ホルモンの働きは多様で多彩

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近年存在が明らかになった「キスペプチン」という生殖ホルモンの分泌を促すホルモンが、性行為や愛情のような感情面にも大きく影響している可能性がある――そんな研究結果が英インペリアル・カレッジ・ロンドンやキングス・カレッジ・ロンドン、ノルウェーのオスロ大学、ブラジル・サンパウロ大学の研究チームによって発表された。

キスペプチンは2001年に人の胎盤から発見され、当初はがんなどの腫瘍の転移を抑制する物質だと考えられていた。その後、キスペプチンの受容体の遺伝子情報が解析され、生殖機能に大きな影響を与えていることが確認されている。

研究者らは、人の生殖において重要なのは性的刺激や欲求、愛情といった要因だが、これらにもキスペプチンが影響し、生殖ホルモンを分泌させているのではないかと推測。健康な若い異性愛者の男性29人(平均年齢25歳)を対象に検証をおこなった。

研究では異なる日に「キスペプチンを注射」か「キスペプチンではない無害な物質を注射」し、さまざまな画像を見た場合のMRIによる脳の反応調査や、心理測定アンケートを実施。それぞれの反応の変化を比較した。

その結果、キスペプチンを注射された場合のみ、カップルの性的な画像を見た際に脳の中で性的興奮や恋愛、愛情に反応する領域の活動が増強されていることが確認された。さらに、ネガティブな感情や思考が減少、抑制される傾向にもあったという。

研究チームは今後も検証を深めることで新たな不妊治療の開発や、夫婦間の性機能障害、うつ病などの治療にも利用できる可能性があるのではないかとコメントしている。発表は2017年2月1日、米国臨床検査学会誌「Journal of Clinical Investigation」オンライン版に掲載された。

参考論文
Kisspeptin modulates sexual and emotional brain processing in humans.
DOI: 10.1172/JCI89519 PMID: 28112678

医師・専門家が監修「Aging Style」