実績的には申し分ない白鵬だが…

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 大相撲春場所で途中休場するなど力の衰えが見えてきた白鵬だが、優勝37回の記録を打ち立てた大横綱である。本来なら、貴乃花親方や北の湖前理事長(故人)のように、引退後も現役時代の四股名を名乗りながら協会に残る「一代年寄」が認められておかしくない。

 ところが、協会は引退後に親方となるには日本国籍が必要とし、帰化せずモンゴル国籍のまま一代年寄襲名を目指す白鵬とは反目が続いてきた。

「白鵬が帰化せずに一代年寄となることにこだわる背景には、母国にいる父親の存在がある。父親はモンゴル人の五輪メダル獲得第1号(レスリング)となった国民的英雄です。その父親が“モンゴル人として日本の国技の頂点に立つことにこそこそ意味がある”との考えを持っている」(スポーツ紙記者)

 ここまでは関係者の間でよく語られる話だが、事情はもう少し複雑そうだ。後援会関係者が語る。

「白鵬クラスになれば、周りの支援者だって山ほどいるわけですから、帰化するのかしないのか、協会に残るのか残らないのかといった選択は、周りの意見も聞きながら決めていかなければならない。

 帰化するとなれば夫人の家に婿入りするようなものと捉える人もいますが、2007年2月に結婚した白鵬夫人の父は、もともと朝青龍後援会のトップを務めていた徳島県の有力資産家で、よくいう人もいれば、そうでない人もいる。昔は新聞を騒がせるような一件を起こしたこともある人。そのあたりの経緯を懸念する声だって少なくない。何をどう決断するにしても、白鵬の周りの雑音は思っている以上に多い」

 日本人横綱の稀勢の里の人気と実力が際立つなかで、白鵬に頼らずとも済むようになった協会側が、譲歩してモンゴル国籍のままの襲名を認める見込みはますます少なくなった。

 白鵬は引退後に部屋を開く準備として、すでに3人の内弟子を取っているが、このままでは親方として部屋を開ける見込みは立たない。

「日馬富士も鶴竜もモンゴル人女性と結婚し、協会に残る気はない。モンゴル勢の中で白鵬だけが浮いてしまわなければいいのですが」(同前)

 白鵬の“徳俵”は、土俵上だけのことではない。

※週刊ポスト2017年4月14日号