松山英樹(25歳)にとって、6回目のマスターズ(4月6日〜9日/ジョージア州)である。


6度目のマスターズに挑む松山英樹 けれども、今までの彼を取り巻く”環境”とは何もかもが違っていた。

 それは、これまでとは別格の注目度である。現在、世界ランキング4位。並みいる世界の選手たちの中で、その実力においても、注目度においても、松山は”トップ5”の扱いだからである。

 全米で放送されるマスターズを特集しているテレビのプログラムの中でも、当然のように「HIDEKI MATSUYAMA」の名前が躍り、彼の映像や写真、コメントなどが取り上げられている。

 無論、マスターズの公式記者会見のリストにも載っていて、火曜日の11時30分、ジェイソン・デイ(29歳/オーストラリア)、アダム・スコット(36歳/オーストラリア)に続いて、松山は会見に臨んだ。

「初めてマスターズに出場したときは(2011年、アマチュア選手として出場。27位タイ)、何がなんだかわからないまま、終わってみれば、ローアマを獲得できました。まあ、何もわからないままだったのが、よかったかなと、今は思います。

 2回目(2012年、アマチュア選手として出場。54位タイ)は、やはりオーガスタのコースを知ってしまって、それに(対する)自分の力量が足りなかったのかと思います。少しずつ経験をしていくことで、いつも『あれが足りない、これが足りない』という気持ちを抱きながらも、それを乗り越えて(自分のものにして)やってきたつもりですけど、まだまだだと思います」

 6度目の出場となる今回、松山は米ツアーでそれなりの成績を残してきての戦いである。それも、シーズン(2016-2017)序盤のピーク時に、世界ゴルフ選手権シリーズ(WGC)のHSBCチャンピオンズで優勝し、2月のウェイスト・マネジメント・フェニックスオープンでは連覇を達成。すでに今季2勝を挙げるなど大活躍を見せてのオーガスタ入りゆえ、世界のメディアも放っておくはずがない。

 これまでの日本人選手にはまったく経験のない扱い。その戸惑いと、うれしさなどの、外的影響が一段と大きいものになっていると思う。

「来たな」というのが、今年のオーガスタ入りしての第一印象だったという。松山らしい言葉である。待ちに待ったときがやってきた――という気持ちもあるだろうし、満を持した覚悟もあるだろう。

「今ひとつ調子が落ちているけれど、落ちていても勝てる場合があるし、それは誰にもわからない」

 本人がそう語るとおり、シーズン序盤に比べれば、調子は落ちているかもしれない。しかし、こういうときの松山は、底力を発揮することがある。

 昨年の秋から今年にかけて、松山の強さが際立つのは、ゲームマネジメントのうまさ。それによって、スコアをまとめ、優勝争いに加われるところだと思う。自分のゴルフを俯瞰して見下ろし、自分のその日の調子によって、そして周囲の動きによって、うまくマネジメントできる強さである。

「(マスターズへ向けて)ずっとショートゲームとパッティング中心の練習をしてきたのですが、このところ調子を落としていますので、ドライバーなどの練習もしてきました。まあ、最終日に優勝争いできるポジションにいたいと思っていますので、徐々に上向きになってくればいいと思います」

 大会へ向けて、松山は最後にそう抱負を語った。

 かつて、ジャック・ニクラウスが語った名言がある。

「マスターズで戦うということは、最終日の遅い午後にスタートしてなければ、意味がないんだ」

 これは、最終日、午後3時前後になる最終組のスタートのことである。つまり、マスターズは優勝争いしてこそ、参加する意義があるということなのだ。

 松山の、マスターズに対する意識も同じ域にある。

 これまで、日本人選手が成し得なかったその夢を、今年の松山英樹は果たしてくれそうである。

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