習近平氏(左)と曽慶紅氏(右)、2008年3月の全人代開催期間中に撮影(Feng Li/Getty Image)

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 中国共産党中央紀律検査委員会(中紀委)は最近、江沢民の側近中の側近と言われる曽慶紅・元国家副主席と弟の曽慶淮・元文化部特別巡視員に対して、一族の汚職や腐敗の実態問題で事情聴取を行った。香港誌「争鳴」4月号が伝えた。

 同誌によると、中国の全国人民代表大会と政治協商会議(両会)が閉幕後の3月18日、中紀委の趙洪祝・副書記と党中央組織部(中組部、党内人事や党の建設等を管轄)の趙楽際・部長は、北京の玉泉山幹部休養所で、曽慶紅氏と曽慶淮氏の2人に中国国内での経済活動と海外での社会活動について事情を聞き取った。

太子党で強力利権 曽兄弟

 太子党で絶大な権力を持つ曽兄弟の親族は、国内、香港・マカオ、海外で総額約400〜450億元(約6400億〜7200億円)の資産を持つとされる。香港で28〜30億元(約448〜480億円)、マカオで10億元(約160億円)、オーストラリア、シンガポールなどの国では36〜40億元(約576〜640億円)と推計されている。

 曽慶紅の息子の曽偉は、オーストラリアやニュージーランドで設立した企業の貿易規模が年間25〜30億米ドル(約2750〜3300億円)になるほか、両国で保有する不動産が20カ所以上。オーストラリア国籍を持つ同氏は、すでに4年も中国本土に戻っていないという。中国当局の反腐敗キャンペーンで自らの取り調べや身柄拘束を警戒している可能性が高いとみられる。

 一方、曽慶淮の娘の曽宝宝は国内5社の上場企業の社長や役員を務める。曽宝宝の不動産開発企業は深セン、広州などでの収益が400億元(約6400億円)以上だという。

中国当局、海外にいる親族帰国を求める

 同誌では、当局は曽一族の不正蓄財をすでに把握しており、今回は2015年1月7日以降曽兄弟に対して3回目の事情聴取となったと示した。当局は曽兄弟に「積極的な調査の協力」を求め、2人には「特権や特別待遇」がないと強調した。さらに、曽兄弟に、海外にいる親族が帰国し事情聴取を受けるようと要求した。

 

 一部の香港メディアの報道では、昨年中国共産党指導部の非公開の北戴河会議の前に、習近平国家主席が中紀委の王岐山・書記に対して、曽慶紅らの元中央政治局常務委員への直接事情聴取を行うようと指示した。習当局はこの事情聴取で、各常務委員の個人、配偶者、子女が保有する資産規模や経済活動などを報告するようと要求した。

 また、習当局は14年8月に国務院が発布した『不動産登記暫定条例(意見聴取版)』で高官らの資産公開制度を試みたが、党内既得利益集団から激しく抵抗を受けた。

 中国共産党政権において、最高指導部から下級官僚まで腐敗や汚職が横行する中、当局が高官らの資産を公開すれば、高官らの腐敗実態が明るみになる可能性が高く、失脚を余儀なくされるのを恐れているからだと考えられる。

 「争鳴」誌は、曽一族が保有する実際の資産総額はいまだ謎と指摘した。

 今年に入ってから、曽慶紅の周辺では元側近などが相次いで、当局に身柄拘束をされて、又は腐敗問題で法的に裁かれた。

 1月27日旧暦の大晦日に、曽一族や他の江派閥高官らの資産運用や管理を任された中国人富豪の肖建華は当局に、香港から本土に連行された。大紀元が入手した情報では、肖建華は取り調べで、曽慶紅らの腐敗実態を全部自白した。習近平当局と中紀委は、曽慶紅の逮捕に向けて準備を進めている。

 中国最高人民検察院は2月6日、曽慶紅の側近の馬建・元国家安全部副部長に対して収賄罪で立件調査をしたと発表した。他に、チベット自治区人民代表大会常務委員会の楽大克・前副主任や全国政治協商会議の蘇栄・前副主席も、収賄罪でそれぞれ無期懲役と懲役13年を言い渡された。

 一方、曽慶淮と密接な関係を持つ、香港に本社を置く歓喜伝媒集団有限公司の董平・会長は3月10日に当局に身柄拘束された。董平は中国映画界のドンと呼ばれ、歓喜伝媒は第73回米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞したアクション大作「グリーン・デスティニー」に投資した。

 習近平当局は、江沢民や曽慶紅らへの打倒に向けて着実に進んでいるようだ。

(翻訳編集・張哲)