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■どんなクルマ?

今、まさに熟成の極みにあるといえるコンチネンタル

現行モデルのベントレー・コンチネンタルは、まずクーペボディーの「GT」が2010年秋に、そしてオープン仕様の「GTコンバーチブル」が、翌2011年秋に発表された。もちろん現在までの間に、ベントレーはコンチネンタル・シリーズの商品力をさらに高めるために、さまざまな追加車種や改良策を展開してきた。その中でも最も大きなトピックスといえば、やはり4ℓのV型8気筒ツインターボ・エンジン搭載モデルの新設定だろう。それはより高水準での運動性能と環境性能の両立を実現すると同時に、ベントレーに新しいカスタマーを導くための、強い追い風を生み出した。

この現行コンチネンタル・シリーズに、そろそろフルモデルチェンジのスケジュールが迫っていることは、先日新たなフラッグシップモデルとして、6ℓのW型12気筒ツインターボ・エンジンを、710psにまで強化した「スーパースポーツ」が誕生したことからも明らかだ。先代コンチネンタルがそうであったように、ベントレーはおそらくはこのスーパースポーツを究極形として、次世代への歩を進めることは間違いのないところ。つまり現行コンチネンタル・シリーズは今、まさに熟成の極みにあると表現することもできるのだ。

■どんな感じ?

2,500kgオーバーからは考えられないパフォーマンス

今回は、現行コンチネンタルのラインナップから、2台のコンバーチブルをドライブして、その魅力を再確認してみることにした。試乗したのは、コンチネンタル・シリーズの中では車両価格が最も高価なモデルとなる「GTスピード・コンバーチブル」と、デビュー以来、スポーツ志向の強いカスタマーから、常に高い評価を得てきた「GT V8Sコンバーチブル」。スピードには642psの最高出力を誇るW型12気筒が、またV8Sには528psのV型8気筒エンジンが搭載されている。組み合わされるミッションに8速ATを、そして駆動方式をフルタイム4WDとしているのは、両車に共通する仕様だ。参考までに最高速と0-100km/h加速は、スピードが327km/h & 4.4秒、V8Sは308km/h & 4.7秒という魅力的なデータ。スペックシートには、いずれも2,500kg以上の数字が車両重量として示されていることを考えれば、それは驚異的な運動性能ともいえる。

エクステリアやインテリアのカラーに始まり、さまざまな仕様にコーディネイトしていくことが可能なのも、ベントレーのカスタマーに与えられた、オーダー時の大きな楽しみだが、実際に用意された試乗車もまた、各々に個性的でかつ美しい、そしてもちろん上質なフィニッシュが施されたモデルだった。モロッカン・ブルーと呼ばれる、鮮やかなエクステリア・カラーや、ダークティントのアルミ・フェイシア・パネルなどをコーディネイトしたスピードは、まさに究極のパフォーマンスとラグジュアリーというものを、その第一印象から想像させてくれたし、一方のV8Sはバイオレットのエクステリア・カラーと、リネン&インペリアル・ブルーのインテリアで、よりスポーティな、そして若々しい雰囲気が醸し出されていた。4層構造のソフトトップをオープンすれば、インテリアのフィニッシュはさらにダイレクトに視界に飛び込んでくるから、コンバーチブルを選ぶカスタマーにとっては、オーダー時の悩みはさらに大きくなりそうだ。

ドライビング・ファンが最優先されるベントレーのポリシー

まずは642psのW型12気筒エンジンを搭載するスピードのステアリングを握る。これもベントレーの伝統的なスタイルを継承するコクピットまわりは、実に機能的にデザインされている。それはどのようなモデルであっても、ベントレーが常に最優先するのはドライビング・ファン、すなわち走りの楽しさなのだということを主張しているかのようだ。さらに驚かされるのは、リア・シートまわりにも必要にして十分な居住スペースが確保されていること。ソフトトップをクローズした状態でも、圧迫感を強く感じることはないし、シート自体も素晴らしい座り心地とホールド感が印象的だ。これほどまでの高級感に包み込まれると、むしろ少しでも長い時間を車内で過ごしたいという気持ちさえも生まれてくるから不思議だ。オープン・エアの爽快感をドライバーとパッセンジャーの全員で楽しむことも可能ならば、ソフトトップをクローズして、こちらも最高のクオリティを誇るオーディオ・システムからのサウンドを楽しむのもよい。アクセル・ペダルを意識的に強く踏み込まなければ、キャビンは高級サルーンそのものともいえる静粛な空間に保たれる。実際に一般的なストリートや高速道路でのドライブならば、低速域から十分な厚みを感じるトルクの恩恵で、アクセルの開度は常に小さなままで事足りる。

