SF映画では機器を使わずに手をかざすだけでドアを開けるようなシーンを見ることがありますが、現実の従業員の手の中に米粒ほどのマイクロチップを埋め込むことで、手をかざしてオフィス内のドアやプリンターを操作可能にしている企業が存在します。

Companies start implanting microchips into workers' bodies - LA Times

http://www.latimes.com/business/technology/la-fi-tn-microchip-employees-20170403-story.html

ベルギーのスタートアップであるEpicenterは、希望する従業員の体内にマイクロチップを埋め込むという、これまでにないアイデアを実践しています。米粒ほどの大きさのマイクロチップは、専用の注射器を使って親指と人さし指の間や、小指の根元に注入されます。マイクロチップはNFCを通じてオフィス内のさまざまなリーダーに反応し、手をかざすだけでドアの開閉、プリンターの操作、飲み物の購入などを可能にするとのこと。



同様のマイクロチップ自体は新技術というわけではなく、ペット用の個体識別マイクロチップとしてや、配達員の配達追跡などで実用化されています。ただし、企業規模という広範囲で人間に対してマイクロチップをインプラントしたのはEpicenterが初めて。以下は体内に埋め込むマイクロチップで、Epicenterでも類似したものを埋め込んでいるそうです。



しかし、NFC通信を行うマイクロチップを体内に埋め込むことは、生物学的な問題はないものの、さまざまなプライバシー問題が懸念されます。カロリンスカ研究所の微生物学者であるベン・リバートン氏は「マイクロチップが洗練されるほどに、倫理的ジレンマは大きくなります。概念的には、マイクロチップからあなたのヘルスケアデータ・居場所・勤務時間・トイレ休憩の時間まで得ることができるのです」と話しています。

Epicenterの創業者であるパトリック・メスタートン氏も、自らの体内にマイクロチップを埋め込んでおり、「私にとっても初めての試みですが、体内にマイクロチップを埋め込むことは、人々にとってとても大きな一歩になるでしょう。すでに人々は心臓のペースメーカーなどの機器を体内に埋め込んでいます。マイクロチップが異なる点は、実際にチップ自体が外部のデバイスと通信できることです」と語っています。



Epicenterグループには100以上の企業、2000人以上の従業員が在籍しています。2015年から希望する従業員向けにマイクロチップのインプラントを行っており、すでにマイクロチップを埋め込んだ従業員は150人に達しているとのこと。マイクロチップを埋め込み済みのEpicenterの従業員の1人であるFredric Kaijser氏(47歳)は、「多くの人はプライバシーなどの問題を気にかけますが、私は単に新しい技術を試すのが好きなのです。この試みに参加することで、未来に何をもたらせるのかを楽しんでいます」と話しました。

なお、Epicenterは1カ月ごとにマイクロチップを埋め込むイベントを開催しているとのこと。実際にマイクロチップを注射で注入する様子や、埋め込んだマイクロチップでドアやプリンターを操作している様子は、以下のムービーから見ることができます。

Stockholm: Microchipped office workers feel 'very modern' using hand-implanted chips to open doors - YouTube