妻の恨みは買いたくない(写真:アフロ)

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 中国人の風水好きは広く知られているが、最近ではネット社会隆盛のせいか、ちょっと物騒なこんな話もある。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

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 ここ数年の経済の高速発展を反映し、街は日々近代的な色に塗り替えられている中国だが、その社会を一枚めくってみると、いまだに驚くべき古い因習や言い伝え、迷信が支配していることに気付かされることがしばしばだ。

 市井の人々の迷信への傾倒はいうまでもないが、時にエリート層でさえも風水をはじめ多くの影響を受けながら暮らしている。ある意味、そうした非科学的な“力”に対し強い親和性を持っているのがこの社会の特徴ともいえるのだろう。

 そうしたなか、『北京青年報』(2017年3月3日)が、非常に興味深い記事を配信しているので紹介したい。タイトルは、〈ネットの呪術販売店の売り上げが絶好調 呪いで相手を必ず殺すことができる 効果なければ返金と謳う店も〉である。

 ネットで販売しているのは呪術の言葉や儀式の進め方などである。効能を保証しているのは、自称「道観」や「法師」と呼ばれる人々である。

 価格は一回、20元(約320円)から2000元(約3万2000円)というから、それほど高いとは感じられない。しかも、タイトルにあるように「効果がなければ返金する」とのうたい文句も普通に見つかる。必要なのは呪いたい相手の生年月日と名前で、写真があればもっと良いということだ。

 呪術の効果も、相手を睡眠障害にすることや交通事故に遭わせる、伝染病に感染させるなど程度もいろいろのようだが、記事の全体のトーンはもちろん胡散臭いものを扱うというもの。結局、最後には専門家の意見を載せて全否定というオチだが、北京のメディア関係者はこの現象をこう語る。

「いまの社会で最も需要があるのは家庭の主婦です。呪い殺したい相手は、夫の浮気相手です。この需要は決して小さくなく、だからこんなビジネスがまかり通っているのです」

 これも人の感情に付け込んだ商売なのだろう。ちなみに専門家のコメントによれば、呪術は道教の由来でもなければ、宗教的な背景もないということだとか。