松山は、アマチュア時代の2011年に日本人最年少(19歳)でマスターズ決勝に進出。過去2大会ではトップ10入りを果たし、今年こそ頂点を狙う

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4月6日に開幕する今年のマスターズ・トーナメント(アメリカ・ジョージア州)に日本からは松山英樹と池田勇太、大会の約2週間前に出場権を獲得した谷原秀人の3人が出場する。現在、男子ゴルフ界には絶対的王者が不在で、「誰が優勝してもおかしくない」と言われるなか、日本勢で期待がかかるのは、やはり松山英樹だろう。

松山は、昨年10月からスタートした今シーズンの海外ツアーで3勝(3勝のうち1試合は賞金ランキングに関係ない試合)を挙げるなど、米国男子の賞金ランキングで2位(3月27日現在)につけている。世界ランキングも前年同時期の11位から4位に上げ、一気に世界のトップ選手の仲間入りを果たした。

優勝に最も近い選手のひとりとして、メジャー四大大会の初戦を迎える松山だが、2月5日のフェニックス・オープンで優勝した後は調子が下降気味。果たして、日本人初のマスターズ制覇は実現するのか。プロゴルファーでありながら順天堂大学大学院の医学研究科で修士号を取得した横田真一プロに、独自の予想をしてもらった。

「データ的に見ると、最近は道具が進化して飛距離が伸びたため、アイアンでのアプローチがうまい選手が世界を制する傾向にあります。特にマスターズでは、開催コースのオーガスタ・ナショナルのグリーンが“ガラスのグリーン”と言われるほど硬く仕上げられているので、アイアンで球を止められるかどうかがポイント。松山プロの最大の武器はアイアンで、昨年の部門別の成績では、多くの分野でナンバーワンでした。この点は期待していいと思います」

さらに、横田プロが注目するのは、松山の特質としてよく指摘される“鈍感力”だ。

「超一流のアスリートには、面白い共通点があるんです。あるヨーロッパの脳科学者が、日常生活を送る一流スポーツ選手の脳波を測定したところ、極めて限定的に神経細胞が活動しているという結果が出たそうです。

これは、脳が全体的に活動する一般の方に比べ、一流選手たちは専門分野や興味のあることばかりを考えているということ。松山もまさにこのタイプの選手で、よけいなことは考えずに同じことを繰り返せる能力を持っているんです」

この特性が、大きなプレッシャーのかかる場面で生きてくるという。

「器用な選手は、アプローチでいろんな打ち方ができますが、勝負どころではそれが邪魔になることもあります。松山の場合は、どんな局面でも打ち方がシンプル。これが一番ミスが少なく、プレッシャーにも強いというわけです」

確かなアプローチ技術と、それを大舞台で発揮する“鈍感力”に加え、これまで積み上げてきた“経験”が松山を後押しする。

「オーガスタでは“ここに打てばピンに寄っていく”というターゲットエリアが決まっているんです。松山は今年でマスターズに6回目の出場となりますから、コースに慣れているというのも有利ですね。優勝確率は、期待も込めてですが、20%くらいあるんじゃないでしょうか」

名選手たちに贈呈されてきたグリーンジャケットに、松山が袖を通す姿を期待したい。

(取材・文/古屋雅章 写真/アフロ)