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■どんなクルマ?

6世代目の6番目のモデル

またもやEクラスの派生車種である。サルーンの発表から1年も経っていないというのに。

エステート、コンバーチブル、オールテレイン、AMG E63、そしてこのクルマ、クーペ。あなた好みのクルマが見つかるはずのEクラス・ラインナップにおける6番目のモデルである。

Cクラスのプラットフォームを利用していた先代とは異なり、このモデルはメルセデス・ベンツの新しいMRA(モジュラー・リアー・アーキテクチャーの略)を使った生粋のEクラスだ。

サイズ増のもたらす影響

これにより、一言でいうと車体が大きくなった。先代と比べて、全長が23mm長くなり、74mm幅広く、前後のトレッドも大きく広がった。

恩恵は明解。室内空間は拡大し、堂々とした外観を得た。メーカーによると、同時にこれは高速域の安定性向上にも貢献しているという。

不思議なことに、トランクのスペースは逆に25ℓ縮小して、425ℓとなった。が、しかし、クーペを買う人が真っ先にトランク・スペースの心配をするだろうか?(しないだろう、たぶん。)

■どんな感じ?

いい意味でも、わるい意味でもSクラス

正直な感想を述べるとすれば、困惑だ。

拡大された車体とロシアのマトリョーシカ人形に似たメルセデスのスタイリングのお陰で、更に大きくて、高価なSクラス・クーペとこのクルマの違いを見つけるのに苦労するのだ。

サッシュレスのドア、弧を描くルーフライン、そして英国では標準で装備されるAMGラインの「デザイン・パッケージ」。いずれも最高級のラグジュアリー・カーとして演出するに欠かせないアイテムだ。

スターターのボタンを押すまでは。

E400に搭載されるV6型3.0ℓエンジンは、スムーズで上品な目覚めだったのにたいして、このE300が載せる4気筒2.0ℓエンジンは、荒々しい4つの気筒をかき鳴らしてその目覚めを知らせてくれる。

ありがたいことに、少しアクセルを踏み込めば、これは背景の雑音に同化し気にならなくなる。しかし、ディーゼル車や前出の6気筒モデルと比べてトルクが細いこのクルマのエンジンでは、追い越し加速時に強く鞭を振るう必要がある。

こうした落ち着きのなさは、下位のクラスではさほど問題にならないだろうが、これはEクラス。よい印象ではない。

ただし、よいところも

4気筒ターボ・エンジンを批判しすぎるのも酷である。なぜなら、1685kgもあるE300の車体を、6.4秒で100km/hまで加速させることができるのだ。

スポーツ・プラスを選択すれば、レスポンスは鋭くなり、シフトは滑らかさを増す。そしてラグジュアリーのそれに徹するシャシーも締まる。

テスト車に装着されていた、オプションのエア・サスペンションと19インチ・ホイールは、道の悪い田舎道で効果的な働きをするが、一方で車体のロールを著しく助長するが、スポーツ・プラスを選択することで、即座に収束し落ち着きを取り戻すのもよい。

しかし、街乗り、長距離巡航のどちらにおいても、コンフォートこそが、このクルマで選択すべきモードだ。

電動パワー・ステアリングの操舵感はより自然であり、サスペンションの許容量は相当な水準であり、トランスミッションに至っては変速を感じ取ることも難しい。

ただ、以前テストしたメルセデスの他のエア・サスペンション搭載車にもみられたが、改善はしているものの、挙動の急変が想像したよりも顕著だったことが、ひとつ悔やまれる。

■「買い」か?

E300は「買い」ではない

もしあなたが、気楽に乗れるスタイリッシュで実用的なクーペを探しているのであれば、Eクラス・クーペは最適な選択になるであろう。

しかし、このモデルではない。

今後6気筒の350dディーゼルやAMGの派生車種が加わった時、E300の持つ魅力は薄れ人々の意の中にはなくなるだろう。

皮肉なことに、E300は、兄弟車の成功の被害者なのだ。

エントリー・モデルのE220dは、すこぶる燃費が良いし、柔軟性に優れ、若干安価だ。しかし、あなたがホット・モデルをお探しで、直線のパフォーマンスや燃費に関して無頓着であれば、6気筒のE400 4マチックを選ぶほうが賢明だろう。

メルセデス・ベンツE300クーペAMGライン

■価格 £41,025(563万円) 
■最高速度 250km/h 
■0-100km/h加速 6.4秒 
■燃費 21.7km/ℓ 
■CO2排出量 160g/km 
■乾燥重量 1685kg 
■エンジン 直列4気筒1991ccターボ・ガソリン 
■最高出力 245ps 
■最大トルク 37.7kg-m/1400rpm-4000rpm 
■ギアボックス 9速オートマティック