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ヨガを愛好している人は多い。街中の至る所でヨガスタジオを見かけることができ、周りにも「ヨガをやっている」と話す人が増えてきているのではないだろうか。

最近では、舞台・ドラマで活躍する男優が暗闇でヨガを指導する「暗闇ヨガ」など、一風変わったヨガまで出始めている。このようなサービスが出るのも、ヨガが人気のコンテンツである証しと言える。

ダイエットやストレスのリセットなど、人によってヨガをする理由はさまざまだ。それだけ多くのことをヨガには期待できるわけだが、最新の研究はヨガによるうつ病の症状緩和の可能性を示唆している。海外のさまざまなニュースを伝える「MailOnline」にこのほど、「ヨガうつ病」に関するコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。

これまでの研究で、ヨガは脳内の気分安定剤であるセロトニンの産生を増加させることが示されてきた。そしてこのほど、呼吸や集中、滑らかな動きに重きを置くことで、うつ病を患っている人の症状が緩和したことが判明。科学者たちは、多くの医師が提唱している「ヨガは抗うつ剤にとって代われる」との考えを裏付けるものだとしている。

今回発表された研究は、ハーバード大学とコロンビア大学が共同で調査。ヨガと呼吸運動を日ごろからしている30人を対象に、12週間にわたって行われた。参加者は姿勢の細部や正確性、呼吸のコントロールを重視するアイアンガーヨガのクラスを受講。全員がうつ病と診断されており、「抗うつ剤を服用していない」もしくは「一定の抗うつ剤の投与を始めて3カ月以内」という条件を満たしていた。参加者はそれぞれ、週に3回のクラスを受講するグループと2回のクラスを受講するグループに分けられた。

研究グループは、調査開始時と12週間の調査期間中、30人のうつ症状を調査した。調査を終えた結果、両グループともかなりの症状が緩和されていた。ただ、クラスを週3回受講していた人の方が、2回受講していた人よりもうつ病スコアが低くなる可能性が高かったという。

米国では、年間に約1億8,800万件も抗うつ剤に関する処方箋が書かれている。そして、現在の治療法では、うつ病に関連する病気の罹患率や死亡率を減らせすないと研究者らは主張する。

今回の結果を受け、「うつ病に対する薬理的治療に付随する形で、ヨガベースの介入を取り入れることができる」と研究グループは主張。そして、「この介入によって、薬物による副作用および薬物の組み合わせによる悪い相互作用を回避できる」と続ける。

ヨガを行うことのメリットを証明する別の研究も最近、発表された。研究は定期的にヨガをする人と、ヨガと同程度の運動とみられるウオーキングをする人のGABAのレベルを比較。アミノ酸の一種であるGABAは、良好な脳機能と脳神経系にとって不可欠であり、感情を落ち着かせる効果もあると考えられているが、ヨガをする人の方が圧倒的に高いGABAレベルだったという。

新生活が始まる4月を機に何か始めたいと思案している人は、ヨガがいいのかもしれない!?

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。

(杉田米行)