今や国民的ミュージシャン・俳優となった星野源さん。その人気とは裏腹に、作品ではモテない役柄を演じることも多いですよね(笑)。



星野さんが新たに“モテないこじらせ男子”の声を熱演したことでも話題のアニメーション映画『夜は短し歩けよ乙女』が、4/7(金)から公開になります。

「ナカメ作戦」実行中! 頻繁に会うだけじゃ恋は進展しない!?


主人公は、その名も“先輩”(声:星野源さん)。大学の所属クラブの後輩である“黒髪の乙女”(声:花澤香菜さん)に恋心を抱いています。しかし先輩は口先ばかり達者な、モテない系男子。対して、黒髪の乙女は恋に疎めだけれど、明るくて心身頼もしい“酒豪”キャラ。舞台である京都の街のあちこちで飲み歩いては、学内・学外にユニークな人間関係を広げています。


先輩の気持ちに全く気づくよしもなく、どんどん自分のペースで日々を進んでいく黒髪の乙女。それを追いかける先輩。二人は個性豊かな仲間が巻き起こす珍事件に巻き込まれながら、夏祭りのような学園祭のような、不思議な一夜を経験します。外堀を埋めるばかりの“先輩”の恋は、一体どうなる!?

冒頭から、先輩は彼女の目に留まるよう周りをウロウロする「ナカメ作戦」を実行しています。繰り返し接すると好意が発生しやすい、という心理効果(単純接触効果)はよく知られていますが、彼の場合は挨拶をする程度の関係にしか進展できていません。ただ顔を合わせるくらいだけじゃ、やっぱり恋は進んでいかないのかも。進展のきっかけは、やっぱり“あれ”だった……!? 

「乙女よ、たくましくあれ」なんてメッセージも感じる作品ですが、自分の足でどんどん歩いていく黒髪の乙女が、先輩に向かって歩いてきてくれる日は果たして来るのでしょうか。ラストの展開も見どころです。

理屈っぽいダメキャラの星野源さんが炸裂!



今回の“先輩”は、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の平匡さんのように、何かあると心を閉じてしまうタイプではなく、「ちょっとウザい」とか「面倒くさい」とか言われてしまう系の男子です(笑)。京大を舞台としているだけあって頭は切れるものの、なかなかに感情的で衝動的なタイプ。映画『箱入り息子の恋』の健太郎役のときのようなネクラさはありません。

ひと口に“モテない系男子”を演じると言っても、その演じ分けはさすが! 普段は割と低い声で穏やかに話す星野源さんですが、今回の先輩役では、かなり高めの声で早口にまくし立てるような場面も多々。新しいキャラを見た気がしました!

この映画には先輩以外にも、行動より理屈が得意な“詭弁”キャラがたくさん登場します。恋愛や異性のことをあれこれと論じるくせに、いざとなると行動ができない……なんてタイプは、行動することの大切さも学べるかも(!?)しれません。

ベストセラーの原作も楽しい! 明日より公開



今作は笑いが起きるようなシーンも多い“ラブコメ”ではありますが、ファンタジーの要素がとても印象的。アニメーションだからこそ表現できる、ダイナミックなシーン構成が楽しめます。妄想豊かなキャラクターたちの脳内とリンクしていき、どこまでが現実なのか、どこまでが架空のことなのか、境界がわからなくなる瞬間もしばしば。その暴走こそが若さであり、その浮遊感こそが恋なんだよなぁ……なんて気にもさせられるのでした。

原作は『四畳半神話大系』『有頂天家族』などで知られる人気作家・森見登美彦氏の初期ベストセラー作品。ひと癖もふた癖もあり、その奇妙・奇天烈さが愛おしいさまざまなキャラクターが登場しますが、映画では、特にロバート秋山さんが声を務めている「パンツ総番長」が光っていたように思います(笑)。

原作の雰囲気を、独特な表現手法で素敵なアニメーション映画に落とし込んだ監督は、テレビアニメ化された『四畳半神話大系』や『マインド・ゲーム』『ピンポン THE ANIMATION』なども手がけた湯浅政明氏。監督オリジナル脚本の新作アニメーション映画『夜明け告げるルーのうた』も、この5月に公開が決まっています。人魚と中学生たちの交流を描いており、ピュアな恋心や胸があたたかくなるストーリーが好きな方は、こちらも絶賛おすすめです。


星野源さんファンはその声を堪能するもよし、本好きの人は原作も含めて楽しむもよし。アニメーション大国・日本の表現力も実感できる作品です。『夜は短し歩けよ乙女』は4月7日全国公開です!
(外山ゆひら)