舞台『あさひなぐ』薙刀初稽古の様子。

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 乃木坂46のメンバーが出演する舞台『あさひなぐ』が5月20日から開幕。この舞台のテーマとなる薙刀(なぎなた)の初稽古が3月29日、都内で行われた。

(参考:乃木坂46の舞台公演が相次ぐ背景

 『あさひなぐ』は『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載中の、こざき亜衣による人気“薙刀”コミックが原作。“美の武道”と言われる薙刀に青春のすべてをかけた少女たちの、成長していく姿を追ったストーリーとなっている。

 この舞台化は2月21日、さいたまスーパーアリーナで開催された乃木坂46のデビュー5周年ライブ『5th YEAR BIRTHDAY LIVE』にて、同作品の映画化とともにサプライズ発表されたもの。舞台版、映画版それぞれに乃木坂46のメンバーが出演し、キャストは各バージョンとも異なる。舞台版では齋藤飛鳥、映画版では西野七瀬が主演を務め、舞台版にはこのほか井上小百合、新内眞衣、若月佑美、生駒里奈、堀未央奈、衛藤美彩、北野日奈子が出演。さらに元宝塚のトップスターである真琴つばさをはじめ、石井一彰、則松亜海らと共演する。映画版に関しては今のところ西野以外の出演者は未発表だが、乃木坂46を含むキャスト陣が追ってアナウンスされる予定だ。

 今回の薙刀稽古に参加したのは、乃木坂46から齋藤、井上、新内、堀、衛藤、北野と、福留やす子(ふくとめ やすこ)役の則松亜海などの共演者たちを含む11名。稽古着を着用した彼女たちは、初めて手にする“なぎなた”に動揺しつつも、先生の指示により持ち方や構え方、振り方をじっくり教わっていく。また、実際の試合でも用いられる送り足、歩み足、継ぎ足などの体捌きから、中段の構えや八相の構えなどの構えまで、薙刀の基礎をレクチャーされていくのだが、乃木坂46の面々は最初こそ戸惑いの表情を浮かべる。しかし、彼女たちは休憩中も熱心に自主練習を繰り返し、稽古終盤では打ち返しがしっかり形になるまでの成長を見せた。

 稽古の合間には、乃木坂46の面々が薙刀やこの舞台に対する思いをコメントしてくれた。

<齋藤飛鳥>

初回だからというのもあるんですけど、まだ不安が募るというか。ダンスと同じように、腕は伸ばすけど足は曲げるみたいに、一度に違う動きをたくさんしなくちゃいけないので、体が徐々に慣れていくか難しいなと思いました。うまくできるかは……自信はないんですけど、だんだんと慣れてきたらコツがつかめてくるのかなと。でも今は“なぎなた”が重くて、振るので精一杯。先生にいろいろ教えてもらいましたけど、中でもスネが難しかったです。膝を曲げてグッと前のめりになるんですけど、まだ私には勢いが足りていなくて。体がなぎなたに振り回されている感じというか、まだ自分が“なぎなた”を振っている感じがしないので、早くこれにも慣れていきたいですね。

<井上小百合>

スポーツって普通は力を入れて体を動かすものなんですけど、薙刀ではとにかく力を抜いてと言われて。普段ダンスでも力を入れる動作しかやってきていなかったので、それがすごく難しいんです。あと、普通に薙刀をやるだけじゃなくて、原作どおりのキャラクターを演じなくてはいけないということも、すごく大変で。私の演じる八十村将子ちゃんはもともと剣道の経験があって、剣道の癖が出ちゃうという役。なのに私は剣道の経験もないので、もうどうしようかと(苦笑)。でも、今日教わっている薙刀の先生は原作の将子ちゃんと同じで、剣道経験者で薙刀を始めたそうなので、先生の動きを見ておくといろいろ学べるかも。とにかく頑張ります。

<新内眞衣>

薙刀をはじめとした武道自体が初めての経験で。やっぱり基礎が大事だと思うので、しっかり叩き込んでから舞台に立ちたいなと思っています。でも今は、先生たちの型と私たちの型が違いすぎて不安なんですけども(笑)、でもいっぱい練習すればそのぶんだけちゃんとできるようになるのかなと思うので、頑張って練習していきたいと思います。

<堀未央奈>

初めて“なぎなた”を手にしたんですけど、意外と細かいところにまで注意しないといけないし、力の加減もかなり難しくて。舞台は本当に薙刀メインのお話になっているので、自分の役を理解しながらちゃんと薙刀を習得して、舞台のお稽古に臨みたいなと思います。

<衛藤美彩>

今回初めての稽古ですが、ちゃんとこうやって稽古着を着るとより背筋が伸びますね。まだまだ初心者ですけど、うまくなれそうな気持ちがします(笑)。スポーツ自体は本当に好きなんですけど、こういう道着を着てやるスポーツは初めてなので、今日は先生や他のキャストの皆さんと一緒に一生懸命練習して、いいものを作りたいなという気持ちが強くなりました。不安もあるんですけど、初心者ではないようなぐらいまでうまくなりたいな。正直、なぎなたが家に欲しいなと思いましたし、今日お借りして持って帰りたいぐらいです(笑)。

