2017年 SUPER GTプレビュー@GT300編

 4月8日〜9日に開幕を迎える2017年のスーパーGTシリーズ。GT500クラスと同様にGT300クラスも大激戦のシーズンとなりそうだ。また、今シーズンは「ベントレー・コンチネンタル」や「トヨタ・マークX」など初参戦マシンも登場し、見どころは例年以上に増している。

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あのベントレーがスーパーGTの舞台で走ることになった GT500クラスとは違い、GT300クラスは使用できる車両の条件が比較的広く、最近では「市販のレーシングカー」も続々と登場している。それを購入して参戦するプライベートチームも増え、今年は合計30台が年間エントリーを行なった。

 そのなかには、日産やトヨタなど国内メーカーはもちろん、メルセデス、BMW、ポルシェ、ランボルギーニなど海外のレーシングカーも参入している。さらに今年は、イギリスの高級車メーカーとして知られるベントレーが開発したマシン「コンチネンタルGT3」も参戦。3月に岡山国際サーキットと富士スピードウェイで行なわれた公式合同テストに登場し、さっそく注目を集めていた。

 ベントレーで参戦してきたのは、愛知県で輸入車ディーラーを展開するアイカーズが発足したチームで、車両名は「EIcars BENTLEY GT3」。ドライバーはF1も走ったことがある井出有治と、国内レースの経験豊富な阪口良平のコンビだ。富士でのテスト1日目では一時クラス3番手タイムを記録するなど、いきなり速さを見せていた。

 また、今年からはレクサスがFIA-GT3規格(※)のマシン開発に本格参入してきた。新型のレクサス「RC F GT3」が「LM corsa」から2台で参戦する。すでに今年初めに開催されたデイトナ24時間レースを皮切りに海外のレースで実戦投入されており、公式合同テストでも好調ぶりを披露。開幕戦から強豪チームを脅かす存在になりそうだ。

※FIA-GT3規格=FIA(国際自動車連盟)が定めている世界共通規格。市販するスポーツカーをベースに製作された市販のレーシングカーで、多くの参戦チームは製作したメーカーから車両を購入してそのままレースに出ることができるため、クルマの開発費を削減できるなどのメリットがあるとして注目されている。

 さらに、これまで86/BRZレースやスーパー耐久に参戦してきた「埼玉トヨペットGreen Brave」もGT300クラスに初参戦する。マザーシャシー規格(※)で3車種目の「トヨタ・マークX」を導入。ドライバーはスーパー耐久でチャンピオン経験もある平沼貴之と、2011年のGT300王者である番場琢(ばんば・たく)だ。チームカラーである緑一色のマシンで、街中でもよく見かける「トヨタ・マークX」がベースとなっているため、サーキットでも注目の的となるだろう。

※マザーシャシー規格=2015年からシリーズ戦に本格導入されている車両規格。国産レーシングカーの開発・参戦機会を増やすために、クルマの骨格となるモノコックは定められたものを使用。規定で使用しなければいけないパーツを統一するなど、車両の開発コスト削減を目指した規格。

 以上の3車種を含め、今年は年間エントリーの段階で13車種が揃うGT300クラス。さまざまな特徴の異なるマシンが並ぶため、開幕戦はまったく優勝予想ができない激戦となりそうだ。

 振り返ると2016年は、海外のFIA-GT3規格の車両がそろってモデルチェンジしてスーパーGTに参戦してきた。なかには2015シーズンから欧州のレースでデビューを果たしているマシンも多く、そこでの活躍から2016シーズンはFIA-GT3車両が上位を独占するのではないかと思われていた。

 しかし、シーズンが始まってみると国産で開発されたマシンJAF-GT規格(※)と、マザーシャシー規格のマシンが快進撃を見せ、土屋武士/松井孝允組の「VivaC 86 MC」がシリーズチャンピオンを獲得。2015年から導入されたマザーシャシー規格のマシンが初めてタイトルを手にした。

※JAF-GT規格=前身の全日本GT選手権がベースとなっているスーパーGT独自のGT300クラス規定。基本的に改造範囲が狭いのが特徴。国内メーカーが開発・製作して参戦しているケースが多く、現在では「トヨタ・プリウス」や「スバルBRZ」がこの規格で参戦中。

 連覇を目指す今シーズン、土屋は監督兼エンジニアとなり、昨年全日本F3選手権でチャンピオンに輝いた山下健太が加入。3月18日〜19日に行なわれた岡山国際サーキットでの公式合同テストでも好調な走りを見せている。

 しかし、そこに食らいついてきたのがFIA-GT3勢だ。特に星野一樹/高星明誠組の「B-MAX NDDP GT-R」は岡山に加えて富士での合同テストでもトップタイムを記録し、周囲を大いに驚かせた。

 ここ数年の彼らは毎年どこかのレースで勝利し、チャンピオン争いにも加わるものの、最終戦のもてぎでいい結果を残せず悔しい思いをしてきた。富士では例年強さを見せているが、岡山でもトップタイムを叩き出したことで、ライバルたちもより警戒を強めている。果たして開幕戦でどんな走りを見せるのか、目が離せない。

 また、谷口信輝/片岡龍也組「グッドスマイル初音ミクAMG」も、合同テストでは常に上位をキープしていた。初音ミクのカラーリングでお馴染みのチームだが、今年は「初音ミク・レーシングプロジェクト」が発足して10シーズン目。節目の年に何としてもチャンピオンを奪還したいと陣営も意気込んでいる。昨年から導入された「メルセデスAMG GT3」の特性も掴みかけている様子で、昨年は不運もあってポイントを稼げないこともあったが、今年は間違いなく手強い存在になりそうだ。

 この他にも、勝利を手にするためにテコ入れをしてきた注目チームが多数いる。開幕戦の岡山はGT500クラス以上に目の離せないバトルが展開されることだろう。

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