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ケンブリッジ大学・イーストアングリア大学・東フィンランド大学の共同研究で、分子を回転させることで光を作り出すことに成功しました。 この技術を応用すれば、テレビ、スマートフォンのディスプレイ、ルームライトなどをより明るく、省エネで長寿命にすることが可能とのこと。

Rotating molecules create a brighter future | University of Cambridge

http://www.cam.ac.uk/research/news/rotating-molecules-create-a-brighter-future



High-performance light-emitting diodes based on carbene-metal-amides | Science

http://science.sciencemag.org/content/early/2017/03/29/science.aah4345



分子を使って光を作り出すという技術は有機EL(OLED)の1つとして1980年代に発明されました。有機ELは2017年時点でもテレビやPCのディスプレイに広く使われていますが、電気エネルギーを光に変換する効率性が悪いという根本的な問題を抱えています。

分子が並んだ素材に電力を通すと、分子全体は活動状態になりますが、そのうち光を生み出すのは25%で、残りの75%は暗い状態のままです。この暗い状態の分子は電気エネルギーを光に変換することができずエネルギーを無駄にしてしまいます。この状態の分子が生み出す熱量は、フィラメントを使う旧式の白熱電球より大きくなるとのこと。

そこで、これまでにはイリジウムといったレアメタルを用いて分子の回転を変え、暗い状態の分子を光らせるというアプローチもとられました。しかし、この方法は分子を回転させるまでに時間がかかりすぎてしまうため、エネルギーが蓄積しダメージを受けた有機ELが不安定になります。このため、実用化するのが難しいと考えられています。

一方でイーストアングリア大学の研究者らは、2つの有機分子を銅や金の原子で接合するという新しい技術を開発。接合された2つの分子はちょうどプロペラのような形で、暗い状態の分子が回転するプロペラ上でねじれることで、即座に回転を変え、電気エネルギーを光に変換することが可能になります。このとき、既存の方法のように有機ELにダメージを与えることなく、ほぼ100%の変換効率を実現することが可能とのこと。



研究を行ったケンブリッジ大学・キャヴェンディッシュ研究所のDan Credgington教授は「この新しい技術が初期の段階で、何十年も開発されてきた技術のパフォーマンスを打ち負かしたのは驚きです。私たちが発見した効果がスペクトル全体で活用できるようになれば、光を生み出す方法が変わるでしょう」とコメント。

研究者らは今後もさらなる研究を続け、今回発見されたメカニズムを利用して、最終的にはレアメタルを全く用いない新しい分子をデザインすることに注力していくと述べています。