クーペ・ボディのGTスピードに対して、コンバーチブルは車両重量では170kgのハンデを持つが、そのほとんどはクーペと同水準の剛性を得るために費やされているのだろう。オープン時にも剛性の不足や、それを理由とする乗り心地の悪さを感じるような場面は皆無だったし、可変システムを持つエア・サスペンションを、中で最もハードなセッティングとしても、十分な節度を感じる乗り心地が演出されているのが分かる。ただし4段階のセッティングから好みのものを選択するプロセスには、スイッチとタッチ・パネルの両方を操作する必要がある。次期モデルでは改善を期待したいところだ。

642psの最高出力、そして840Nmの最大トルクは、さすがに感動的だ。どのような速度域でも抜群のスタビリティを感じるのには、まずはフルタイム4WDという駆動方式の効果を理由としてあげなければならない。誰よりも速く、そして快適な長距離移動が可能なオープン・モデル。それがこのコンチネンタルGTスピード・コンバーチブルといえるのだ。

シャープで軽快なハンドリングが持ち味のV8S

一方のV8Sは、さらにスポーティなテイストをカスタマーに感じさせてくれるモデルだ。最高出力では114psものハンデがスピードに対してはあるものの、それが不満として感じられないのは、やはりシャープで軽快なハンドリングが楽しめるというV8モデルならではの魅力があるからだろう。エンジンそのもののスムーズさも感動的で、こちらもツインターボによる過給を得ているものの、ターボラグという言葉とは一切無縁の、素晴らしいレスポンスと低速域からのトルクフルな印象を伝えるエンジンに仕上げられている。コーナリング時に特に魅力的に思えるのは、やはりステアリングを切り込んだ瞬間の、ナチュラルなターンインの動き。コンチネンタル・シリーズで、しかもコンバーチブルでサーキットをドライブするような機会は、一般的なカスタマーにはまずないのかもしれないが、チャンスがあるのならばそれを体験することをまずはおすすめしたい。ベントレーがなぜ超高級車市場において、自身の存在感を強くアピールできているのか。その理由の多くは、走りの中にこそ隠されている。

V8Sでも、機能性や実用性の高さはまったく変わることはない。ソフトトップの開閉はもちろんフル・オートマチック、それに必要な時間もほとんどストレスを感じさせることはない。オープン時のエアの流れが十分に検証されていることも、見逃してはならない魅力のひとつ。サイド・ウインドウを上げておけば、日本の高速道路の速度域ならば、頭上にわずかなエアの流れを感じるのみの、快適な走行を楽しめる。

■「買い」か?

完成形とも言えるコンチネンタル、あなたならどの1台?

最初にも触れたように、現在のコンチネンタル・シリーズは、まさに熟成が極まった完成形ともいえるもの。それは後世においても価値が失われることはないだろう。ちなみにコンチネンタルGTコンバーチブルのラインナップには、ほかにコンバーチブルとV8コンバーチブルが用意されており、前者は590psのW型12気筒エンジンを、後者は507psのV型8気筒エンジンを搭載する。そして最強バージョンのスーパースポーツも、近く日本に上陸することになるのだろう。どのモデルをどのような仕様でオーダーするのか。これほどまでにオーダーの楽しさを感じるブランドはほかにはないだろう。

ベントレー・コンチネンタルGTスピード・コンバーチブル

■価格 29,300,000円 
■全長×全幅×全高 4820×1945×1390mm 
■ホイールベース 2745mm 
■乾燥重量 2530kg 
■エンジン W型12気筒5998ccツインターボ・ガソリン 
■最高出力 642ps/5900rpm 
■最大トルク 85.6kg-m/2000rpm 
■ギアボックス 8速オートマチック 
■サスペンション ダブル・ウィッシュボーン / マルチリンク 
■ブレーキ 4輪ベンチレーテッド・ディスク 
■タイヤ 275/35ZR21 
■燃費(EUドライブサイクル混合) 6.7km/ℓ 

ベントレー・コンチネンタルGT V8Sコンバーチブル

■価格 25.300,000円 
■ホイールベース 2745mm 
■乾燥重量 2560kg 
■エンジン V型8気筒3992ccツインターボ・ガソリン 
■最高出力 528ps/6000rpm 
■最大トルク 69.3kg-m/1700rpm 
■ギアボックス 6速マニュアル 
■サスペンション ダブル・ウィッシュボーン / マルチリンク 
■ブレーキ 4輪ベンチレーテッド・ディスク 
■タイヤ 275/40ZR20 
■燃費(EUドライブサイクル混合) 9.2km/ℓ