完全復活で全盛期に迫る活躍を続けるフェデラー【写真:Getty Images】

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フェデラー告白、決別した恥ずべき過去「数千人の前で自分を辱めていた」

 男子テニスのマイアミオープンで11年ぶり3度目の優勝を飾ったロジャー・フェデラー(スイス)。永遠のライバル、ラファエル・ナダル(スペイン)をストレートで下し、全豪オープンに続き、今季の「マスターズ1000」で2勝目を挙げたレジェンドは全盛期に迫る強さを誇っている。

 芸術的なショットと紳士的な振る舞いで、選手とファンから尊敬を集めるフェデラーだが、かつて決別した恥ずべき過去を告白している。アメリカの自己啓発プログラム「ゴールキャスト」が紹介している。

「もうたくさんだったんだ。ラケットを投げる姿を見られるのは耐えられなかった。スタジアムの数千の人々の前で自分自身を辱めていたんだよ。だから、自分を変えようとしたんだ。叫んだり、ラケットを投げたり、テニスコートで駄々っ子のような振る舞いをする自分からかなり変化できた。みんな知っているような穏やかな人間に、ね」

 フェデラーはこう語ったという。

 テニス界のジェントルマンシップで定評の高い35歳のベテランも、キャリアの序盤は悪童として有名だった。感情の赴くままにラケットをコートに叩きつけ、審判に悪態をつくなど褒められるようなマナーではなかった。しかし、そんな自分を恥じる時が来たようだ。

最強フェデラーを生んだ“発想の転換”、錦織もラケット破壊で話題に…

「前進することは大事なんだ。そして、敗北というものも人をより強くすると考えるようになったんだ。ミスから学ぶことで、向上できる。選手として成長して、ハードワークする。頭の中でひらめくんだ。これがいい方法だ、とね」

 最近もラケット破壊はテニスの世界で話題になった。マイアミ・オープンのシングルス準決勝でフェデラーがフルセットの末に撃破したニック・キリオス(オーストラリア)はスタンドからの再三のブーイングに激怒。マッチポイントをフェデラーに奪われると、ラケットを何度もコートに叩きつけ、破壊した。

 錦織圭(日清食品)も2月のリオデジャネイロ・オープンでトマス・ベルッシ(ブラジル)にストレート負けを喫したが、第1セットを落とした際、ラケットをクレーコートに叩きつけ、破壊した。普段、温厚な錦織の激怒ぶりは海外メディアも取り上げたほどだった。

 敗北やミスに憤るのではなく、前進の糧とすることはできるのか。この発想の転換で、史上最強のテニスプレーヤー・フェデラーは生まれたのかもしれない。