ハリウッド版「攻殻機動隊」について語った石川光久社長

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 日本でアニメーション版の「攻殻機動隊」シリーズを展開してきた Production I.G の石川光久社長が、自身もプロデューサーとして参加したハリウッド実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』の公開を目前に控えた現在の思いを語った。

 世界中に熱狂的なファンを持つ「攻殻機動隊」のハリウッド実写化となる本プロジェクト。いよいよ映画が完成し、石川社長も「想像以上というか。よくここまで作ってくれた、という気持ちでいっぱいですね」と感慨深い表情。スカーレット・ヨハンソンが“少佐”を演じると決まった際は「まさか彼女が」と驚きを隠せなかったというが、「でも、まさに海外だからこそ生まれた発想だし、うれしい想定外でした。他をどう探しても彼女しか選択肢はなかったし、そう言わしめるだけの演技をしている。彼女はすごいですよ」と称賛する。

 映像についても「アニメ版のインパクトある映像は崩さずにうまく使っている」と感服。「CGと実写の映像も作り込んでいるし、そしてなによりルパート・サンダーズ監督の美的センスにあふれている。ハッキリ言って彼は、映像にかけるこだわりが強いだけに、お金もかかるし、時間もかかるし、きっと大変なことが多いだろうと思う監督です。でもあえてそんな彼を選んだ製作陣がすごい。画面に出るところに惜しみなくお金と時間をかけることが、この世界観を作るために大切だということをみんな知っているんです。さすがだなと思いましたね」。

 1995年公開の『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』を手がけた押井守監督は、本作に関してはノータッチ。脚本を見ることも、アドバイスを送ることもなかったという。「でも押井さんには実写版を観てもらいたい」という気持ちから石川社長は、押井監督、神山(健治)監督、(音楽の)川井憲次の3人を撮影現場に連れていった。「押井さんも行く前は、『どうせアニメとは全然違うし、なんでスカヨハを使ったんだとみんなから言われるんだろう。そういった声の風よけに使われるなんてヤダよ』とブーブー言っていた」と笑いつつも、「でも実際に行ったら変わった。食い入るように現場を見ていましたから」。

 ハリウッド実写版のプロデューサーは、マーベル・スタジオの創設者で、CEOや会長を歴任した大物アヴィ・アラッド。彼がスティーヴン・スピルバーグに企画を提案し、2008年にドリームワークス社が「攻殻機動隊」の実写化権を獲得した。「違う会社に決まりそうになったこともあったし、企画が決まるまでにはいろいろあったけど、最終的にアヴィがやってくれることになって良かった」と振り返る石川社長。その後、アヴィは米国法人 Production I.G.,LLCの会長にも就任している。「人柄もいいし、いろいろと相談にも乗ってくれた。すごく距離が縮まったので、彼が六本木に来た時、ダメ元でウチの会長をやってくれないかと聞いてみたら、いいよと。そういう関係も含めて、アヴィとはいい関係でやってこれた」と満足げな表情を見せる。

 「攻殻機動隊」シリーズは、海外におけるProduction I.G.の価値を一気に高めた。「スタートラインは『イノセンス』だったと思うんですが、このハリウッド実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』でステージが確実に上がったという気持ちがありますね」と語る石川社長は、この実写版に手応えを感じているようだった。(取材・文:壬生智裕)

映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』は4月7日より全国公開