【もやもや】「いきなりの電話は失礼」「かけてこないで」新年度スタートでさらに広がる世代間の仕事電話の意義〜その1〜
新年度がスタートし、月曜日のニュースには各社の入社式の様子が多く紹介されていました。
LINEの入社式では、新入社員24人の代表として、人生の勝ち組を具現化したようなルックスの青年がご登壇。ハワイですか日サロですかと突っ込みたくなるほどに日焼けした肌に懐っこい笑顔。「私たちは、一般的にはデジタルネイティブやソーシャルネイティブと呼ばれる世代になります。(略)インターネットとともに人生を歩んできたといっても過言ではありません。(略)これからは自分たちが作り上げる側」という言葉は頼もしく、ああ、こういう優秀な若手が続々と入ってくる業界はIT系なんだなと改めて感じた次第です。
だが、しかし。
入社式後のご歓談時間かなんだかの写真をみて、うーむと思ったのです。みな一様にうつむいてスマホをいじっています。人がとなりにいても、しゃべってない。ぜんぜんご歓談じゃないのです(一組だけ、LINEアドレスを交換してるのかなっていう背中が写っていましたが)。
ただ、違和感は持ったものの、これが新しい時代をつくる側のあるべき姿で、こっちが古いんですよね……、という気持ちになったんですよね。
いきなりの電話は「時間の搾取」
先日、知り合いの編集女子がいつになくプリプリとしていました。
聞けば、「社外の人がメールですむような内容なのに、わざわざ電話をかけてきた」とのこと。どうでもいい電話のせいで集中力が途切れた上に、時間もムダになったと怒っているのです。
「いきなりの電話は時間の搾取だ」というのが彼女の言い分です。搾取。奪われるだけでなく、相手がその利益を手に入れること。
そうでしょうか。
だって電話って、基本的に「いきなり」かかってくるものです。ぶしつけだからこそ「今、お電話よろしいでしょうか」と相手にお伺いをたてるべし、とビジネスマナーでも提唱されているのです。
でもその「よろしいでしょうか」が「とりあえず言ってみました」程度で、こちらの状況に関わらず、有無を言わせない感じがある。そのせいで「もう、勘弁して」「なんで電話してくるの?」という気持ちにさせられるんでしょう。「メールでよくない?」と。
確かに、電話はかけてきた相手にとって(だけ)必要で、かかってきたほうにしたら不必要な場合が多い。
彼女の場合も、「どうでもいい内容」だと思うのは彼女で、かけてきたほうにとってはどうでもよくない。だからかけてくるーー、という考え方も正しいのか正しくないのか。
「用事があるときは、まず電話をかける」。これが礼儀だと思ってるからだけなのでは。そうだとしたら、相手に「いやもう、それ古いんで。基本メールベースでいきましょうよ」と伝えれば、電話による「時間の搾取」はなくなるような気がします。
「メールより電話が礼儀」世代の40歳以上
私が仕事を始めたころは、まだ携帯電話なんてなくて、編集部は常に固定電話が鳴っている状態でした。内線ボタンがいくつも点滅していて、取り次いでもらったときに番号を聞き間違えると、ほかの人の電話に出てしまったり、ボタン操作ミスで切ってしまったり。保留にされたまま、ずっとほったらかしになっていたり。
携帯電話が普及し始めたときも、「かかってくる電話をじっと待っていなくてすむ」ことや、移動時間を電話応対に使えることが嬉しくて。まさか、今のように、電話が嫌われるものになる時代がくるなんて、思ってもみませんでした。
彼女も「イマドキ連絡ツールで電話をメインに使ってるのは40歳以上だけだ」と言っていましたが、さもありなん。私もけっこう使う派です。むしろ、スマホは小さいタブレットという役割でしかなく、わざわざ電話のためにだけ1990年代からガラケー持ち。
初めての取材先や撮影依頼の1回目の連絡は電話だし、メールのやりとりで揉めて「こりゃ、直接話したほうがトラブルを回避できる」っていうときも電話だし、メールで文章にして証拠を残したくない話も電話でします。
とくに、今すぐ返事が欲しいときには、とりあえずかけてしまう。つながらなかったらメッセージを残し、メールで「今、お電話した件です」と送る。
書き出して振り返ってみると、自分は電話を「火急」な雰囲気を醸し出すものとして扱っているようです。たとえ、電話をして、たとえ相手がでなくても、こちらの重要度だけは伝えられる。それが電話。
だからやっぱり、自分がどうでもいいと思ってしまう電話の対応には、私ももやもやするってことですね。「え、それ、あなたにとって重要?」「どうしてかけてきた?」と思うからです。
かけるときも、胸を張って「これは私にとって、とても重要なことなんです!」ってときでないと今はもう使えない。使えなくなってしまっている。それが電話2017。
しかも、LINEやfacebookでつながっている人にはスマホから無料通話でかけますから、日常、ガラケーの出番はほとんどありません。ほとんど使っていないのに毎月5000円以上払っているのはムダっていう指摘もありますが、電話しかつながらない相手がひとりでもいる現状、電話は必要だし、やっぱり電話は受話器みたいな形をしていないと、どうもしっくりこないんですよね……。
その2では、あずき総研が働くアラサーの感じている「世代による電話の使い方の違い」のもやもやをリサーチ。「メールでいいじゃん」と「電話にしてよ」の間には何があるんでしょうか。
知らない人からの「今、お電話よろしいでしょうか」はたいがいこっちにメリットがない。