CRAZYBOY『NEOTOKYO EP』(配信限定)

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 2017年もLDH所属アーティストの動きが活発だ。THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのメジャーデビューから始まり、パフォーマー陣を中心に新ユニットやソロ活動が目立つようになった。その中でもHIPHOP色の濃い音楽性が特徴的な、CRAZYBOY、スダンナユズユリー、THE RAMPAGEに注目して、彼らの作品をレビューするとともに、LDHの新機軸について考察したい。

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■ダンスとラップの融合でHIPHOPの高みを目指すCRAZYBOY

 まずはCRAZYBOY名義で初の作品となる、配信限定アルバム『NEOTOKYO EP』から「NEOTOKYO」をレビュー。

 CRAZYBOYは三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEのパフォーマーであるELLYがラッパーとして活動する時に使用する名前で、今までにもEXILE SHOKICHIから始まり、プロデューサー・DJとして多方面で活躍する大沢伸一、HIPHOP界のカリスマ・ラッバーANARCHY、日本が世界に誇るダンスホール・レゲエ・サウンド、Mighty Crownなど、クラブ・ミュージックと親和性の高い作品へゲスト参加している。三代目 J Soul Brothers加入当初からMCなどでラップを披露していたELLYが、満を持してリリースした本格的なHIPHIP作品といえる。

 「NEOTOKYO」ではELLYが地元の青森から東京に上京してきた時に感じた、眠らない街、ネオンが眩しい街というイメージのもと制作されていて、楽曲にも近代都市を感じさせるサウンドを使用。ラップの他にもBメロでオートチューンを利用したボーカルを取り入れていて、東京のドープな部分を表現。もともと渋谷のクラブシーンで人気を博したダンサーだけあって、その世界観はストリートのエッセンスが色濃く感じられる。

 注目したいのは、CRAZYBOYらしさとは何か、彼のアーティストとしてのアイデンティティーである。彼は、渋谷第三世代とも呼ばれている「THE TEAM」というダンスチームで活動していたストリートダンサーでもある。ダンサーにとってHIPHOPは切っても切り離せないカルチャーだ。というのも、HIPHOPには四大要素ーーラップ、DJ、ブレイクダンス、グラフィティがあり、ダンスはその一要素として数えられているからである。そして、かつては四大要素を極めることが、真のB-BOYの定義とされていた。

 パフォーマーでありラッパーでもあるCRAZYBOYは、その意味でHIPHOPアーティストとして非常にスキルフルであると言って良いだろう。また、DJ(トラックメイカー)でありラッパーでもある、というタイプのHIPHOPアーティストは少なくないが、ダンスとラップをともに極めたタイプは、現在のシーンでは貴重である。すでに持っているダンススキルを活かした、踊れるグルーヴを持ったCRAZYBOYのラップは、 HIPHOPシーンにとっても刺激的な存在であることは間違いない。今後、CRAZYBOYの活動は、JPOPシーンとHIPHOPシーンの架け橋としても注目すべきだろう。

■1ボーカル&2MCの新たな可能性を提示するスダンナユズユリー

 次にレビューしたいのは、Instagramでも話題を呼び、3月1日に『OH BOY』でメジャーデビューしたガールズHIPHOPユニット・スダンナユズユリー。E-girls・Happinessのパフォーマー、YURINOと須田アンナ、そしてE-girlsのボーカル・武部柚那の3人による1ボーカル&2MCグループだ。

 「OH BOY」は、彼女たち自身が書いた女子特有の感覚を活かしたリリックと、90年代HIPHOPをポップにアップデートした、B-Girl的なストリート感が魅力だ。また、女性3人組のHIPHOPユニットというだけでも面白いのだが、そこに武部柚那のボーカルが加わることによって、曲調が爽やかに変化していくのが注目すべきポイントである。ラップパートとボーカルパートが、単にAメロ、Bメロと分けられているのではなく、複雑に絡み合う構成になっていて、あくまでもボーカルは楽曲の一要素として捉えられているのがとてもフレッシュである。歌謡曲にラップを取り入れた楽曲とは一線を画した作りで、そこがこのユニットをHIPHOPたらしめているといっても過言ではない。

 加えて、彼女たちもまた、高いダンススキルを備えているのが頼もしい。楽曲の世界観をそのまま表現したMVは、まさに新時代のガールズHIPHOPといえる。スダンナユズユリーのメンバーだからこそ作れる、同世代に共感を得るHIPHOPを今後も生み出してくれるだろう。

■大所帯と攻撃的なパフォーマンスで魅せるTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE

 最後は1月25日に念願のメジャーデビューを果たしたTHE RAMPAGEの「Lightning」をレビュー。

 13人のパフォーマーと3人のボーカルがステージを暴れまわるパフォーマンスで、ライブに強いグループとしても頭角を現しているTHE RAMPAGE。その音楽性は、HIPHOPを独自解釈した非常にフレッシュなものだ。メジャーデビュー曲の「Lightning」は、THE RAMPAGEとはこういうグループだと自己紹介をするように、スピード感があり、勢いを感じさせる楽曲。3人のボーカルが間髪入れずにメロディとラップを入れてくるスタイルは圧巻で、これまでLDHはもちろん、広く音楽シーンを見ても類を見なかった攻撃的なパフォーマンスである。

 特に「Lightning」でメインボーカルを務める川村壱馬のラップとボーカル部分のギャップは必聴で、同一人物が歌っているとは思えないほど表現の幅広さを感じさせる。音源を聴いて、MVを見て、ライブで生パフォーマンスを体感して、その多層的な魅力を紐解いていくとより楽しめるはずだ。これから先、彼らの生み出すオリジナルなスタイルは、今後の日本のHIPHOPのあり方を考える上でも、とても興味深いものである。

■LDH流HIPHOPがシーンに与える衝撃

 LDH所属アーティストの中でも、特にHIPHOPに特化したCRAZYBOY・スダンナユズユリー・THE RAMPAGEの楽曲をレビューしてきたが、共通して言えることはHIPHOPへの深い理解と愛情がありながら、既存のスタイルには捉われない斬新な表現をしているということである。言うまでもなく、そのスタイルが生まれた背景には、彼らがLDHのパフォーマーとして、ダンスを軸とした身体的な表現を突き詰めてきたことが挙げられる。本物志向で知られるLDHのアーティストたちが、日本のHIPHOPをさらに盛り上げて、シーンに多様性をもたらすことを大いに期待したい。(NOZATATSU)