患者のために用意された抗生物質。中国・北京の病院で(2003年4月17日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】抗生物質の長期にわたる摂取は、後年、しばしば大腸がんにつながる直腸ポリープの発生リスクを高める恐れがあるとした研究論文が5日、発表された。

 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)の消化器病学専門誌「ガット(Gut)」によると、この研究により、 腸内細菌叢(そう)ががんの発症に重要な役割を果たしているとの考えを補強するものだという。

 これまでの研究でも、抗生物質の使用と大腸がん発症との関連は指摘されていたが、ポリープとの関係は究明されていなかった。

 米ボストン(Boston)のマサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)のアンドリュー・チャン(Andrew Chan)氏は、2004年の時点で60歳以上の女性1万6642人の健康診断記録を詳しく調べた。

 対象となった女性らは、2004年から2010年の間に結腸内視鏡検査を少なくとも1回受けており、その期間にポリープの症例1195件が診断された。

 その結果、研究者らは、抗生物質を20年の間に計2か月以上摂取した女性らにポリープが発生するリスクが高いことを発見。20代と30代に2か月以上摂取した女性ではポリープ発生リスクは36%、40代と50代では同70%と、抗生物質の長期摂取の無かった女性と比べてそれぞれ高い数字が示された。

 基本的に抗生物質は、消化管内の細菌を殺してその生息数を減らすことにより、腸内細菌叢を変化させる。抗生物質はターゲットとなる細菌を殺す働きをするが、同時に他の病原菌への腸の抵抗力も弱めてしまう。

 この腸内細菌のバランスの乱れが大腸がん患者に共通していることは、先行研究でも示されている。

 今回の研究をめぐっては、その他要因を排除した実験を行っておらず、あくまで状況証拠に基づく結果であることを研究者らは指摘している。また一部研究者は、食肉に含まれる抗生物質の存在についても考慮すべきとしている。
【翻訳編集】AFPBB News