米中首脳会談を前に「中国が協力しないならアメリカ単独で行動する」とトランプ大統領。ヘイリー米国連大使も「北は中国の言うことを聞くはずだ」と。米下院までが北朝鮮に対する中国の圧力強化要求を決議。中国は?

北は中国の言うことを聞かない!

まず回答が見えやすいことから先に考察しよう。

4月3日、アメリカのヘイリー国連大使(トランプ政権の閣僚級高官)は、3月30日に共同通信などの取材に応じたときと同様、「トランプ政権は北朝鮮問題を巡り中国に行動するよう圧力をかけるだろう」と述べただけでなく、さらに「北朝鮮は中国の言うことを聞くはずだ」と述べたという。トランプ大統領の「もし中国がアメリカに協力しないなら、アメリカ単独で北朝鮮問題を解決しよう」という言葉とともに、CNNなど多くの内外メディアが伝えた。

しかし、「北朝鮮が中国の言うことを聞くはずだ」というアメリカ側の分析は、やや期待過剰ではないだろうか。

もし北が中国の言うことを聞いているなら、中朝首脳会談はとっくに行なわれているはずだ。中国の言葉を借りれば、「あの若造が、どうしても中国の言うことを聞かない」からこそ、習近平政権誕生以来、中朝会談が行われていないのである。中朝双方に新しい政権が誕生したというのに、この状況下で中朝首脳会談が行われていないというのは、中華人民共和国建国以来、初めてのことだ。このような前代未聞のことが起きているほど、中朝の仲はよくない。六者会談のテーブルに着こうとせず、核やミサイルで挑発を続ける北を、中国ははらわた煮えくり返るほど苦々しく思い、許せないと思っている。

それでも中国としては、北朝鮮という「緩衝地帯」を失うわけにはいかない。中国はその激しいジレンマに追い込まれているというのが実情だ。

それなら、「緩衝地帯を、さっさと放棄すればいいではないか」と第三者的には思うが、中国にとって、ここは譲れない線だろう。

念のため、ヘイリー米国連大使の言葉に関して中国政府関係者に聞いてみた。すると予想した通りの言葉が戻ってきた。

――あの若造が、中国の言うことなど聞くはずがないだろう!聞くんだったら、とっくに中朝首脳会談を行ってるよ!こんな異常事態が起きていることこそが、「北が中国の言うことなど聞きはしない」、何よりの証拠だ!

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)