“薄幸女優”っぷりをフルに発揮した木村多江に助演女優賞【冬ドラマ】

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【スナイパー小林の勝手にドラマ大賞 2017冬 助演女優賞編】

 なにかと話題作が多かった2017年冬ドラマがあっという間に終了。主演賞、助演男優賞に引き続き、私の独断でドラマを総評していこう。受賞者には特になんの賞品もありませんが、イチドラマ解説者からラブコールを受けたということで、記憶に留めていただければと……助演女優賞は新人&ベテランからおひとりずつ!

●助演女優賞:木村多江/「就活家族〜きっと、うまくいく〜」(テレビ朝日)

 富川家は、大手企業の幹部候補だった父・洋輔(三浦友和)、誇りを持って働いていた教職の母・水希(黒木瞳)、そしてジュエルメーカーに勤務する長女・栞(前田敦子)と就職活動中の大学生・光(工藤阿須加)からなる4人家族。幸せそうに見えた家族だが、いつの間にか全員が無職という状態に陥ってしまう。底辺の状態から、家族とは? 仕事とは? について各々が考えていく。

◆薄幸女優のパイオニアが帰ってきた!

 洋輔と同じ大手企業に属し、もともとは洋輔の部下だった川村優子役を演じた木村多江。リストラ対象社員であった彼女は一度は自分から退職を志願したにもかかわらず、人事部の洋輔に会社に置いてほしいと頼んだり、洋輔が退職に追い込まれる状況を作ったりと、何かとトラブルメーカーだ。

 第1話に登場した時から、電話口で「あの……退職勧告の件なんですが……リストには私の名前も入ってるんですよね……?」と控えめな様子で話しながらも、なぜかむちゃくちゃ強い圧が伝わってくる。思わず、にんまりとする私。

 木村といえば『とと姉ちゃん(NHK総合/2016年)』で、主人公の小橋常子(高畑充希)を優しく見守る母親役で出演したことが記憶に新しい。でもみなさんは知っているだろうか、彼女が近年の芸能界で“薄幸女優”という新たな枠を確立した女優であることを。

 連続ドラマにゲスト出演をしては、殺される、捨てられる役を繰り返し演じていた木村。なかでも「カレ、夫、男友達」(NHK総合/2011年)で、DVの夫からマヨネーズをかけられる姿は未だに忘れられない。

 割と気が強く、はっきりとした意思を見せる女優がウケている現代。でもその風潮を軽く裏切るかのように“あの人、不幸そう……”という表現するのが難しそうな女の機微を、確実に演じている。それが木村多江なのだ。

 朝ドラでその本気ぶりは隠していたものの、今回のドラマではいかんなく発揮している。

 印象的だったのが、一度は洋輔を退職に追い込んだ優子が「富川さんの役に立ちたいんです、私」と言って、彼に自分の叔父の会社への再就職を世話する第4話のシーン。洋輔の周囲を荒らしてストーリーをどんどんややこしくしてく優子、実は彼に想いを寄せていたのである。

 それをはっきり言えずに社会的実力を行使して、外堀を固め、愛情を表現するとは……! こんな木村多江の演技が本当に見たかったです! ありがとう!!

●助演女優賞:シシド・カフカ/『視覚探偵 日暮旅人』(日本テレビ)

 視覚以外のすべての感覚を失った日暮旅人(松坂桃李)が“探しもの探偵”となって事件を次々に解決していく。実は旅人には20年前に両親を殺害されたという悲しい過去があった。その犯人への復讐のため、医師に失明の恐れがあると言われても目を酷使していく。やっと犯人の近くにたどり着いたとき、彼の瞳に最後に映った姿は?

◆ドS女優ラインナップにニューカマーが!

 このなにやら怪しい行動を取っている探偵を追いかけ回す女刑事、それがシシド・カフカ演じる増子すみれだ。

 長身に黒髪ストレートのロングヘアに、パッツン前髪、そして赤いリップというビジュアル。第1話でいきなりパトカーのサイレンを鳴らして登場する姿にグッときた。

 相棒の土井をさんざん振り回しながら、型破りな捜査を決行していくすみれ。

「今夜のこと(捜査)は私もちょ〜っと行き過ぎたけど、訴えたり、つぶやいたり、インスタに画像アップするのはナシね!」

 自分に都合が悪くなってくると、相棒に始末書を押し付けて退散するのがお決まりだ。

 今回の作品に関しては目立った役ではなかったけれど、彼女のインパクトのある存在感にやられた。今後、出演作品はどんどん増えていくと思うし、ポスト菜々緒の香りもするので、期待に胸を膨らませておきます!

<TEXT/スナイパー小林>
【スナイパー小林 プロフィール】
ドラマ解説、芸能、恋愛、カルチャー、美容・健康ネタ好きのライターであり、編集者であり。執筆や編集を手がけた媒体は100冊以上。約20年以上ドラマをこよなく愛し、ついには趣味が仕事になった幸せ者のアラフォー。Twitter:@hisano_k