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■どんなクルマ?

「ロードスター」と「クーペ」で違うところ

メルセデス-AMG GTロードスターの導入価格は£110,145(1,513万円)。これは、固定ルーフのGTクーペよりも£11,950(164万円)高い。

GTロードスターは、ベースとなったGTクーペと同時に開発されていたという。この事実は、スタイリングによく表れていて、ルーフを開けても閉めても非常に統一感が取れている(とわたしは思う)。

黒、赤、ベージュの3層ファブリック屋根に置き換わったことで低下した車体剛性を補うために、GTロードスターのアルミ・ボディはより強固で厚いサイド・シル、ダッシュボードのサポート、ロールオーバー・バーが固定されるリア・バルクヘッドに統合されたアルミニウムのクロス・メンバーを採用している。

ボンネットの下には、標準モデルのGTクーペと同じツイン・ターボ4.0ℓV8ガソリン・エンジンが鎮座するが、軽いチューニングが施され、出力で13ps、トルクで3kg-mの向上を得て、最高出力は475ps、最大トルクは64.1kg-mとなった。

ちなみに大排気量の5.0ℓV8スーパーチャージャー付ガソリン・エンジンを搭載するジャガーF-タイプSVRコンバーチブルのそれと比較すると、出力で107ps、トルクで7.2kg-m劣ることになる。

トランスミッションは、GTクーペと同じ7速スピードシフト・オートマティックを採用。ロードスターは1速ギアを高く、7速を低く改められている。

■どんな感じ?

数値はあまり魅力的ではない

重量が1595kgあり、パワー・ウエイト・レシオが252psのGTロードスターは0-100km/hを4.0秒で駆け抜け、最高速は302km/hに達する。これはGTクーペとほとんど変らない。ちなみに、ジャガーF-タイプSVRコンバーチブルは、0-100km/hを3.7秒で駆け抜け、最高速は313km/hに達する。

つまり、同門で比べても、目を見張るような差はない。他メーカーと比べても、あからさまに優っているとはいえないのである。

ただし数値以外の魅力は多くある。

エンジン/トランスミッションの印象に不足なし

まずはエンジンから。低回転域の柔軟性は一言でいって素晴らしい。溢れるトルクとアクセル・レスポンスにうっとりするし、コンフォート・モード時の低回転での扱いやすさも特筆すべきポイントだ。

スポーツ・プラス・モードは、もっとよい。アクセル・レスポンスはあくまで鋭く、持てる能力を解き放つ時にターボ・ラグの影はない。2000rpmくらいからリミッターの効く7000rpmまでパワー感はグングンと増し、デリバリーはとてもリニアなのだ。

そんな素晴らしいエンジンを後方で支えているのが、電光石火のトランスミッションだ。

GTクーペで導入されたこのゲトラグ製のトランスミッションは、変速、なめらかさともに磨きが掛かり、特にマニュアル・モードを選択した時の高回転域の改善が顕著だ。

オプションのAMGパフォーマンス・エグゾースト・システムもドラマに華を添える。

気になるコーナリング・マナーは?

コンフォート・モードでは、心をそそるバリトン・ボイスが回転数を上げるに従って切迫し、大きくなってゆく。

エグゾースト・システム内のフラップが開くスポーツ・プラス・モードでは、既に相当な音量であるにも関わらず、さらにアグレッシブに大声で叫ぶようなとんでもない大音量となる。アクセルを閉じた時のバック・ファイヤーも凄まじい。

また、幸いなことに、屋根が無くなったことで低下した車体剛性はこのGTロードスターのハンドリングやクーペから受け継いだ運動性能にそれほどの影響を及ぼしていない。スポーツ・プラス・モードなら、GTクーペと同じようにコーナーに飛び込むことができる。

可変レシオのステアリングには、GT Cロードスターに装着されるリア・ステア機構は付かないが、非常にダイレクトで、手応えがあり、気持ちがよい。

このステアリングと標準で装備されるミシュラン・タイヤの高いグリップをして、GTロードスターのコーナーリングをとてもニュートラルなものにしている。

GTクーペに比べ50kg重いこのクルマだが、そのことがコーナーの頂点に達した時のフロントの回答性に及ぼす影響はほとんどないと言っていいだろう。

更に攻めると、アンダーステアが顔を覗かすが、大枚を叩いて装着したフロントのハイプロファイル・タイヤがしっかりとグリップを保持する。

ESCを格闘モードにして、アクセルを踏み込むと、リアが緩やかに振り出すが、アクセル・コントロールだけでも狙ったラインに乗せることが可能だ。その後は、標準で付くLSDに任せて立ち上がり加速を存分に楽しむだけだ。

乗り心地だって求めたい

衝撃のいなしはうまく、コンフォート・モードでの乗り心地は満足できる水準だ。車体に負荷を掛けるスポーツやスポーツ・プラス・モードでは、若干荒くなるが、想定の範囲内である。

ブレーキは、パワフルで、ペダル・フィールも良く、フェードも皆無だ。

GTロードスターを一日乗り回しても、たとえそれが悪路であっても、屋根を取ったことに起因する振動は見当たらなかった。

若干の風は巻き込むが、屋根を開けて、小さなプラスチックのウインド・ディフレクターを上げてれば大した問題はない。

メルセデス・ベンツのその他のオープン・カーにも装備することができる、エアー・スカーフ・システムを搭載するのもいいだろう。

■「買い」か?

もしかすると、一番「おいしい」かも

(価格を除けば)このクルマをあなたのガレージに停めない理由はみつからない。

遮音性の低さから、長距離を巡航する上で、GTロードスターに乗ることは若干苦痛なものになるかもしれないし、長いボンネットと乏しい後方視界が街中での使い勝手を制約するだろうが、それらの欠点も、カッコよくて誰もが憧れるオープンカーにとってはたいした事ではない。

また、一体感や懐の深さは、他のライバルと比較にはならないほど素晴らしい。

しかも、このクルマの出来る事やそれが主張するものが、GT Cロードスターのそれらに肉薄しているのだから。

メルセデス-AMG GTロードスター

■価格 £110,145(1,518万円) 
■最高速度 303km/h 
■0-100km/h加速 4.0秒 
■燃費 10.7km/ℓ 
■CO2排出量 219g/km 
■乾燥重量 1625kg 
■エンジン V型8気筒3982ccツイン・ターボ・ガソリン 
■最高出力 476ps/6000rpm 
■最大トルク 64.1kg-m/1700-5000rpm 
■ギアボックス 7速デュアル・クラッチ