人にうつさないためにもワクチンは必ず接種を(画像は厚労省、文科省の麻しんワクチン啓発ポスター)

写真拡大

2017年3月9日、インドネシアのバリ島から帰国後、横浜から山形県置賜地方の自動車教習所を利用していた男性が「麻しん(はしか)」を発症していることが確認された。

同県で確認された麻しん患者としては7年ぶりとなったが、この男性を感染源として麻しんの感染拡大が続いている。3月28日の山形県健康福祉企画課による発表では、現在確認されている患者発生件数は34件で、患者の住所は山形だけでなく宮城や滋賀、埼玉、東京にまで及ぶ。

2016年にも関西国際空港で従業員を中心に30人以上の麻しんの感染が発生しているが、効果的な予防手段はないのだろうか。

手洗いやマスクはほとんど意味がない

山形での麻しん患者のうち、半数の13例は一次感染が確認された男性と同じ自動車教習所を利用していたことがわかっており、7例は男性が宿泊していたホテルの従業員で、男性が感染源となって感染拡大につながったと考えられる。東京で確認されている麻しん患者3例も自動車教習所利用者で、東京都感染情報センターの3月29日の発表によると、ウイルスの遺伝子検査からも山形県で感染したことが明らかだという。

しかし、自分は山形にも当該の教習所にも行っていないから大丈夫というわけではない。教習所で感染した2次感染者たちが、教習所以外の場所を訪れることで生じる「3次感染」の患者も確認されている。また、埼玉や滋賀、東京から訪れていた人たちは、教習終了後に新幹線などを利用して自宅に帰っており、その過程で誰かに感染していてもおかしくはないのだ。

麻しんの原因となる「麻しんウイルス」は感染力が非常に強いことで知られている。空気感染や飛沫感染、接触感染とさまざまなルートで人から人へ感染し、厚生労働省の「麻しんについて」によると、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症するとされている。

手洗いやマスクでの予防は難しく、有効な予防方法は「麻しんと風しん混合ワクチン(MRワクチン)」などのワクチン接種しかない。厚労省によると、ワクチンによって95%以上の人が抗体を獲得することができるという。2006年以降は幼児期のワクチン2回接種制度が始まっているが、1度しか受けていない人や、ワクチン接種から時間が経っている人は成人も含めワクチンを受けることが望ましい。

海外渡航前にもワクチン接種歴の確認を

麻しんに感染すると、2週間ほどの潜伏期間後に発熱や咳など風邪のような症状が現れ、その後39度以上の高熱や全身の発疹が生じる。つらいだけでそれほど感染を警戒する必要もないと考えるかもしれないが、乳児などが感染すると肺炎や脳炎といった合併症を引き起こすこともあり、重症化して死亡する例も確認されている。今回の山形での感染でも、軽症ですんだものの乳児の感染例もあった。

さらに、妊娠中に感染すると流産や早産を起こす可能性もあり、万が一自分が感染してしまい麻しんウイルスを乳児や妊婦にうつしてしまうリスクを低くするためにも、ワクチン未接種者は必ず接種しておきたい。

現在国内で発生する麻しんは、海外で感染した人が帰国してから発症することで起きており、渡航先の麻しん発生状況には要注意だ。厚労省や外務省はもし今までに麻しんにかかったことがない場合、あらかじめ麻しんの予防接種歴を確認し、2回受けていない場合や接種歴が不明の場合、予防接種を受けるよう推奨している。