<米軍の攻撃を受けたイラク・モスルで多数の死者が。米軍が唱えるISIS真犯人説はどこまで本当か>

昨年10月以来、テロ組織ISIS(自称イスラム国)のイラク最後の拠点となった北部モスルの奪還作戦を進めている米軍主導の有志連合とイラク軍。

ISISを確実に掃討する一方で、今なおISISの支配下にある同市西部ジャディダ地区で3月半ば、空爆により民間人100人以上が死亡したと伝えられている。

有志連合とイラク軍はモスル東部からISISを掃討し、今はジャディダを含む西部地区での攻勢を強めている。これまでも多くの市民がISISの残虐行為やイラク軍の地上攻撃のあおりで犠牲になってきた。

ただ、今回の空爆による死傷者数は尋常ではなく、モスル奪還作戦は一時中断され、調査が行われる事態に発展している。

有志連合は声明で、空爆の標的はジャディダ地区のISIS「戦闘員とその装備」および彼らの支配する建物だったと発表。一方、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)はこのときの空爆による民間人の死者は少なくとも140人に上ると報告。

イラクでの米軍の攻撃による死者としてはイラク戦争以降で最多となる作戦だった恐れがあると指摘した。OHCHRによれば、モスル西部の民間人の死者はこの空爆以降6日間で307人に達している。

【参考記事】ISISの最大拠点モスル、米軍の空爆で民間人の犠牲増?

重大な国際人道法違反

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルも、モスル市内で情報を収集し、報告書を発表した。民間人の死傷者が増加しているのは、有志連合がモスルに残る民間人の生命を守るための適切な予防策を講じていないためだと指摘。「重大な国際人道法違反」が行われてきたと批判している。

有志連合側は調査を始めた翌日に追加の声明を発表し、今回の空爆はイラク治安部隊の要請に基づき、「民間人の死傷者が出たとされる場所」を標的にしたことを認めた。

その一方、「有志連合は空爆に際して常に慎重を期して」おり、「人命を尊重するからこそ、モスルをISISの残虐な支配から解放する作戦に従事するイラク軍を支援している」と主張した。

[2017.4.11号掲載]

ジャック・ムーア