【ライターコラムfrom神戸】連勝ストップに露見した攻撃面の課題、“伸びしろ”にできるか

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 開幕から続いたヴィッセル神戸の連勝記録は4で止まった。阻止したのは、昨季年間勝ち点1位の浦和レッズだ。柏木陽介が2得点1アシストと活躍し、1−3で神戸は敗れた。

 戦前の予想通り、神戸が守り、浦和が攻めるという展開。神戸はSB橋本和をケガで欠きながらも、しっかりブロックを組んで前半は0−0でしのいだ。ここまでは予定通り。ネルシーニョ監督が「守備は良い。攻撃は冷静に慌てない事」というハーフタイムコメントを残しているように、守ってカウンターという明確なプランを選手たちが遂行したと言える。

 逆に浦和は想定外の前半だった。ミハイロ・ペドロヴィッチ監督は試合後の会見でこう振り返っている。「今日の前半は今季の公式戦を戦ってきた中で、一番出来の悪い前半だったと思う。(中略)選手一人ひとりが勝手なことを始めてしまったように見えたし、チームとして狙いを持ったいつものボールの動かし方、あるいはボールがないところでの動き出し、ポジショニング、そういったわれわれがいつもやっている形ではなかった」と続けた。

 あくまで浦和サイドは、原因は自分たちにあるというスタンスだが、神戸がうまく守ったという見方もできる。CB渡部博文は「前半はマークに付く選手がはっきりしていたので、相手に好きにさせていなかったと思う。相手も自分たちの守備を非常に嫌がっていたなという印象がある」と話している。

 後半も失点するまでは神戸のペースだった。高い位置でボールを奪ってカウンターを仕掛ける。最後はシュートか、セットプレーをもぎ取る。50分頃にはFKからの渡部が惜しいヘディングシュートを見せ、52分頃にはSB高橋峻希がドリブルで仕掛けてFKを獲得、53分には大森晃太郎がエリア内に侵入しCKをもらった。この立て続けのセットプレーでどれか一つでもゴールに繋がっていれば、結果は違ったものになっていたかもしれない。

 このセットプレーラッシュの後、浦和は駒井善成を投入して攻撃のリズムを変えてきた。そして60分過ぎの柏木のゴールが生まれる。その約2分後にはCKから遠藤航が決めて0−2に。神戸も中坂勇哉が1点を返したものの、結果的にセットプレーで仕留められなかったことが最後まで響いたと言える。

 ネルシーニョ監督は会見で敗因の一つをこう述べた。「ボールを奪った後のカウンターに出ていく質を欠いた」

 セットプレーが研究されてきた中で、カウンターの質は重要なポイントだろう。だが、この試合であらわになった課題は、カウンターの質ではなく、むしろカウンター以外の攻撃の形があまり見られなかった点ではないだろうか。

 チームビルディングの過程でまだ攻撃練習にあまり時間を避けていないのかもしれないが、浦和のような攻撃の連動性や3人目の動きが少なかったのは確かだろう。

 ガンバ大阪から新加入の大森は開幕3連勝の後に神戸の攻撃についてこう話していたのを思い出す。「(神戸の攻撃は)形がない、のがいいんじゃないですか。相手も読みにくいので…」。本音とも、皮肉とも取れる大森のコメントが神戸の現状を物語っているように思われる。開幕戦でレアンドロが離脱していなければオフェンスの構築は進んでいたのだろうか。もしくはルーカス・ポドルスキが合流した後に作り上げる予定なのか。いずれにしても今回の浦和戦では、攻撃の連動性にやや差があったように思われる。だが、逆に言えばそれだけ“伸びしろ”があると言うことだ。

文=白井邦彦