それは、初日のゲームプランどおりである。

 前半は、静かに、静かにプレーして、後半でスコアを獲りにいくのが、このオーガスタでの定石。だから、我慢のゴルフは想定内だった。ましてや、この悪天候。みんなが苦しんでいることは、誰でも想像できる。

 松山のリズムを狂わせたのは、7番ホール。450ヤードのパー4だった。

 ティーショットを左へ。そこからグリーンを狙うが、その第2打が大きくグリーンオーバーしてしまう。結果、グリーン周りをずらりとバンカーが囲んでいることで有名なこのホールで、ダブルボギーを叩いてしまった。

 このダブルボギー、(グリーンオーバーした)2打目が悔やまれるのか、それとも(木に当てて手前のグリーンエッジまで転がった)3打目が悔やまれるのか? という記者の質問に、松山は「2打目です。52度(のウェッジ)で打った1打です」と言葉少なく言い切った。

 後半に入っても、リズムは戻らない。ドライバーショットが乱れていた。

 フェアウェーキープ率が、64.29%で全体の44位。それでも、いつもなら得意のパッティングでカバーしていたものの、この日はそれもままならなかった。

 なんと平均パット数は、1.94と最下位のひとつ上。つまりブービーである。これではスコアは作れない。

 入らない。これほど入らないことも滅多にない。でも、その最悪な日を、大切なマスターズの初日に迎えてしまったのだ。

「(上位との差は)大きいですけど、いいプレーができれば、まだチャンスはあると思う。できなかったら……」と言って、松山の言葉が止まった。

 松山が底力を見せるのはこれからだ。2日目、どう立て直してくるのか、興味深い。


マスターズの情報が満載!
三田村昌鳳氏のフェイスブック『All about The Masters』はこちら>

■ゴルフ 記事一覧>>