ロシア・モスクワ市内を歩く人々(2016年10月9日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】10代の若者の自殺が相次いでいるロシアで、人気の高い交流サイト(SNS)で若者に自殺を扇動しているとされる「死の集団」の存在が明らかになり、パニックが起きている。

 報道によれば、ロシア版フェイスブック(Facebook)「VK」には「メンター(指導者)」的な存在が運営する秘密のグループが複数あり、参加メンバーに自殺を唆しているという。

 ロシアの独立系紙ノーバヤ・ガゼータ(Novaya Gazeta)による昨年の調査でこうした集団が明るみになったことから、10代の子どもを持つ保護者は動揺し、自殺の話題が一般的にタブーとされている同国では激しい論争が巻き起こった。

 サンクトペテルブルク(St. Petersburg)当局は昨年11月、15歳の若者にVK上で自殺を教唆したとして、死の集団のメンターの一人であるフィリップ・ブデイキン(Filipp Budeikin)容疑者(22)を逮捕。ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領も事態に懸念を表明し、今月に入り、同容疑者に対して現行では最高3年の禁錮刑以上の厳罰を求めた。

 ノーバヤ・ガゼータの報道によると、2015年11月〜2016年4月の間に国内で自殺した計130人のうちの数十人は10代で、VK上の死の集団によって自殺に追い込まれていたという。死の集団はカルト的なグループを拡大しながらも、実態は謎に包まれたままだ。

 ブデイキン容疑者は、身柄を拘束される前に地元メディアのインタビューに応じ、自身にとって10代の若者は「生物分解する廃棄物」であり「社会に無価値な人間」だとして、若者たちを引き付ける手口を説明。

「初めに、非日常的な雰囲気に陥れるような抑うつ的なコンテンツのグループを(SNSで)立ち上げる」「ユーザーがリンクをクリックして非公開グループに入ってきたら、ゲーム開始だ」と語っている。

■「社会を掃除しただけ」とうそぶく指導者

 ブデイキン容疑者は、若者たちに個人情報の共有と自傷など特定の「任務」の遂行を求めたことは認めたものの、「なぜ死ぬのが最善の道なのかを何人かに説明しただけにすぎない」「選択したのは彼らだ。誰も強制していない」として、自分はただ「社会を掃除していただけだ」と述べている。

 ノーバヤ・ガゼータによれば、死の集団はグループ参加者らに対して、「任務」を拒めば家族や恋人をつけ狙うと脅迫すらしていたという。

 死の集団の存在はロシア社会に衝撃を与えた。世界保健機関(WHO)によると、ロシアの未成年者の自殺率は10万人当たり20人。世界平均より3倍高い。

 ロシアで子どもに関するオンブズマン活動を行うアンナ・クズネツォワ(Anna Kuznetsova)氏によれば、同国の未成年者の自殺率はここ数年、減少傾向にあったが、昨年は死の集団が要因となり57%近く上昇したという。

■「都市伝説では」の非難の声も

 こうした集団は隣国ウクライナにも広がり、同国当局は10代の自殺の急増に警鐘を鳴らしている。

 ウクライナ警察は今月、500のSNSグループへのアクセスを遮断した。家出した未成年者に関する通報は1日70件近くに及び、その20〜30%が死の集団に参加しているという。

 一方で、ノーバヤ・ガゼータが調査報道内容を誇張し、10代の特殊な自殺事例から都市伝説をつくり上げていると非難する声もある。

 ロシア連邦統計局(Rosstat)のデータによると、2016年の自殺者数は2万2839人。2015年の2万4982人から減少しているが、年代別の数字は公表されていない。
【翻訳編集】AFPBB News