米カリフォルニア州ハリウッドでヘッドホンを着けた観光客(2014年5月9日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】ストリーミングサービスの登場によって、楽曲にアクセスするまでの時間が短縮されただけではなく、聞き手側の集中力の持続時間が短くなったのに合わせて、ポップソング自体のテンポも速くなってきているとする研究論文が発表された。同論文によると、過去30年間でヒットソングのテンポは平均して速くなり、さらに劇的に短くなったのは歌が始まるまでのイントロ部分だという。

 米オハイオ州立大学(Ohio State University)の博士課程で音楽理論を研究しているユベール・レベイエ・ゴーバン氏(Hubert Leveille Gauvin)氏は、1986〜2015年までの米ビルボード(Billboard)年間ヒットチャート上位10曲を分析した。

 その結果、イントロ部分の平均時間は1986年にはおよそ23秒だったのに対し、2015年では約5秒となり、78%短くなったことが判明した。

 レベイエ・ゴーバン氏は、音楽認知学の欧州学会誌「Musicae Scientiae」に掲載された論文の中で、こうした傾向は数百万の楽曲に瞬時にアクセスできる音楽ストリーミングサービス「スポティファイ(Spotify)」などの台頭に関係していると主張している。

 レベイエ・ゴーバン氏はAFPの取材に対し、「(音楽を聴く)環境をめぐる競争がこれほど激しくなれば、アーティストができるだけ早く聞き手の興味を引こうとするのも納得できる」と述べ、人間の声は最も注意を引きつけられるものの一つであるとして、何かに集中したいときにはインストゥルメンタルの楽曲が好まれることが多いと指摘した。

 一方、音楽を聴くときの習慣についてスポティファイが2014年に行った調査では、楽曲の21%で始まりの5秒間が早送りされていることが分かった。

 レベイエ・ゴーバン氏がイントロ部分の変遷(へんせん)の例として挙げたのは、米バンドのスターシップ(Starship)の1987年のヒット曲「Nothing's Gonna Stop Us Now」と米ポップバンド、マルーン5(Maroon 5)の2015年のヒット曲「Sugar」だ。前者の曲のイントロ部分が22秒であるのに対し、後者は出だしから7秒後にはアダム・レヴィーン(Adam Levine)が歌い始める。

■ポップソングには今なお多様性も

 ただし、レベイエ・ゴーバン氏は音楽業界の内部事情に異議を唱えているわけではなく、あくまでも着目しているのは曲作りの慣例が着実に変化を遂げていることだ。

「(ポップミュージック界のアーティストが)自らの意思で行っている部分もあると思うが、自覚的かどうかはともかく、ただ環境に順応しているうちにこうなったのだと思う」とレベイエ・ゴーバン氏は述べた。

 一方でレベイエ・ゴーバン氏は、全体のトレンドに反して、今なおポップソングには多様性がみられることも指摘した。2012年に大ヒットしたゴティエ(Gotye)の「Somebody I Used To Know」はイントロ部分が20秒ある。

 レベイエ・ゴーバン氏による今回の研究は、大ヒットした楽曲のみを対象としており、市場の形態が大幅に異なるインディーロックなどのジャンルは取り上げていない。
【翻訳編集】AFPBB News