毎日パイを焼く98歳の米男性(出典:http://nebraska.tv)

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長年連れ添った妻に先立たれたアメリカ在住の98歳になる男性。彼が寂しさを紛らわそうと始めたのは、幼い頃の母の思い出と重なる“パイを焼くこと”だった。男性が作るパイは人を惹きつける優しい味。『foodandwine.com』が男性の秘密のレシピの裏側について伝えている。

ネブラスカ州ヘイスティングズに住むレオ・ケラーさんが、72年間連れ添った妻のマデロンさんを亡くしたのは2012年のことだった。

「妻に先立たれ途方に暮れていた時『そうだ、パイを焼こう』と思ったのです。自分でパイを焼いたことはありませんでしたが、食べることも好きだし、何と言っても甘いものには目がないものですから。」

そう語るレオさんだが、パイを焼くのはそんなに簡単なことではないはず。レオさんはこう明かした。

「小さい頃、キッチンで母がケーキやパイを焼くのを見て育ちました。末っ子だった私は下のきょうだいができるまでの13年間、とても可愛がられて育ちました。パイ作りの原点は子供時代にあるんですよ。」

「材料を量ったり、泡立てたりすることはとても楽しいんです。それにパイを焼くと毎日があっという間に過ぎていくんです。」

レオさんが妻を亡くした年に焼いたパイは144個。趣味として、また寂しさを紛らわすために毎日パイやケーキを焼いている。そして出来上がると病気の友人や、近所、お葬式の席に持参しては人々に振舞う。お金をとることはない。

「毎日パイを焼かないと、なんだか調子が狂ってしまうんですよ。」

「それにね、人の笑顔っていうのはお金では買えないんですよ。それがパイ作りの醍醐味です。笑顔を見ると、『作ってよかったな』と思うんです。」

極めつけは、レオさんがパイを焼くオーブンだ。なんと亡くなった妻のマデロンさんが62年前に購入したという年代物だが、今でもしっかりその機能を果たし大活躍している。焼きあがったパイをオーブンから出す時、レオさんは毎回マデロンさんのことを想うのだという。

「パイを作るときはひとつひとつの作業に“愛”を込めるんです。私のレシピには“愛”という秘密の材料が入っているのです。」

レオさんは、糖尿病を患う友人には砂糖の代わりにフルーツを使うなど気配りも忘れない。受け取ってくれる人のことを思って作るパイは、きっと優しい味がするのであろう。

98歳になり、時には介護に来てくれる女性の助けも借りながらパイ作りに精を出しているレオさん。今年も365個のパイを焼き、パイの数だけ、いやそれ以上の笑顔を作り出していくのに違いない。

昨年、イタリアのローマで孤独な老夫婦に手作りのパスタを振舞った警察官が話題となった。「笑顔をもたらすことも大切な仕事」と語っていたその警察官らの姿勢はレオさんに通じるものがある。

出典:http://nebraska.tv
(TechinsightJapan編集部 A.C.)