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■どんなクルマ?

控えめだが、エレガントで堅実

アウディの4座オープンには定評がある。初代は1991年に登場したB4世代のカブリオレで、90年代のブランド・イメージを牽引した。そういえば、ダイアナ元妃もB4カブリオレのオーナーだったっけ。

それがA4から分離し、A5カブリオレとして生まれ変わったのが2009年。控えめながらエレガントで堅実、オープンとしては安全、といった個性は十分に認知され、好評を得ている。

フル・モデルチェンジを受けたこの新型も、その本質に変わりはなく、わずかに長くなったが外観もすぐにA5だと認識できるもの。ただしMLBエボ・プラットフォームの恩恵で、大幅に軽量化された。

試乗したのは、191psの2.0ℓ「TDI」ターボ・ディーゼルに、7速DCTを組み合わせたFFモデルで、燃費の公称値は22.2km/ℓ。エントリー・グレードのSEであれば£40,000(552万円)を切るが、今回はより華やかなSラインをチョイスした。

■どんな感じ?

いい意味で先代とそっくり

先代モデルとそっくりだ。造りがよく、上々のルックスと円熟した走りを備えている。

こと走りに関しては、エンジンによるところが大きい。アイドリングでは穏やかながら軋るようなノイズを発するものの、走り出せばすぐさまスムーズさを発揮し、静かでよくしつけられていることがわかる。

オープンカーに乗りたいけれど、いたずらに気分を高揚させたくないといった向きには、ふさわしいパワー・ユニットだ。

軽量化とデュアル・クラッチATの採用は間違いなく、なめらかな走りに貢献している。1690kgと決して軽いクルマではないが、それでも先代より55kg削減されており、1750rpmで40.8kg-mに到達するトルクは運転を容易にしてくれる。さらに、その美味しい領域をキープするのも、このギアボックスならばイージーだ。

0-100km/h加速は8.3秒とややじれったいが、急加速時にもディーゼルのノイズは気にならず、ドライブトレインやシャシーにも、無理をしているような印象はない。

このFFのカブリオレはハンドリング面に目新しさはなく、卓越したスポーティさは味わえないが、使い勝手や日常遣いレベルでの敏捷さが限定されるものではない。なんなら「クワトロでなくてもいいかも」とさえ思えてくる。

アダプティブ・コンフォート・サスを推す

Sラインはロー・ダウンしたサスペンションが標準装備だが、試乗車には19インチのタイヤとともにオプションのアダプティブ・コンフォート・サスペンションが装備されていた。

低速域での乗り心地の硬さを考慮すれば、スタンダードな仕様ではなく、このオプションのほうを強くおすすめしたい。

室内環境はどうだろう?

オープン走行時には20秒で設置できるプラスティックのウインド・ディフレクターをお忘れなく。これがないと、キャビンは強い巻き込み風に晒されることとなる。

ちなみにルーフは15秒で開き、18秒で閉じる。クローズ状態になれば、キャビンの静粛性は申し分ない。

インテリアはもちろん最上級の仕上がりで、付け足すものがこれ以上ないほどだ。わずかに延びたホイールベースは、後席のレッグ・ルームに目覚ましい改善こそもたらさなかったが、それでもかなりのスペースがあり、ヘッドルームも十分広い。フル4シーターと呼ぶにふさわしいもので、しかもトランク容量も大きい。

■「買い」か?

クーペよりもオープンのほうがいい!

ニッチ・モデルとしては、クーペやスポーツバックよりもベターだ。クーペなどでは攻め込んだ際に感じる活力不足も、ゆったりと楽しめるオープンモデルならば気にならない。

決して安価ではないが、これはポルシェからボクスターのシェアを奪うためにクルマではなく、ステータスとスペース、スタイリッシュさにその金額を払う価値がある希有なソフト・トップ・モデルだ。

さらにディーゼル・モデルの、優れた燃費と適切なレベルのパフォーマンスの両立ぶりは、A5カブリオレが当然得るであろう人気を、さらに高めるに違いない。

アウディA5カブリオレ 2.0 TDI Sトロニック

■価格 £41,780(576万円) 
■最高速度 232km/h 
■0-100km/h加速 8.3秒 
■燃費 22.2km/ℓ 
■CO2排出量 124g/km 
■乾燥重量 1690kg 
■エンジン 直列4気筒1968ccターボ・ディーゼル 
■最高出力 191ps/3800-4200rpm 
■最大トルク 40.8kg-m/1750-3000rpm 
■ギアボックス 7速デュアル・クラッチ