BIZREACHが運営するウェブメディア「BIZREACH FRONTIER」では、FinTech、VR/AR、人工知能など、最先端の分野にチャレンジし、いま、ではなく未来、「次の時代の当たり前」になるサービスや技術を作らんとする日本の企業を紹介しています。

ライフハッカー[日本版]では、毎週その中から1本の記事をセレクト。前人未踏の領域へとチャレンジする日本企業をご紹介していきます。

ARで先行し、VRでも斬新な発想で勝負する


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岩井陽介(いわい・ようすけ)
アララ株式会社 代表取締役 Group CEO

1989年に関西学院大学法学部を卒業後、株式会社リクルートコスモスに入社。株式会社リクルートビルマネジメントを経て、1994年株式会社パシフィッククリエイティブに入社。1996年株式会社パラダイスウェブを設立後、1998年には株式会社サイバードの設立に参画し、専務に就任。2006年に株式会社レピカを設立し、2008年にはCEOに就任。2016年4月に子会社だったアララ株式会社を吸収合併し、社名をアララ株式会社に変更。


かつては城下町として栄えた兵庫県篠山市。この地の名所、名産品などを歌詞に盛り込み江戸時代より歌われてきた民謡「丹波篠山 デカンショ節-民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶」が文化庁による「日本遺産」に認定された。この認定を受け、同地の魅力を伝える施設として設立された「丹波篠山デカンショ館」に2016年末、あるユニークな望遠鏡が設置された。

日本初となる「VR(仮想現実)望遠鏡」である。望遠鏡をのぞくと、自分があたかも鳥になったかのように、丹波篠山地域の360度映像やドローンによる空撮映像を見ることができる。

「VR(仮想現実)望遠鏡」の名の通り、その形状は観光地でよく見かける観光望遠鏡。一般的なVRと異なりヘッドマウントディスプレイは不要で、望遠鏡をのぞき込めば誰でも気軽に迫力のある映像を楽しめるようになっている。しかも、スマートフォンを通じて映像を映し出す仕組みのため、コンテンツの差し替えも容易だ。

「VR望遠鏡」の総合企画を手掛けたアララ株式会社の岩井陽介代表取締役兼Group CEOは、VRの現状を次のように語る。

「現実世界と異なる体験ができるVRは大いに話題を集めているものの、ヘッドマウントディスプレイをはじめとするギアの大々的な普及にはつながっていません。Pokémon GOのようにスマートフォンで気軽に体験できるAR(拡張現実)に対し、VRはヘッドマウントディスプレイを装着する点で抵抗感を覚える人が少なくないようです。そういった意味でも、VRについては具体的にどのような仕掛けで勝負すべきか、当社としても模索を続けている最中です」

こうした手探り状態の中、一手として打ったのが「VR望遠鏡」だ。望遠鏡というなじみのあるプロダクトにVRを掛け合わせ、誰にでも親しみやすくした発想力こそ、アララの強みとなっている。

実際、アララはVRよりも一足先にポピュラーな存在となったARの分野で、すでに競争力の高いビジネスを確立してきた。スマートフォン向けの無料ARプラットフォームアプリ「ARAPPLI(アラプリ)」がそのひとつで、国内トップクラスの実績を誇る。スマートフォン上でアプリを起動し特定の場所を映し出すと、現実にはその場に存在しないキャラクターなどが浮かび上がる仕掛けになっている。業種・業態を問わず多くの企業が、販促や集客プロモーションに活用している。

さらに、「ARAPPLI SIGNAGE」は巨大ビジョンを活用したプロモーションツールで、より多くの人たちが同時にARを体験できる。たとえば、巨大な恐竜が目の前を闊歩(かっぽ)するような演出が可能で、商業施設や展示会、テーマパーク、公共機関などでのイベントにおいて目玉となるコンテンツを提供している。

「当社が『ARAPPLI』をリリースしたのは2010年12月のことで、当時はARがまだ一般的ではありませんでした。その頃からプラットフォーム型のARビジネスに取り組んでいたのは、おそらく弊社ぐらいでしょう。QRコードを読み込めばAR映像が見られるという仕組みも、もともとは当社が開発したものです」

そう語る岩井氏からは、ARの黎明(れいめい)期からいち早くその可能性に着目し、この分野における先駆者となった自信がうかがえる。2011年2月には翌年開業予定の複合商業施設「渋谷ヒカリエ」のプロモーションに起用され、建設中の同ビルの完成後の姿を3D映像で見られるサービスを提供して話題を呼んだ。


電子マネー・CRM事業を主軸に起業


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岩井氏がアララの前身である株式会社レピカを設立した当初から展開してきたのは、現在も主力である電子マネー・CRM(顧客管理)事業だった。

