明るい「おデブさん」を目指そう(写真はイメージです)

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太っていることは本当に健康に悪いのだろうか。また、恥ずかしいことなのだろうか。

世をあげて、「やせよう」「ダイエットしなくちゃ」という大合唱が叫ばれている中、「太った人を責める風潮が肥満の人を不健康にしている」「太っていることを気にしなければよい」という画期的な研究が発表された。

「肥満にかけては誰にも負けない」人々をテスト

この研究をまとめたのは米ペンシルベニア大学のレベッカ・バール博士らのグループだ。米の肥満学専門誌「Obesity」(電子版)の2017年1月26日号に発表した。米国には「ファット・シェイミング」(fat shaming)という言葉がある。太った人への侮蔑、差別、いじめ、偏見を意味する言葉だ。また、太っている人自身が自分を恥じることを意味する場合もある。

論文要旨によると、研究グループは、肥満者自身が「ファット・シェイミング」の意識を持っている場合に健康にどのような影響を与えるか調べた。日本人から見ると、かなりの高レベルの肥満男女159人(21〜65歳)の協力を得た。全員、新しい肥満治療薬のロルカセリンの臨床試験に応募した人々だ。この薬の試験の対象者の条件は、肥満指数のBMI(体重÷身長÷身長)が「33」以上だった。BMI33とは170センチの身長だと体重が約95キロ。159人の平均BMIは41だったというから、170センチの身長だと約118キロになる。日本人にはめったにいない「おデブさん」たちである。

研究チームは、この人たちの血糖値、中性脂肪、コレステロール値、代謝機能、運動習慣などの「健康度」を検査する一方、自分の肥満に対する意識を調べた。これは「体重偏見内面化基準」と呼ばれる心理テストで、肥満について肯定的にとらえているか、否定的にとらえているかを次の11項目の質問に答える。

(1)肥満にかけては、私は誰にも負けないと思う。
(2)私は太っているから、ほかの多くの人より魅力がないと思う。
(3)肥満のせいで、他人にどう思われているかいつも不安だ。
(4)体重を劇的に減らしたいと願っている。
(5)肥満であることを思うといつも暗い気持ちになる
(6)太っている私が嫌いだ。
(7)自分の人間的価値を考える時、体重を中心に考えてしまう。
(8)太っている限り、私には充実した社会生活を送る価値がない。
(9)太っていても全く問題はない
(10)太っている自分は、本当の自分ではないように思う。
(11)もし魅力的な相手が自分と付き合いたくなったとしても、相手の気持ちが理解できない。なぜなら私は太っているから。

「肥満は恥ずかしくないという意識を持って」

それぞれの質問に対し、「強くそう思う」から「まったくそう思わない」まで7段階で答えてもらい、対象者がどの程度、自分の肥満を恥じているかを測り、健康度との関連を調べた。その結果、肥満を「悩んでいない人」から「非常に気にしている人」まで3段階にわけて分析すると、次のことがわかった。

(1)上位の「悩んでいない人」は下位の「非常に気にしている人」に比べると、全ての数値の平均がよく、よく運動していた。「非常に気にしている人」の中には外出さえしない人が多かった。
(2)メタボリックシンドローム(代謝異常症候群)になるリスクは、「気にしていない人」は下位の「非常に気にしている人」に比べ、46%低かった。また、脳卒中や動脈硬化の危険が高い高脂血症になるリスクは88%も低かった。

つまり、同じくらいの高いレベルの肥満の人でも、気の持ちようで、自分の体を恥じていない人は健康にいい影響を与えるのだ。

今回の結果について、バール博士は論文要旨の中でこう語っている。

「肥満を恥ずかしいこととすることで、肥満者がダイエットに励み、健康を改善させようとするだろうという思い込みが社会にあります。しかし、そのような肥満者を見下す風潮は逆の効果をもたらすことを私たちの研究は明らかにしました。肥満者を悩ませ、苦しませることが彼らのストレスを高め、より多くのカロリーをとるようにしています。太った外見が恥ずかしいと感じると、運動をさけるようになります。肥満は恥ずかしいことではないという意識を肥満者自身も持ってください」