「Thinkstock」より

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 4月です。この春に、新社会人となった皆さん、おめでとうございます。あなたは、社会人として暮らしていくまさに第一歩を踏み出したことになります。その時間は今まで生きてきた人生の2倍近い時間にもなります。

 これからの約40年をどう過ごしていくかは、キャリアの面でもプライベートの面でも予想外の繰り返しになることでしょう。それでも一歩一歩進んでいくことで、自分なりの人生を見つけることができると思います。失敗や後悔もあるでしょうが、あきらめずに、そしてあまり思い詰めずにがんばっていきましょう。

 さて、ファイナンシャルプランナーとしては、お金の面でもあなたの人生をどうマネジメントしていくか、アドバイスしておきたいテーマのひとつです。あなたが40歳になったとき、「クレジットカードやカードローンの残高300万円」という借金まみれの人生になるか、「貯金600万円と住宅(ローンを活用しつつ)」を手に入れた人生になるかは、年収だけの問題ではありません。

 年収はあまり高くなくても貯められる人は確実にいます。年収が高くても借金まみれの人もいます。あなたがどちらの人生を歩むるかは、あなた次第です。

 ファイナンシャルプランナーがもし、新社会人のあなたにお金のコトをひとつだけアドバイスするならば、それは簡単です。

「毎月1万円でいいので、必ず積立をしなさい」

ということです。その積立をするかどうかが、もしかするとあなたの人生を左右するかもしれないのです。

●お金が必要になってから貯金の重要性に気がついても、もう遅い

 新社会人が知っておくべきお金のルールはとてもシンプルです。それは

・より多く稼ぐ努力をする
→できるだけ少ないお金でやりくりする工夫をする
→残ったお金を貯める
→貯めたお金で高額消費をする

という流れをつくる、ということです。スマホの機種変更であろうとちょっとした旅行であろうと、「貯めてから買う」のサイクルを回していく習慣をつけていき、徐々に購入金額をアップさせていきます。車→結婚→家を買う→子どもの学費→老後のための貯金、というようにです。最終的には1000万円以上の貯金を計画的に行う能力を、身につけなければなりません。

 しかし、お金の流れをうまくつくれなかった人は、流れが逆になっていきます。

・仕事で稼ぐ
→消費に回すお金が不足するので借りる
→毎月の生活費だけでなく、借りたお金の利息の返済に追われる
→欲望に負けて、また別の消費をして借金残高を増やす
→気がつけば返せない借金だけが残る

というようなサイクルにはまったあとで、貯金の重要性に気がついてももう遅いのです。

●貯蓄習慣は早くつくっておくほうがいい

 ビジネスにおいて「もう少しよく考えてから実行しよう」という選択をする会社は、たいていチャンスや伸び代を取り逃します。もしそういう上司ばかりの会社だったら、早めの転職をお薦めします。あなたの成長も、おそらく先送りされてしまうことでしょう。

 これと同じで、個人のお金の習慣でも先送りはあまりいい結果をもたらしません。「落ち着いたら貯金できるようにしよう」「年収が増えたら貯金を始めよう」と考える人は、永遠にお金は貯まらないのです。

 つまり、新社会人にとっては「今が貯蓄習慣を身につけるための絶好のタイミング」ということです。できれば今月、どんなに遅くとも来月からはお金を貯め始める習慣をつくっておかなければ、何年も「貯金ゼロ」のままになってしまうでしょう。かといって、苦労や我慢や努力をしろといっているわけではありません。

●最初に一度だけの手続きがあれば「自動的に貯められる」

 お金を「貯める」流れをつくることは、実はそれほど難しいことではありません。必要なのは「最初の一度だけの手続き」です。給与振込日の翌日に、一定の金額を積み立てる手続きをしておけば、勝手にお金が貯まり始めるのです。

 一番簡単なのは、給与振込口座となった銀行で、「積立定期預金」をすることです。あるいは会社が財形貯蓄を行っている場合、一般財形を申し込むことで同じことができます。そして「(貯金した分)ちょっと減った手取り」で1カ月過ごすようにしてみると、お金がなんとなく貯まっていきます。

 必要なことは「最初の手続き」です。書類一枚を書いて、積立定期預金なら銀行に出す、財形貯蓄なら会社に出す、それだけのことをやるかやらないかだけで同僚とあなたのあいだに「貯められるか貯められないか」の大きな分岐点が生まれるのです。

●手取りの10%くらいを貯められる家計を目指そう

 具体的な貯金額をいうならば、「手取りの10%」をまずはチャレンジしてみてください。手取り、というのは文字通りあなたの手にすることになる金額のことです。私たちの給料からは、税金や社会保険料が引かれますが、そのあとの金額の1割が貯められると、これはあなたは人生を通じてマネープランで困らないでいられるはずです。

 一人暮らしをしていて家賃や生活費にかなり負担がある場合は、5%からスタートしてもかまいません。実家暮らしの場合は10%でいきなり積立を開始してもいいでしょう。

 また、最初の給料日は満額ではなく半月分しか給料がない場合もあります(4月1日から15日まで働いたものを25日に払うので、半月分支給とすることはよくある)。この場合は5月の給料から積立を始めてください。

「手取りの9割でやりくり」つまり「手取りの10%を貯める」を継続できると、人生のいろんな局面で余裕が生まれます。結婚を真剣に考えたとき、引っ越しを考えたとき、車や家を買うとき、子どもが生まれたときなど、「お金がないからとりあえず借りる」を回避できるのです。あるいは「お金が借りられないから夢をあきらめる」というような事態も避けられます。

 長い目でみて、人生では何度か「お金の問題が人生を左右する瞬間」がやってきます。そのとき、途方に暮れることのないようにしたいなら、ぜひ「積立」を始めてみてください。
(文=山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表)