<北野日奈子>

先生から前、後ろとかすり足と指示を出されても、言われたことを頭で理解するまでに時間がかかるので大変で。でもその言葉が染みつくぐらい、いろんな人に「前!」って言ってもらって慣れていきたいな(笑)。あと、考えるときに上を向く癖があるので、それが出ないように気をつけたいです。私はバスケ部出身なので、こういう和服っぽい道着で激しく汗をかく運動には慣れていないけど、カッコよく見せられるように頑張ります。


 さて、ここからは舞台版『あさひなぐ』で乃木坂46メンバーが演じる各キャラクターについて紹介しつつ、今秋公開を控えた映画版『あさひなぐ』への期待も寄せていきたい。

 物語の主人公、東島旭(とうじま あさひ)は二ツ坂高校の入学したばかりの、メガネがトレードマークの女の子。中学時代は美術部だった彼女は、部活動オリエンテーションでふとしたきっかけで出会った薙刀部に入部することになる。背も低くこれまでスポーツとは無縁だった旭は、過酷な練習や先輩たちとの交流を経て、着実に芯の強さがあらわになっていく。舞台版では齋藤、映画版では西野が演じるこの旭、普段から積極的に前に出ていく印象の薄い2人にぴったりの役という印象がある。ともに薙刀初心者ということもあり、稽古から舞台&映画本編を通じてどのような成長を見せていくのかにも注目だ。

 その旭の精神的支柱となる存在が、1学年上の先輩にあたる宮路真春(みやじ まはる)。7歳から薙刀を続けるほどの経験者であると同時に、二ツ坂高校薙刀部のエース。1年生の時点で個人戦にて全国大会ベスト8まで勝ち進んだ実力者として、薙刀界では有名な存在である。また容姿端麗で運動能力も長けているが、勉強に関しては苦手意識があり、原作では先生から追試を言い渡される場面も何度か登場する。旭とは薙刀部以前に、通学中とある事件を通じて出会っている。その後、ドジで非力な旭の成長を、厳しくも温かい眼差しで見守っていく。舞台版でこの役を演じるのは、乃木坂46の中でも舞台経験の多い若月。凛々しさが特徴の真春役は、まさに彼女にうってつけの役と言える。映画版では誰が、西野演じる旭と向き合うことになるのか、非常に気になるところだ。

 旭と一緒に薙刀部に入部する1年生にも、個性的な面々が配役されている。八十村将子(やそむら しょうこ)は勝気で粗暴さが目立つ性格だが、仲間に対する思いは人一倍強い少女。中学時代は剣道部に所属しており、その経験が良くも悪くも薙刀に影響していく。舞台版ではこの役を井上が担当。可愛らしいルックスとは相反して、芯に“男らしさ”を持つ井上が自身をどう将子に近づけていくのか。そして映画版でうってつけなメンバーは誰なのかも、楽しみなところである。

 旭、将子と一緒に薙刀部に入部する紺野さくら(こんの さくら)は、中学時代にバレーボール部に所属していた高身長の女の子。裕福な家庭で育ったお嬢様で、その環境が影響してか、時に天然ボケを発揮したかと思うと、時には丁寧な言葉使いながらも毒や棘をはらんだ発言で薙刀部の面々を凍りつかせる。ある意味、二ツ坂高校薙刀部のムードメーカー的存在と言えるだろう。舞台版では、この役を新内が演じる。近年は『すべての犬は天国へ行く』『墓場、女子高生』といった舞台で頭角を現し始めている彼女が、さくらという役をどう演じるのかと同時に、映画版との比較も気になる。

 真春と同級生で、新たに薙刀部部長に就任した野上えり(のがみ えり)を演じるのは、最近演技仕事が増え始めている生駒。えりは言葉巧みに旭たち1年生を薙刀部に入部させるほど頭の回転が早く、その頭脳は薙刀の試合にも効果的に作用するほど。乃木坂46の中でリーダーシップを発揮する機会も多い生駒が、薙刀をテーマにしたこの舞台でどう立ち振る舞うのか。と同時に、この役を映画版で演じるにの適した乃木坂46メンバーが誰になるのかにも、注目しておこう。

 また、旭たち二ツ坂高校薙刀部にとって新たなライバル校となる國陵高校薙刀部の面々も個性的なキャストが揃った。真春を打ち負かし、のちに旭のライバルとなる一堂寧々(いちどう ねね)は、熊本から東京に転校してきた1年生。馴れ合うことを嫌い、周りを圧倒させる実力もあって他部員のレベルの低さに憤りを感じている。熊本弁で話すこの役を、舞台版では堀が熱演。舞台経験はまだ数えるほどしかないが、未知数な可能性を持つ彼女の演技、そして齋藤演じる旭、若月演じる真春との対峙場面など非常に気になるところだ。

 この他にも舞台版では、國陵高校薙刀部2年生の寒河江純(さかえ じゅん)役を衛藤、1年生の的林つぐみ(まとばやし つぐみ)役を北野が担当。堀演じる寧々とのやりとりに加え、二ツ坂高校薙刀部との試合場面をどのように見せていくのか。演技力のみならず、薙刀の技術にも注目があつまる。

 このように、原作を理解して5月からの舞台に臨むと、その世界観をより深く感じることができると同時に、乃木坂46の面々が各キャラクターにどこまで原作に近づけるかと、楽しみ方も増えることだろう。そこから、今秋公開予定の映画版『あさひなぐ』の内容や、旭以外のキャストが誰になるのかなどを想像していくと、『あさひなぐ』の世界をより深く感じることができるはずだ。(西廣智一)