岩井氏はiモード向けコンテンツプロバイダーとして急成長を遂げた株式会社サイバードの共同創業者の1人。当時、海外事業を管掌しており、北米企業のM&Aを目的に渡米した際にビジネスのヒントを見つけ、帰国後の2006年にレピカを起業した。

「当時の米国では、ギフトとして電子マネーを贈ることが生活に溶け込んでおり、日本でも事業化できないかと思ったのがきっかけでした。ただ、日本ではギフトという習慣があまりなかったことから、サーバ管理型の電子マネー兼ポイントカードサービスとして『point+plus』を立ち上げました」

岩井氏はまず、電子マネーとポイントを管理できるカードを発行し、飲食店や小売店などを運営する企業の顧客囲い込みや会員管理に役立ててもらおうと考えた。続いて、そういったカードを利用する人たちはその店に何度も足を運ぶ常連客であることから、販促のためのコミュニケーションツールとしてメール配信機能を加え、登録者の属性や利用履歴に応じたキャンペーンを展開できるようにした。

「現在、サブウェイやカフェ・ド・クリエなどの飲食店をはじめ、Francfrancなどのインテリアショップで採用されています。また、大手スーパーの地方進出を受けて、顧客の囲い込みを目的に地場のスーパーからの引き合いも多く、導入が進んでいます」

このメール配信については、電子マネー・CRM関連とは別に単独の事業としてもアララの業績に貢献している。業界最高水準の高速配信を誇るメール配信システム「アララ メッセージングソリューション」は、金融やIT、通信事業者などさまざまな企業がメールマガジンやDMの配信に活用中だ。

さらに、発想力が成長の源泉となっている企業だけあって、同社の事業は特定の領域にとどまらない。データセキュリティ事業においては、社内のPCやサーバに散在している個人情報を検出して漏えいを防ぐ「P-Pointer」シリーズを展開。大手金融機関をはじめとする700社超に導入されており、さらにいっそうの成長が見込めるという。


ブロックチェーン領域でも国内トップを目指す


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ここまで紹介してきた事業はいずれもBtoB関連だが、ARの分野への進出のきっかけとなったのはBtoC的な発想だったと、岩井氏は振り返る。

「僕自身はサイバード時代にBtoCのビジネスを手掛けていたので、カスタマー目線で物事を考えることがクセとしてあるのでしょう。ふと『ギフトとして受け取った電子マネーのカードからメッセージが浮かび上がったら面白いかも?』と思いついたのです。それに端を発して、プラットフォーム型のAR事業を立ち上げました」

BtoB領域で築いた基盤をもとに、遊び心を重視したAR領域にも参入した同社は、すでにARでも確固たる事業を展開。さらにVRの可能性を追求する一方で、ブロックチェーンの分野でもリーディングカンパニーを目指したいという大胆さを見せる。

2016年4月には、ブロックチェーン推進協会に発起メンバーとして加盟。国内で独自のブロックチェーン基盤ソフトウェアを開発したテックビューロ株式会社と業務提携し、他に先んじた事業化を図ろうとしている。その狙いを、岩井氏は次のように説明してくれた。

「弊社のシステムのように情報をサーバで集中管理する場合、サーバに負荷がかかるとサーバダウンなどの事故につながりかねません。しかし、ビットコインの根幹技術であるブロックチェーンを活用すれば、点在するPCでデータを分散管理できるので、サーバダウンやデータ改ざんのリスクがなくなります。よりセキュリティの高いシステム構築が可能になるのです」

アララは「point+plus」にテックビューロのブロックチェーン技術を導入すべく、有効性について実証実験を開始。2016年10月に公開されたレポートによれば、システムのダウンタイムがゼロで、データ改ざんやデータ消去を防止する仕組みも容易でありながら、実用性も十分だったという。

「ブロックチェーンは大きな可能性を秘めており、いずれ社会インフラとなっていくことは間違いないでしょう。しかしながら、今はまだ世界中の企業が手探りの状況。ブロックチェーンも完全無欠の技術ではありませんし、これからさらに研ぎすませていく必要があります。国内において当社よりもブロックチェーンの研究に力を入れているところはないと自負していますし、どういったかたちでマネタイズしていくのかも含めて、どこよりも早いビジネス展開を追求していきます」

そう熱く語る岩井氏が率いるアララは、VR/ARにセキュリティ、さらにはブロックチェーンと、時代の最先端に位置づけられる複数のキーワードに関わる企業という点においても、まさに異色の存在だと言える。「アイディアとテクノロジーで革新的なサービスを提供し、便利で楽しい、みんながハッピーになる社会を創る」という企業理念のとおり、これからも最先端の技術を取り入れながら、新しいサービスを生み出していくのだろう。アララが描く未来が楽しみだ。

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