Popular Science:国際宇宙ステーション(ISS)の運用は2024年に終了します。ただし、それはあくまでも予定です。2024年という期限は、アメリカ連邦議会が2014年に無理やり決定したものであり、その時が訪れたら、議会はISSへの資金提供を継続するか否かという決断を迫られます。まだ7年もあるという見方もできますが、あと7年しかないと考えることもできます。

ISSにかかる費用は、アメリカ航空宇宙局(NASA)の有人探査向け予算の半分を占めています。残りの半分は、火星や小惑星への有人探査計画などに充てられています。宇宙探査をさらに推し進めたいのであれば、NASAは年間30億ドルや40億ドルものお金をISSに注ぎ込んでいるわけにはいきません。けれども、それを決めるのはNASAではないのです。連邦議会、具体的には下院の科学宇宙技術委員会がNASAの予算額を決定しています。ただし、政治家は宇宙旅行の専門家ではありませんから、公聴会を繰り返し開催して、ISSを使って7年間で何ができるかを話し合っています。民間に引き継がせた方が良いのか? 故障したら燃え尽きて南太平洋に落下するがままにした方が良いのか? 運用を続けるべきか? 直近の公聴会は2017年3月22日に開催されました。

こうした疑問に答えるのは容易ではありません。その理由の1つが、人によってNASAの有益性に対する意見が大きく食い違っている点です。それに伴い、ISSの有用性についても意見が分かれています。たとえば、NASAは宇宙探査に的を絞るべきだと考えている人もいるでしょう。人類がすでに知識を得ていること、足跡を残している場所ではなく、その先にあるものの探査に集中すべきだと思うなら、ISSは最優先にはなりえません。ISS向けの膨大な資金は、低地球軌道と地上の間のモノの移動に使われていて、他の惑星探査には使われていないからです。

その一方、NASAはほかの惑星に人類を送り込む方法を解明すべく、その一環としてISSで実験を行っています。ISSは微小重力状態にあり、相対的に見て、地球大気圏の保護を受けていません。つまり、あらゆる分野の科学者たちがISSで実験を行い、宇宙から受ける影響を調べることが可能だというわけです。実験対象はビールから植物、緩歩動物(いわゆるクマムシ)までほぼ何でもありです。また、低重力状態で長時間過ごした人体にどのような影響が現れるのかについての調査も継続しています。直近の公聴会に出席した政治家の中には、ISSに費用を注ぎ込む価値はあったのかと疑問を呈している人もいますが、いずれにせよ、有意義な科学研究を支援するという点に関しては、科学宇宙技術委員会はさほど実績を残していません。

やり始めたことをなかなかやめられない埋没費用の誤謬という事態は避けたいものの、完成したばかりの巨大プロジェクトを投げ出すのはどうにも残念に思えます。ISSは1998年に建設が始まって以来、大幅なアップグレードを行っており、最後のモジュールが設置されたのはここ数年のことなのです。

だからと言って、ISSにひたすら資金を注ぎ込むべきだというわけではありません。スペースXやヴァージン・ギャラクティックといった一般の宇宙旅行会社が登場し始めたことで、ISSはいずれ、民間に引き継がれていく可能性があります。特に、宇宙空間で使用する製品を開発しようとしている企業が宇宙船などでの実験に多額を投入するようになった場合です。あるいは、おそらくイーロン・マスク氏あたりが、ISSを自分専用の別荘に改造したいと言い出すかもしれず、予想がつきません。

とにかく結論を出すことが大事です。手に入る限りの情報を収集し、検討を加え、行動に移らなくてはなりません。7年と聞くと、時間はまだたっぷりあるような気がしますが、重大な結論を下すとすれば、それほど長くは残っていないのです。NASAへの予算が一気に増えて、あらゆるプロジェクトを続行できるようになる可能性は少ないので、この資金調達問題が、NASAの今後の方針を決めることになるでしょう。科学宇宙技術委員会のみなさん、決定権はそちらにあります。今こそ行動を起こす時です。


No one knows what to do with the International Space Station|Popular Science

Sara Chodosh(訳:遠藤康子/ガリレオ)
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