突然ですが問題です。イギー・ポップの『ラスト・フォー・ライフ』、アンダーワールドの『ボーン・スリッピー』を使った90年代を代表する映画は何?

この質問に答えられる人は、映画好き&90年代カルチャー好き!
ちなみに正解は『トレインスポッティング』ですっ!

スコットランドの若いジャンキーたちの青春を描いたこの作品は、1996年にイギリスを皮切りに世界的に大ヒット。日本では、今は閉館してしまった渋谷のミニシアター「シネマライズ」で33週間というロングランを記録。渋谷の街が『トレインスポッティング』のビジュアルカラーのオレンジと白に包まれたことを記憶している人も多いはずです。

1996年といえば、バブルが弾けた後で、何となく世の中は閉塞的になっていた頃。街ではフリッパーズ・ギターやピチカート・ファイブなどいわゆる「渋谷系」音楽がブームでした。

と、昔を懐かしみつつ、今回は20年の時を経て公開される、続編『T2トレインスポッティング』の魅力について紹介していきましょう。

その1:1作目を観てから映画館へ行くべし!

前作『トレインスポッティング』から20年。スコットランドにあのジャンキーたちはどんな生活を送っているのか。あの伝説の青春映画の主人公たちの20年後を描いたのが『T2 トレインスポッティング』。

前作同様に監督はダニー・ボイル、脚本はジョン・ホッジ。出演も20年前と同じく、主役のレントンにユアン・マクレガー、レントンの親友シック・ボーイにジョニー・リー・ミラー、憎めないジャンキーのスパッドはユエン・ブレムナー、そして暴れん坊のベグビーはロバート・カーライル。

作る側・演じる側も20年前と同じですから、そりゃあもう前作を彷彿とさせる映画であることは間違いなし!

『T2 トレインスポッティング』4月8日公開。 懐かしいメンツが勢ぞろい。

ちなみに本作のストーリーは、大金を持ち出して逃げたレントンが、20年ぶりに故郷のスコットランド・エディンバラに帰ってくる。ゆすりを稼業とするシック・ボーイは、自分たちが盗んだ金を持ち逃げしたレントンが許せない。一方、スパッドは相変わらずのジャンキーで、人生を終わりにしようとしている。そして暴れん坊のベグビーは、刑務所で服役中。そんな彼らが再び出会い、人生をどう選んでいくのか……というもの。

本作は、前作のストーリーをベースに進むので、まず『トレインスポッティング』をみて、おさらいするのがオススメ。オープニングの作り方、タイトルの出し方、音楽の使い方、セリフの言い回しなどなど、前作を見て記憶をよみがえらせてから劇場へ向かったほうが、楽しさは数倍にも広がりますよ!

その2:現代のミドルエイジクライシスを体感して!

1996年に20代だった彼らも2017年になり、当たり前ですが40代となりました。劇中でレントンが46歳になったことを知り驚愕。自分も同じく20歳年取ったんだという事実……恐ろしいです。

ミドルエイジクライシス(中年の危機)とは、人生の折り返し地点にきて、仕事や家庭において不安や鬱に苛まれることを言いますが、よくあるミドルエイジクライシスって、中間管理職でストレスフルになったり、家庭を顧みず、奥さんと離婚で揉めるといったものを考えますよね。

前作同様、トイレはこの映画に欠かせない場所となる。

でも、彼らのミドルエイジクライシスはちょっと違います。レントンとスパッドは、普通の暮らしをしようと試みますが、失敗続き。シック・ボーイとベグジーに至っては、普通の暮らしをしようとも思っていない。彼らにとって盗みは日常、ドラッグ最高!な人生だったのですから、そりゃ、普通を望むのは難しいですよね。

旧友を偲んでしみじみ。

彼らが求めるのは20代のような、血が沸きたつような興奮と刺激。20代の頃は、金さえあればなんでもできる、明るい未来があると思っていたのに、40代になっても仕事もお金もなし。明るい未来も見えず、状況は少しも変わっていない。

一方、地元のエディンバラも20年前とは様子が変わります。エディンバラの観光地図を配っているのは移民の女の子。スパッドが暮らすマンションはエレベーターが故障しているし、シック・ボーイが経営しているパブの裏にはゴミの山。集まるのは年寄りの客ばかり。

20年前よりも貧困から抜け出しずらい今。レントンたちは、故郷の荒みぶりと自分の人生を重ね合わせているかのようです。人生は選択の連続。20年後の彼らは何を選ぶのでしょうか。

その3:音楽&スタイリッシュな映像がサイコー!

そして忘れてはいけないのが、音楽の存在。
前作『トレインスポッティング』は、アンダーワールドやイギー・ポップ、ブラー、ブラインアン・イーノ、プライマル・スクリームなど、UKを代表するアーティストがサントラに参加して、大ヒットとなりました。

トリップ中のシック・ボーイ&レントン。

『T2トレインスポッティング』は、アンダーワールドのリック・スミスが音楽を担当。『ボーン・スリッピー』ならぬ『スロー・スリッピー』を手がけるなど、なかなかよい仕事しておられます。さらにイギー・ポップの『ラスト・フォー・ライフ」は、プロディジーが参加したりと、かなり豪華なメンツが集結しているので、音楽好きはサントラも必聴ですよ。

もちろん、映像と音楽のはまりっぷりも前作同様。「よし、ここらであの曲流れるぞ〜!」とワクワクして待つと「あれ?」っと焦らされたり、「やっぱりここできたか!」という期待通りの展開もあり。音楽でここまでドキドキできる作品は稀なので、どこでどの曲が流れるかもしっかり聞いてくださいね。

映像も相変わらずのスタイリッシュさなのでこちらもお見逃しなく。リビングがサッカースタジアムに突然変わったり、プロジェクションマッピングのような映像がPVのように出てきたりと、見どころ満載です。

そういえば、小沢健二も19年ぶりにシングルを出したり、ピチカートの野宮真貴さんは今年出したエッセイがヒットしたり。20年前に日本のカルチャーシーンを牽引していた人が、今年は復活しています。

『T2トレインスポッティング」然り、1996年が今年のカルチャーのキーワードになるかもしれませんね。